俺は、こんな力を望んでいなかった‼︎

アノマロカリス

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第五話 冒険者ギルドカード取得試験

 「肝心な事を忘れてたな、そもそも…この世界って、ニワトリはいるのか?」

 豚や牛は存在しない代わりに、オークやミノタウロスが存在する。
 全く同じ種では無いが、ボアとブルという豚や牛はに代わる魔物もいる…が、俺はニワトリの声を聞いて起きた事はない。
 前世では、材料代をケチる為にニワトリを飼っていた…が、毎朝4:30に必ず鳴いて起こしてくる。
 そんな生活だった所為か、異世界に来てアイツらの声を聴かないお陰で睡眠出来るが、朝に張り合いがなくなってしまったし、寝坊する事が多くなってしまった。

 「鶏肉が無ければ、唐揚げが出来ないしなぁ…」

 ここは情報が集まる冒険者ギルドで聞き回ろう。
 そう思って、俺は冒険者達に話を聞いた。
 俺が冒険者ギルドに入ると、俺を見た数人は会釈をして来た。
 この世界では、身分を明かすギルドカードと、身分と冒険者を証明する冒険者ギルドカードというものがある。
 依頼をこなせば冒険者というわけでは無く、冒険者ギルドカードを手に入れた者は、冒険者の上位の存在となれるそうだ。
 まぁ、他にも様々な有利になる特典は多い…反面、ギルドの犬に成り下がるというおまけ付きだけどな。

 「俺には、このシステムが良くわからん。 依頼を受けるから冒険者…で良いんじゃないのか?」

 まぁ、組織にいる以上…格付けは必要なのは分かる。
 実際に、冒険者ギルドカード以外の冒険者を表すランクというものがあり…?
 それは最低Gランクから、最高Sランクというものまである。
 冒険者ギルドカードを持つ者は、いきなりAランクと同じ扱いになり…依頼の達成率によって昇格するという流れになっている。
 …当然だが、冒険者ギルドカードが手に入れば一生安泰…なんて夢みたいな話があるわけでは無く、1年に1度…更新テストというものがある。
 それに合格をしないと、冒険者ギルドカードを手放さなければならないという話だった。

 「あ、裏の項目を良く読んで無かったな…」

 俺は最初は身分を明かすギルドカードを手にできれば良かった…のだが、並んでいる列が空いている方を選んだら、そこは冒険者ギルドカードの取得試験場だったので、手に入る様々な特典に釣られて受けてみた。
 試験内容はその都度変わるという話で、試験管が適当なのか…今回の試験に筆記試験は無かった。
 筆記試験が無いのは正直有り難かった、この世界の常識をまだ完全に身に付けたわけではなかったからだ。
 なので、戦闘試験と称したバトルロイヤル方式で行われた。
 バトルロイヤル……それは、弱そうなモノから淘汰されるという過酷で無慈悲なルールの上で成り立つもの。
 冒険者ギルドカード取得する者達に、いきなり素人が一発逆転を狙って申し込もうとする勇者は、俺以外はまず居ないだろう。

 「昔は居たらしいな、ラッキーパンチを狙って合格を目指す者が…」

 言っておくが、様々な特典が得られる冒険者ギルドカードの試験が、そんなに甘いわけが無い。
 今回はたまたまバトルロイヤル方式になったというだけで、普段の試験では筆記試験や採取試験などがあるという話だった。

 「バトルロイヤルになると、やっぱり弱い奴から狙われて行くな…」

 この試験会場で言う弱い奴とは、見るからに挙取っている…というわけではなく、ランクの低い者から狙われて行くという意味だ。
 一般の冒険者のランクは、首にしているチョーカーの色で判断をされる。
 黒っぽい色ほどランクが低く、明るい色ほどランクが高いという感じにだ。
 そして試験会場では、ランクの低い奴等は…あまり慣れていない者が多いのか?
 チョーカーを隠そうともせずに晒していた。
 代わりにベテラン勢は、スカーフやマフラーなどでチョーカーの色を見せない様にカモフラージュしていた。

 「全くそんな事をしていない俺が、真っ先に狙ってくると思ったんだけどなぁ?」

 俺は、異世界転生…で良いか、もう。
 異世界転生でこの世界に降り立ってから、レベルは19になるまで戦闘の経験をしていた。
 そして、チートと思われる様な魔法の数々も取得した。
 でも、この試験会場では…他の試験者達が、生い立ちを見れる様なスキルでも持たない限り、知られる事はない筈?

 「何で俺の所には誰も来ないんだ?」

 ………まぁ、自分と同じ身長もある大剣を持ち、それを片手で振り回す腕力。
 例えチョーカーの色はおろか、チョーカーをしてない者だとしても、試験会場にいる試験者達は恐ろしくて向かう者は誰も居なかった。
 どう見ても素人で無く、達人レベルと思われていたので…向かって来るとしたら最後だろう。

 「この大剣………見た目はこんなだが、重さは包丁並みに軽いんだがなぁ?」
 
 …いや、そうでも無いか。
 とある食堂で飯を食っていた際に、テーブルに立て掛けて置いた大剣を盗人が盗もうとして持って行こうとしたが、持った瞬間に押し潰されて…憲兵に運ばれて行った事があったな。
 俺には軽かったんだが、他人には重くなる魔法とか仕込まれていたのかな?
 そうでないと説明がつかない、俺は改めて大剣を持ち上げて振り回した。
 すると、振り回した剣戟から竜巻が発生し、会場にいる試験者達が巻き込まれて上空にまで飛ばされて行き、地面に落下して行った。
 試験者達は、どうやら全員…気を失ったそうだった。

 「試験者グレン、合格!」

 こうして俺は、冒険者ギルドカードを見事に手にする事が出来たのだった。
 そして…合格者が得られる様々な特典を聞き、その日は早速恩恵に預からせて貰ったという事で、上級宿に泊まる事ができたのだった。
 だが、それ以外だと…高級な買い物が安くなるとかぐらいしか使い道がないと思い、他には特に使ってはいなかったが?
 今回の店舗を借りるという事が出来ると知って、冒険者ギルドに尋ねに来たのだった。
 
 「………そうか、冒険者ギルドの空き店舗の中で営業をすれば良いのか?」

 冒険者ギルド内だったら、金を持っている冒険者が訪れてくれるし、いざこざが起きても職員が対応してくれる。
 便所もギルド内の施設を使えば良いし、冒険者ギルド様様だぜ!
 あとは、鶏肉入手の情報だけなのだが?

 「ニワトリ? 何だそれは?」

 同じ冒険者にニワトリの事を尋ねたら、そんな事を言われた。
 どうやらこの世界にはニワトリがいない…と思っていたら、こんな事を言われた。

 「それ、コッコの事じゃねぇか?」
 「んだな、誰よりも早くの早朝に鳴き出して起こし、卵を生むという…ドワーフと同じ位の大きさの鳥の事だべ?」

 ドワーフと同じ位の大きさ…という以外は、ニワトリに当てはまる条件だった…筈だった。
 そのコッコが食用ではないという話を聞くまでは。
 …という事は、この世界では鳥肉の食用は何の物なんだ?
 そう尋ねたら、この世界の鳥肉は…ロックバードという、地面を走り回って攻撃を仕掛けて来るというダチョウみたいな奴の事だった。
 商用には向いているのだが、討伐ランクが高くて倒せる者があまり居ないらしい。

 「ほぉ…? あとは調理をしてみない事には、メニューになるかどうかはわからんな?」

 俺は職員から、生息地を聞き出して討伐しに行った。
 だが、このロックバードという魔物は、とても厄介な特性を持っていたのだった。
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