2 / 20
第二話 何の目的で俺は来た?
「この世界に魔王は……居ない!」
…そう、この世界には魔王は居ないんだ。
魔王の代わりになる存在…らしき噂も聞かない。
あ、いや…俺の住んでいる地域まで噂が回ってこないという事もあるかも知れないが、こんな辺境に住む俺でも食いっぱぐれない為に、冒険者ギルドに登録して街には良く顔を出している。
…が、情報が集まる冒険者ギルドですら、世界を脅かす存在の話は聞かないのだ。
とは言っても、火山に棲むフレアドレイク、大地に住む巨人ダイダン、海に棲む海王リヴァイアス……などと言った、強大な力を持つ存在はいるのだが…?
これらの魔獣は、表立って行動するわけでも無いので…討伐依頼や緊急クエストにも上がらなかった。
「純粋に、俺強えぇぇぇぇを体験させる為に、神様がこの地に俺を…」
…と考えては見るが、俺は特に神様に対して貢献する様な事をしたわけでは無い。
前世に仕事をする時は、日々神棚に祈っていたくらいだった。
「お、そろそろ出来たか?」
俺が人から離れて生活をしているには、もう1つ理由がある。
元の職業は料理人で、20年くらい前に村が活気があった時代は、毎日100人位の人数を捌く行列店だった。
…が、それもいっ時のブームが過ぎれば廃れて行く。
あの当時は、俺の店以外に名物スポット目当てに来る観光客がいた。
何の名物なのかは良く知らん。
そこそこ名の知れたアニメの舞台になったという話だった。
まぁ、村の過疎化が進んだら人が寄り付かなくなったところを見ると、そのアニメはそれ程人気は無かったのだろう。
「今回の出来は、65点だな…」
俺の前世の店は、定食屋だった……いや、注文をされれば何でも作る店だった。
和洋折衷…何でも作る店だったのだが、都内には俺より美味い店なんか腐る程ある。
態々こんな辺鄙な場所に、金や時間をかけて来るくらいなら都内に行くだろう。
年々客が減り始めていき、遂には誰も来なくなっていた。
あ、そうそう…俺が人から離れて暮らすには、前世の職業が絡んでいる。
この異世界では、思った材料が揃わない為に…思い通りの味が出せなかった。
だが、それでも…前世の料理に近い物は作れる。
…ので、王都の仮屋で晩飯を作っていたら、この異世界には無い料理の匂いに釣られて人がわんさか来た。
なので、鬱陶しくて田舎に移ったのだった。
「………ヒロインが現れないのは、俺が原因か…?」
前世の店が少なくなってきた頃に、こんな事件があった。
観光客の団体の中に、やたらと村や店を貶して来る迷惑客が現れたのだ。
迷惑客とは言っても客は客、最初は優しく対応していたのだが…度が過ぎるとこちらも黙ってはいられなくなる。
結局は、迷惑客が騒動を起こしてくれたお陰で…村の評判が悪くなり、過疎化が始まった訳だ。
その頃からか、人付き合いは最低限しか相手をしないようにしている。
一定の距離を保って接して来る分には別に構わない…が、あまり馴れ馴れしく接して来られるとイラつく事がある。
「おっと…伸びるな。」
俺が王都の家から離れた理由…?
それが今喰っている、豚骨ラーメンが原因だった。
この世界では、調理での調味料はほぼ塩のみ。
貴族の料理人とかになると、ソースを使うという事もあるらしいが…そのソースも、前世の頃にあったソースとは、似ても似つかないレベルのものでしか無かった。
そんな世界に、豚骨ラーメンなんていう物の匂いが流れてみろ?
どうなるかくらい…分かりきっている。
「ふぅ……まぁ、魔王が居ないんだ…スローライフを送るというのも良いかもな。 前世ではあまり休んだ記憶はなかったからな。」
この世界に、前世の店にある調味料があれば…65点なんていう採点は付かなかった。
植物魔法という…頭に浮かんだイメージを種にする魔法で、畑に撒いて大豆を作り出した。
前世の店の隣には、店での食材の材料を自家栽培していたので、植物にはそれなりの知識はある。
それが役に立ったのだろう…味噌と醤油は作り出した。
豚骨は、この世界には4本足の豚は存在しないらしい。
なので、ボアという魔物しかいないわけなんだが…コイツの骨を煮込むと、独特の臭みを感じていた。
2本足の豚であるオークという魔物がいるという話だったので、ギルドの討伐依頼で目撃すると…確かに豚だった。
…が、これを喰うには俺には抵抗がある。
だが、喰わねば生きては行けない世界…贅沢は言ってられない。
俺は、オークという魔物を手に掛けて解体した。
「………なんだけどなぁ?」
このオークという魔物の手足は、ヒヅメでは無く…どちらかというと人に近い。
頭以外の骨格は、ほぼ人に近いので…解体をしている時に、殺人後の死体処理をしている気分になった。
だが、王都の市場では…このオークの処理されていない腕や足が売られている。
この世界の人間は、抵抗は……無いんだろうなぁ?
「文化の違い…慣れないとな。」
ただ、このオークという魔物の骨を煮込むと…?
前世の世界にいた豚よりも濃厚な豚骨スープが出来る。
この出汁を使って前世で店を開いていたら、過疎化になる事はないのではないかと思った。
「店……か。」
店を開けば、ヒロインが現れたり?
いやいや、どう見ても…前世の二の舞になる未来しか見えない。
………って、あれだけ迷惑客に荒らされて、俺はまた店をやりたいのか?
…そう、この世界には魔王は居ないんだ。
魔王の代わりになる存在…らしき噂も聞かない。
あ、いや…俺の住んでいる地域まで噂が回ってこないという事もあるかも知れないが、こんな辺境に住む俺でも食いっぱぐれない為に、冒険者ギルドに登録して街には良く顔を出している。
…が、情報が集まる冒険者ギルドですら、世界を脅かす存在の話は聞かないのだ。
とは言っても、火山に棲むフレアドレイク、大地に住む巨人ダイダン、海に棲む海王リヴァイアス……などと言った、強大な力を持つ存在はいるのだが…?
これらの魔獣は、表立って行動するわけでも無いので…討伐依頼や緊急クエストにも上がらなかった。
「純粋に、俺強えぇぇぇぇを体験させる為に、神様がこの地に俺を…」
…と考えては見るが、俺は特に神様に対して貢献する様な事をしたわけでは無い。
前世に仕事をする時は、日々神棚に祈っていたくらいだった。
「お、そろそろ出来たか?」
俺が人から離れて生活をしているには、もう1つ理由がある。
元の職業は料理人で、20年くらい前に村が活気があった時代は、毎日100人位の人数を捌く行列店だった。
…が、それもいっ時のブームが過ぎれば廃れて行く。
あの当時は、俺の店以外に名物スポット目当てに来る観光客がいた。
何の名物なのかは良く知らん。
そこそこ名の知れたアニメの舞台になったという話だった。
まぁ、村の過疎化が進んだら人が寄り付かなくなったところを見ると、そのアニメはそれ程人気は無かったのだろう。
「今回の出来は、65点だな…」
俺の前世の店は、定食屋だった……いや、注文をされれば何でも作る店だった。
和洋折衷…何でも作る店だったのだが、都内には俺より美味い店なんか腐る程ある。
態々こんな辺鄙な場所に、金や時間をかけて来るくらいなら都内に行くだろう。
年々客が減り始めていき、遂には誰も来なくなっていた。
あ、そうそう…俺が人から離れて暮らすには、前世の職業が絡んでいる。
この異世界では、思った材料が揃わない為に…思い通りの味が出せなかった。
だが、それでも…前世の料理に近い物は作れる。
…ので、王都の仮屋で晩飯を作っていたら、この異世界には無い料理の匂いに釣られて人がわんさか来た。
なので、鬱陶しくて田舎に移ったのだった。
「………ヒロインが現れないのは、俺が原因か…?」
前世の店が少なくなってきた頃に、こんな事件があった。
観光客の団体の中に、やたらと村や店を貶して来る迷惑客が現れたのだ。
迷惑客とは言っても客は客、最初は優しく対応していたのだが…度が過ぎるとこちらも黙ってはいられなくなる。
結局は、迷惑客が騒動を起こしてくれたお陰で…村の評判が悪くなり、過疎化が始まった訳だ。
その頃からか、人付き合いは最低限しか相手をしないようにしている。
一定の距離を保って接して来る分には別に構わない…が、あまり馴れ馴れしく接して来られるとイラつく事がある。
「おっと…伸びるな。」
俺が王都の家から離れた理由…?
それが今喰っている、豚骨ラーメンが原因だった。
この世界では、調理での調味料はほぼ塩のみ。
貴族の料理人とかになると、ソースを使うという事もあるらしいが…そのソースも、前世の頃にあったソースとは、似ても似つかないレベルのものでしか無かった。
そんな世界に、豚骨ラーメンなんていう物の匂いが流れてみろ?
どうなるかくらい…分かりきっている。
「ふぅ……まぁ、魔王が居ないんだ…スローライフを送るというのも良いかもな。 前世ではあまり休んだ記憶はなかったからな。」
この世界に、前世の店にある調味料があれば…65点なんていう採点は付かなかった。
植物魔法という…頭に浮かんだイメージを種にする魔法で、畑に撒いて大豆を作り出した。
前世の店の隣には、店での食材の材料を自家栽培していたので、植物にはそれなりの知識はある。
それが役に立ったのだろう…味噌と醤油は作り出した。
豚骨は、この世界には4本足の豚は存在しないらしい。
なので、ボアという魔物しかいないわけなんだが…コイツの骨を煮込むと、独特の臭みを感じていた。
2本足の豚であるオークという魔物がいるという話だったので、ギルドの討伐依頼で目撃すると…確かに豚だった。
…が、これを喰うには俺には抵抗がある。
だが、喰わねば生きては行けない世界…贅沢は言ってられない。
俺は、オークという魔物を手に掛けて解体した。
「………なんだけどなぁ?」
このオークという魔物の手足は、ヒヅメでは無く…どちらかというと人に近い。
頭以外の骨格は、ほぼ人に近いので…解体をしている時に、殺人後の死体処理をしている気分になった。
だが、王都の市場では…このオークの処理されていない腕や足が売られている。
この世界の人間は、抵抗は……無いんだろうなぁ?
「文化の違い…慣れないとな。」
ただ、このオークという魔物の骨を煮込むと…?
前世の世界にいた豚よりも濃厚な豚骨スープが出来る。
この出汁を使って前世で店を開いていたら、過疎化になる事はないのではないかと思った。
「店……か。」
店を開けば、ヒロインが現れたり?
いやいや、どう見ても…前世の二の舞になる未来しか見えない。
………って、あれだけ迷惑客に荒らされて、俺はまた店をやりたいのか?
あなたにおすすめの小説
聖女召喚に巻き込まれたけど、僕は聖者で彼女よりも優れた能力を持っていた。
アノマロカリス
ファンタジー
僕の名前は、凱旋寺聖(がいせんじひじり)という厳つい苗字の高校2人生だ。
名前から分かる通り、僕の家は300年続く御寺の一族だ。
その所為か、子供の頃から躾は厳しく育てられた…が、別に跡を継ぐという話は出た事がない。
それもその筈…上に、二人の兄と姉がいるからだ。
なので、兄や姉が後継を拒まない限り、跡目争いに巻き込まれるわけではないのだ。
そんなわけで、厳しく育てられては来たが…抜け道を探しては良く遊んでいた。
…という、日頃の行いが悪い事をしていた所為か…
まさか、あんな事に巻き込まれるなんてなぁ?
この物語はフィクションです。
実在の人物や団体とは一切関係がありません。
無能夫は異世界勇者。ある日エルフのお姫様が迎えにやってきました
白鷺雨月
ファンタジー
無能な夫は実は異世界を救った勇者でした。エルフのお姫様が迎えにきて、異世界に帰っていきました。家庭が崩壊し、再生するまでの物語。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
私はダンジョンの中に部屋を所有しており、今はそこに住んでいます。仲間に裏切られた後、ゼロからやり直しています。
MayonakaTsuki
ファンタジー
レオは「月のダンジョン」を攻略したパーティーのエリート弓使いだった。名声、強い仲間、そして守ると誓った恋人、アンナ。しかし、一杯のジュースと「可愛い」笑顔が、彼の栄光を灰に変えた。身に覚えのない罪を着せられ、信頼していた仲間に全てを奪われたレオは、雨の中に放り出される。唯一の逃げ場は、旅が始まったあの場所――月のダンジョンの深淵だった。
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
異世界帰りは目立ってはいけない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕の名前は、瑞乃守水月(みのかみ みずき)17歳の高校生だ。
僕はこんな発言をすると…厨二と思われるかも知れないが、実は異世界帰りである。
今から二年前…と言っても、異世界に転移した時の日本時間は止まっていたので、二年間は異世界で暮らした年数だ。
僕は、数人の同じ高校生と共に(学校は違う)異世界に召喚された。
そこで魔王を倒す為に呼ばれ、僕は勇者として…なら良かったのかも知れないが…?
チームサポーターという…要はコマ使いの様な役目だった。
そんな役職の僕なんて、無碍に扱われる…と思っていたが…?
パーティーメンバーは、皆さん人格者だったので…それぞれをリスペクトし、パーティー仲は良好な状態で魔王を倒す事が出来た。
それから僕達は、大いに感謝をされて…日本へ帰って来た。
…が、ここで1つ問題が起きた。
みんなの能力は、あまりにも強い力の為に日本に渡った時に失った。
僕の能力は…戦闘ではあまり役に立たない物だったので、日本でも難なく使えた。
だが、それが良くなかった。
変に悪目立ちをして、一部の者達から目を付けられる事に…
僕は一体、どうなってしまうのだろうか?
この物語はフィクションです。
実在の人物や団体とは一切関係がありません。
おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略
神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。
そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。
これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。
次回更新予定日 4/12 20時頃
よろしくお願いします。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!