器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス

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第二部

第五話 新大陸に到着

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 あの後の話をするとしよう。
 シャドウとの戦いを終えた俺達だったが、その後の航路は全くの平穏な時間を過ごしていて、何度かの小物の出現はあったが…護衛の冒険者達で事足りていたので問題は無く進んでいた。
 それから半月後…俺達は当初の目的地だった、ゾルティック大陸に到着をした訳なのだが…?
 聞いていた話とは違い、本当にこの地に魔王城があるとは思えないくらいに発展を遂げた都市になっていた。
 まぁ、住人の殆どが魔族だったというのは本当の話だったのだが…?

 「どうなっているんだ⁉︎王国よりも高度に進んだ文明という感じじゃ無いか!」
 「魔族の技術は、俺達よりも進んでいるのか?」
 「それに、魔族というのは殺伐とした空気を醸し出しているという話だったが、この街に流れる空気はとても穏やかで、とても争いなんかが起こる様な感じではないみたいだぞ⁉︎」

 俺達は訳が分からずにいた。
 ゾルディック大陸といえば、魔王の居城がある大陸で…常に血生臭い空気が流れているという噂になるくらいの場所だと聞いていた。
 もしかするとその噂の場所は、魔王の居城がある場所の近くという話で…そこから離れているこの場所では当てはまらないのだろうか?
 それにしても、この街にある技術は…人間よりも高度なのは何故なんだろうか?

 「あと…魔族達は俺達の事を見ても襲って来るとかはしてこないな?魔族は人間を見ると、容赦無く殺しに来るという話だったのに…」
 「それも、土地に関係しているんじゃないか?あの建物の影にいる二人組は、魔族と人間みたいだしな。」

 俺が指を刺した方向を皆が見ると、確かに殺伐とした空気なんかは全くなくて、仲良さそうに人間と魔族が話し合っていた。
 俺はとりあえず、アーヴァインとティルティナに指示を出した。

 「俺はこれから、残りの仲間を転移魔法で連れて来るから…その間、アーヴァイン達はこの街で情報収集を行なってくれ。この街の魔族全てが、先程から見える魔族と同じだとありがたいんだが…?まぁ、いきなり戦闘になることはないだろう。」
 「なら、私は…この街にも冒険者ギルドが存在していると思うから、何か情報を仕入れてみるよ。」
 「そうだな、そこはミュンが適任か…マリー、念の為にミュンの護衛に就いていてくれ。」
 「うん、分かった。」

 ミュンの護衛にマリーを付けてから、俺はマイネア村に転移した。
 他の仲間達には船での大体の移動時間を伝えてあったのだが、村に到着しても仲間達の準備は一切済んではいなかった。

 「はぁ…あれだけの時間があって、何で準備が終わってないんだ?」
 
 恐らくだが、船旅が思ったよりも長い日にちを要したので、まだ来る事はないとタカを括っていた…というところだろう。
 船旅は、確かにアクシデントの連続だったが、別に日数は規定通りの航行だったので問題は無い。
 俺はとりあえず、全員を集めた。

 「すまんテクト、今すぐ準備を…」
 「いや、別に急がなくても良い。お前達には愛想が尽きたからな、お前達とはここで解散する事にする。」
 「ちょ、ちょっと待ってよ、確かに用意をしていなかった事は悪かったけどさぁ…」
 「いや、もうそういう話じゃ無い!今のお前達の様に、気の抜けた状態で旅をしても怪我をするだけだからな。言っておくが…今いる転移先は魔族領だから、そんな浮ついた気持ちでは、すぐにやられるからな。」

 魔王が管理する魔族領の全域が、あんなに穏やかな場所ばかりでは無いだろう。
 魔王城が近付くにつれて、魔族達も伝承の通りの…?
 正直言って、上陸した時の魔族達をみていたら分からなくなっていた。
 魔族にも様々なタイプが存在する。
 人型の魔族はヒュマール、獣人の魔族はジャマガン、妖精族の魔族はダークエンプールという感じで、それぞれに種族名称がある。
 ヒュマールは性格は半々で、ジャマガンは性格が荒め、ダークエンプールは冷酷な性格…と言われている。
 上陸した場所では、魔族はヒュマールしかいなかったので何とも言えないが、魔王城が近付いて行くと…必ずヒュマール以外の種族はいるだろう。
 流石に上陸した時の魔族領と同じ空気だと有り難いが、絶対にそれは無いという可能性は?
 そんな状態で浮ついた気持ちの仲間を連れて行ったら…?

 「用意が出来てないからといって、お前達の準備が出来るまで待っていられるほど、俺は御人好しでは無い。マリーもミュンも現在は敵の本拠地である魔族領内に居るんだぞ、出来れば俺は離れるという選択は取りたく無かったよ。例え序列1位と2位の勇者がいたとしてもだ‼︎」

 流石にそう言われて、皆は俯いていた。
 俺は、「お前達は村の警備でもしていろよ…」と言い残して、その場を去って行った。

 これで皆と会うのが最後になる事になるとは…?
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感想 62

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みんなの感想(62件)

あくの
2024.02.07 あくの

更新再開、嬉しすぎます!
楽しみにしてます。

2024.02.08 アノマロカリス

次の更新は、もう少し後になります。
少々お待たせすることになりますが…楽しみにしていて下さいね!

解除
ask
2022.12.26 ask

何気にこの主人公…悪いよね。

元勇者と接した時とか…そこまでやるか?って感じだし、悪気はないんだろうけど、告白してきた幼馴染に対する態度とか…。

ここまで謙虚さが0な主人公って珍しい気がする(笑)

2024.02.08 アノマロカリス

確かにその通りなのですが、ここで面白要素が無いとただつまらない話になる為にこうしました。
これの方が読み応えは…あるかな?

解除
ask
2022.12.25 ask

読み始めたばかりでまだ3話目です。

他の追放物と違って、追放された主人公も追放したパーティーも主人公を認めてるんですね。

「何もしていない」って思われてるなら、パーティー在籍中に本当に何もしなければいいのに…って色んな小説を読みながらいつも思ってました。

これからどうなっていくのか楽しみです。

2024.02.08 アノマロカリス

有り難う御座います。
今後の更新する話をお楽しみに!

解除

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