俺は、こんな力を望んでいなかった‼︎

アノマロカリス

文字の大きさ
5 / 9

第五話

しおりを挟む
 「肝心な事を忘れてたな、そもそも…この世界って、ニワトリはいるのか?」

 豚や牛は存在しない代わりに、オークやミノタウロスが存在する。
 全く同じ種では無いが、ボアとブルという豚や牛はに代わる魔物もいる…が、俺はニワトリの声を聞いて起きた事はない。
 前世では、材料代をケチる為にニワトリを飼っていた…が、毎朝4:30に必ず鳴いて起こしてくる。
 そんな生活だった所為か、異世界に来てアイツらの声を聴かないお陰で睡眠出来るが、朝に張り合いがなくなってしまったし、寝坊する事が多くなってしまった。

 「鶏肉が無ければ、唐揚げが出来ないしなぁ…」

 ここは情報が集まる冒険者ギルドで聞き回ろう。
 そう思って、俺は冒険者達に話を聞いた。
 俺が冒険者ギルドに入ると、俺を見た数人は会釈をして来た。
 この世界では、身分を明かすギルドカードと、身分と冒険者を証明する冒険者ギルドカードというものがある。
 依頼をこなせば冒険者というわけでは無く、冒険者ギルドカードを手に入れた者は、冒険者の上位の存在となれるそうだ。
 まぁ、他にも様々な有利になる特典は多い…反面、ギルドの犬に成り下がるというおまけ付きだけどな。

 「俺には、このシステムが良くわからん。 依頼を受けるから冒険者…で良いんじゃないのか?」

 まぁ、組織にいる以上…格付けは必要なのは分かる。
 実際に、冒険者ギルドカード以外の冒険者を表すランクというものがあり…?
 それは最低Gランクから、最高Sランクというものまである。
 冒険者ギルドカードを持つ者は、いきなりAランクと同じ扱いになり…依頼の達成率によって昇格するという流れになっている。
 …当然だが、冒険者ギルドカードが手に入れば一生安泰…なんて夢みたいな話があるわけでは無く、1年に1度…更新テストというものがある。
 それに合格をしないと、冒険者ギルドカードを手放さなければならないという話だった。

 「あ、裏の項目を良く読んで無かったな…」

 俺は最初は身分を明かすギルドカードを手にできれば良かった…のだが、並んでいる列が空いている方を選んだら、そこは冒険者ギルドカードの取得試験場だったので、手に入る様々な特典に釣られて受けてみた。
 試験内容はその都度変わるという話で、試験管が適当なのか…今回の試験に筆記試験は無かった。
 筆記試験が無いのは正直有り難かった、この世界の常識をまだ完全に身に付けたわけではなかったからだ。
 なので、戦闘試験と称したバトルロイヤル方式で行われた。
 バトルロイヤル……それは、弱そうなモノから淘汰されるという過酷で無慈悲なルールの上で成り立つもの。
 冒険者ギルドカード取得する者達に、いきなり素人が一発逆転を狙って申し込もうとする勇者は、俺以外はまず居ないだろう。

 「昔は居たらしいな、ラッキーパンチを狙って合格を目指す者が…」

 言っておくが、様々な特典が得られる冒険者ギルドカードの試験が、そんなに甘いわけが無い。
 今回はたまたまバトルロイヤル方式になったというだけで、普段の試験では筆記試験や採取試験などがあるという話だった。

 「バトルロイヤルになると、やっぱり弱い奴から狙われて行くな…」

 この試験会場で言う弱い奴とは、見るからに挙取っている…というわけではなく、ランクの低い者から狙われて行くという意味だ。
 一般の冒険者のランクは、首にしているチョーカーの色で判断をされる。
 黒っぽい色ほどランクが低く、明るい色ほどランクが高いという感じにだ。
 そして試験会場では、ランクの低い奴等は…あまり慣れていない者が多いのか?
 チョーカーを隠そうともせずに晒していた。
 代わりにベテラン勢は、スカーフやマフラーなどでチョーカーの色を見せない様にカモフラージュしていた。

 「全くそんな事をしていない俺が、真っ先に狙ってくると思ったんだけどなぁ?」

 俺は、異世界転生…で良いか、もう。
 異世界転生でこの世界に降り立ってから、レベルは19になるまで戦闘の経験をしていた。
 そして、チートと思われる様な魔法の数々も取得した。
 でも、この試験会場では…他の試験者達が、生い立ちを見れる様なスキルでも持たない限り、知られる事はない筈?

 「何で俺の所には誰も来ないんだ?」

 ………まぁ、自分と同じ身長もある大剣を持ち、それを片手で振り回す腕力。
 例えチョーカーの色はおろか、チョーカーをしてない者だとしても、試験会場にいる試験者達は恐ろしくて向かう者は誰も居なかった。
 どう見ても素人で無く、達人レベルと思われていたので…向かって来るとしたら最後だろう。

 「この大剣………見た目はこんなだが、重さは包丁並みに軽いんだがなぁ?」
 
 …いや、そうでも無いか。
 とある食堂で飯を食っていた際に、テーブルに立て掛けて置いた大剣を盗人が盗もうとして持って行こうとしたが、持った瞬間に押し潰されて…憲兵に運ばれて行った事があったな。
 俺には軽かったんだが、他人には重くなる魔法とか仕込まれていたのかな?
 そうでないと説明がつかない、俺は改めて大剣を持ち上げて振り回した。
 すると、振り回した剣戟から竜巻が発生し、会場にいる試験者達が巻き込まれて上空にまで飛ばされて行き、地面に落下して行った。
 試験者達は、どうやら全員…気を失ったそうだった。

 「試験者グレン、合格!」

 こうして俺は、冒険者ギルドカードを見事に手にする事が出来たのだった。
 そして…合格者が得られる様々な特典を聞き、その日は早速恩恵に預からせて貰ったという事で、上級宿に泊まる事ができたのだった。
 だが、それ以外だと…高級な買い物が安くなるとかぐらいしか使い道がないと思い、他には特に使ってはいなかったが?
 今回の店舗を借りるという事が出来ると知って、冒険者ギルドに尋ねに来たのだった。
 
 「………そうか、冒険者ギルドの空き店舗の中で営業をすれば良いのか?」

 冒険者ギルド内だったら、金を持っている冒険者が訪れてくれるし、いざこざが起きても職員が対応してくれる。
 便所もギルド内の施設を使えば良いし、冒険者ギルド様様だぜ!
 あとは、鶏肉入手の情報だけなのだが?

 「ニワトリ? 何だそれは?」

 同じ冒険者にニワトリの事を尋ねたら、そんな事を言われた。
 どうやらこの世界にはニワトリがいない…と思っていたら、こんな事を言われた。

 「それ、コッコの事じゃねぇか?」
 「んだな、誰よりも早くの早朝に鳴き出して起こし、卵を生むという…ドワーフと同じ位の大きさの鳥の事だべ?」

 ドワーフと同じ位の大きさ…という以外は、ニワトリに当てはまる条件だった…筈だった。
 そのコッコが食用ではないという話を聞くまでは。
 …という事は、この世界では鳥肉の食用は何の物なんだ?
 そう尋ねたら、この世界の鳥肉は…ロックバードという、地面を走り回って攻撃を仕掛けて来るというダチョウみたいな奴の事だった。
 商用には向いているのだが、討伐ランクが高くて倒せる者があまり居ないらしい。

 「ほぉ…? あとは調理をしてみない事には、メニューになるかどうかはわからんな?」

 俺は職員から、生息地を聞き出して討伐しに行った。
 だが、このロックバードという魔物は、とても厄介な特性を持っていたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。 そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。 これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。  

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

処理中です...