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第四章 別大陸での活動の章

第六話 船旅…(これも色々ありました。)

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 今日も海の上を進んでいる。
 乗船して2日目が過ぎた。
 波は穏やかな物だが、穏やかな状況でない者が数名いる。
 ガイウスとレイリアとクリスだった。
 僕とクリアベールが何ともない。
 話を聞けば、クリアベールの実家は海の近くの村で船には慣れているという。
 僕も乗り物酔いは無い…というか、こんな穏やかに進む状態で酔う意味が解らん。
 だが、エルヴ族とミ・スラテ族…耳の良い種族は、どうも三半規管が弱いらしい。
 まぁ、この船には幸い、船酔いの無い冒険者たちが控えている。
 気長に行きましょう…何て言って2日が過ぎた訳だが、やる事がない。

 「危険海域を抜けました。 暇を持て余している方、釣りをしても良いですよ!」

 船員から許可を貰ったので、釣りを始める事にした。
 何で釣りをするかって?
 理由は2つある、そこに海があるからだ!
 もう1つは、ひ・ま・だ・か・ら・だ!
 クリアベールもやると言ったので、竿をもう1本作って釣りを始めた。

 ゆったりとした時間が過ぎる…
 2時間ほど釣りをしているが、僕のバケツは空のままだった。
 
 「やったぁ! また釣れた!」
 「おぉ!」

 この2時間ほどでクリアベールの釣り上げた数は20匹目になる。
 もうバケツというより、生け簀に入っていた。
 マグロ、カツオ、ハマチ、ブリなど…。
 多分名前も違うのだろうけど、いちいち釣り上げた物を【舌鑑定】するのも面倒だった。
 まぁ、どうせ調理するのは船のコックだし…
 僕も捌きたいが、自分で釣った物以外は捌きたいとも思わない。
 プライド…ではないが、意地のような物である。
 そう言っている間に、クリアベールは更に1匹釣り上げた。
 クリアベールは僕を見てドヤ顔をしている。
 はいはい、僕の負けですよ。
 いつの間にか、釣りは勝負になっていた。

 その夜…
 クリアベールの釣り上げた魚は、料理として並んだ。
 元々この船には食料を多く積んでいたが、釣れた量を考えると節約しなくても済む量になっていた。
 実は…何故こんなにゆっくりしているかというと、当てにしていたレイリアがダウンしているからだ。
 風魔法で船をブーストすれば、早く進めると思ったのだが、船酔いをしている者に強制は出来ないので諦めるしかなかった。
 
 3日目…
 今日もやる事がなく釣りをしていた。
 相変わらず僕のバケツは空だった。
 クリアベールはというと、昨日の勝ち誇った姿が腹立ったので糸修行をしてもらっている。
 半日以上釣ってみたが、収穫はゼロだった。

 4日目…
 いい加減、飽きてきた。
 海神の加護が効かないモンスターも出てきたので憂さ晴らしになるかもしれないと思ったが、あっという間に護衛の冒険者が倒していった。
 少しでも早く船を進める為に、テンペストストームを使ってみたが…
 船が大きすぎて、魔法の効果はほとんどなかったので諦めた。

 5日目…
 この日は少し波が荒かった。
 立っていられない程ではなかったが、かなり揺れた。
 そういえば船室にいるガイウス達は大丈夫だろうか?
 そう思って見に行くと、うん…死んでるね。
 ピクリとも動かなかった。

 6日目…
 海神の護符が効かないモンスターがまた現れた。
 今度の敵は、物理攻撃では倒せない位にヌメヌメしたヌタウナギみたいなモンスターだった。
 護衛の戦士も武器が役に立たなかった。
 魔導士が風魔法で応戦していたけど、船に燃え移る可能性がある火魔法は使えないので手こずっていた。
 
 「あれ、僕が貰っても良いですか?」
 「頼む! 俺達じゃ歯が立たない。」

 この鬱憤を晴らす最高の敵が現れたので…
 
 「右手に氷…左手に雷…中央に土…複合統一魔法・アブソリュートォォォォォ!!!」

 つい本気を出してしまい、ヌタウナギを全身凍らせた。
 そしてヌタウナギの額にアトランティカを突き刺した。
 
 《相棒…何しやがる…》
 《あ、ごめん。つい…》

 ヌタウナギは中までヌメヌメしていた。
 僕はアトランティカをクリーン魔法で綺麗にした。
 氷漬けになったヌタウナギをそのまま海に蹴りこんだ。
 
 7日目…
 やっと揺れに慣れてきたのか、ガイウスが復活した。
 だが、レイリアとクリスはダウンしたままだった。
 今日もモンスターが襲ってきたけど、冒険者で事足りた。
 あと13日もこんな日が続くのかと思うと、いい加減嫌になってきた。
 とはいえ、騒いだところで早く進む訳でもないので諦めるしかなかった。

 8日目…
 クリスが船酔いを克服した。
 まだ少しよろけていたが、食事をすれば元に戻るだろう。
 その日は、栄養のある物を作ってあげた。
 
 9日目…
 僕は船に現れる小説やゲームの災害級モンスターについて考えてみた。
 有名なのは、クラーケン…
 巨大なイカの化け物で、船に腕を絡みつけて沈めるという厄介な存在だった。
 
 次にクラーゴン…
 巨大なタコの化け物で、やる事はクラーケンと一緒なのだが、タコは船に乗っている人間を襲うんだよね。

 デスクラブ…
 巨大な蟹で、海に浮上してハサミや甲羅を使って体当たり等をするという厄介な存在。
 これも船を壊す奴が多い。
 
 他には巨大ザメ…
 船に体当たりして、船員を落として喰らうという残忍な奴だ。
 転覆させた方が餌にありつけると思うのだが…?

 非常に珍しいケースで、リヴァイアサン…
 巨大なウミヘビで、船に巻き付いて壊すという厄介な奴だが、実際に目にした人はいないそうだ。
 当然、出遭ったら最後、皆死ぬからだ。

 そして僕が何故こんな話を長々と話したかというと、目の前にテンプレなのか解らないが、巨大なウニが現れた。
 まぁねぇ…?
 クラーケンやクラーゴン、リヴァイアサンなんていうのじゃなくて良かったとは思っているが、なしてウニ?
 
 「何だ、このトゲトゲは!?」
 「こんな奴、どうやって倒せば!?」

 この世界には、ウニを食べる習慣は無いのかな? 
 これだけ大きいウニだ、実の詰まり方もさぞ多いだろう。

 「ガイウス、あいつの下に槍を刺してからひっくり返して。 そうすれば口があるから槍を刺して」
 「おぅ、わかった!」

 僕は雷魔法でウニの口の中に刺した槍を握って感電させた。 
 ウニが死ぬのを確認すると、アトランティカで殻を真っ二つにして中身を見た。
 中には綺麗なオレンジ色の実が詰まっていた。
 僕は【舌鑑定】をすると同時に味見をしてみた。
 うん、毒は無いな。
 僕は中身のキモを抜いて、殻を海に投げ捨てた。
 
 その日の夜に、ウニ軍艦を作って振舞った…が、全員口には入れたが、食べれる者と食べれぬ者に分かれた。
 僕の世界では高級食材なのだが、初めて見る物には抵抗があるんだろうなぁ…と思った。
 
 10日目…
 やっと半分。
 レイリアはまだ復活出来ない。
 この海域では釣りは禁止らしく、やる事がない。
 そして翌日、ついにとんでもない奴が襲ってきたのだった。

 11日目…
 船の左舷前方に船程大きくはないが、小さな島?が浮いてきた。
 また何かのモンスターかと思っていたら、大量の触手が船員や冒険者を襲い始めた。
 冒険者や船員に絡みついた触手を、僕はアトランティカで斬った。
 すると、触手は動かなくなった。
 触手を良く見てみると、それはコンブだった。
 この世界のコンブは人を襲うのかな?
 
 「見ろ! あいつがこの触手の本体だ!!」

 冒険者の声で前を見ると、小さな島?っぽいのから、多数のコンブがウネウネと動いて船に来た。
 島?には、多くのワカメがこびり付いている。
 僕は船員に聞いてみた。

 「あの島?みたいなのもモンスターなんですか?」
 「あいつは滅多に姿を見せない、トコブシェーターという貝のモンスターです。 体に付着している触手を操るんです!」

 トコブシェーター…ねぇ?
 海面の下の本体は良く見えないけど、あれってまんまトコブシだな。
 トコブシは元いた世界では、アワビと並ぶ高級食材だ!
 それに、触手がコンブで付着しているのがワカメ…
 なんという…食材の宝庫みたいなモンスターなんだ!!
 僕は歓喜に震えた…
 そして…

 「コイツは僕がヤる! 誰も手を出さないでくれ!!」

 冒険者達は、右舷の方に寄った。
 そして僕は、船の中央に行き迎え撃った。
 10本のコンブが僕を襲ってきたが、下に入り根本に近い部分をぶった切りにして、スキル【乾燥】を使った。
 すると、コンブは身が縮んだ。
 
 「これには手を触れないでね!」

 僕がそういうと、冒険者達は頷いた。
 トコブシェーターは、海中からコンブを再び出すと、僕に向けて襲ってきた!
 が…、先程の様にぶった切ってから【乾燥】をした。

 「ほれ、次来い次!」
 
 僕は手招きした。
 トコブシェーターは馬鹿の一つ覚えみたいに同じ攻撃を繰り返してきた。
 それを悉くぶった切り、【乾燥】を片っ端から行った。
 船の上には乾燥コンブが山の様に積まれている。

 「ほれほれどうした? 次来い次!」

 トコブシェーターは、コンブが打ち止めになると、船に向かってきた。
 僕は水魔法で殻の上に張り付いているワカメを全て取り切ると、トコブシェーターは動きを止めた。
 水魔法で洗ったワカメは、【乾燥】をして乾燥ワカメになった。
 そしてコンブは別な場所に山積みにした。
 
 「んで、どうするの? 君は…」

 トコブシェーターは焦って、海に潜ろうとした。
 
 「僕が逃がす訳…ないだろぅ!! ベル! 無属性糸でアイツを縛って引き寄せろ!」
 「え? えぇ? どうやってですか!?」
 「それくらい自分で考えろ! 逃がしたら、冒険中はオヤツ抜き&目の前で美味そうに食べられるという罰ゲーム…」
 「はい、やります!」

 クリアベールは、両手から多数の糸をトコブシェーターの体に巻き付けた。
 だけど、問題はあの巨体…
 クリアベールは、海に引きずり込まれそうになる。

 「ガイウス、クリス、あれを引っ張り上げろ!」

 ガイウス1人では無理だが、こちらにはクリスという女ハルクがいる。
 トコブシェーターを引っ張り上げると、船の甲板に置き、僕はトドメを刺した。
 そして、コンブ、ワカメ、トコブシェーターをそれぞれ球体に変化させた。
 これで、食材はゲットした…ではなく、モンスターは倒した。
 僕はクリアベールを労って、港町で作っておいたマカロンを渡した。
 これで終わり…と思っていたら、船が揺れた。

 「前を見てみろ! 渦を巻いている!!」

 その渦の中心から、何かがにょきっと出てきた。
 すると、巨大な蟹が現れて、船に向かってきた。
 
 「あれは… シェルイーターだ!!」

 船員が指を刺した。
 
 「シェルイーター? あの蟹は貝を食べるんですか?」
 「そうです、トコブシェーターを好物にしているクラブです。」

 つまり…?
 アイツも喰える!!
 それに貝を好んで食べるなら、味も良さそうだ!
 
 「皆! アイツを捕まえるぞ! アイツの身は間違いなく美味い、僕が調理してやる!!」
 『おおおぉぉぉぉぉぉ!!』

 冒険者達、ガイウスとクリスと僕はシェルイーターを迎え撃った。
 シェルイーターは甲板に上がってきて、クリスが盾で牽制した。
 その隙に冒険者達とガイウスが攻撃をしたが、硬い殻に阻まれた。
 僕は豪炎と豪水の合成魔法で、超熱湯の水玉を作るとシェルイーターを包んで甲羅が赤くなるまで茹で上げた。
 
 「蟹は殻が大きいけど、身の部分を考えると船の皆が食べるには足りないか?」

 そう思っていると、更に2匹の蟹が現れて甲板に来た。
 今夜は蟹祭りだ!
 そう思って、2匹の蟹も茹で上げた…のだが…?
 渦はまだ消えてない。
 まだ蟹がいるのかと見ていたら、何かが渦から飛び出てきた。
 巨大タコのモンスターのクラーゴンだった。

 「ちょっと待て…! 最初に貝が来て、次に貝を狙う蟹が来て、次はタコって…天敵ばっかじゃないか。 もしもこのタコを倒すと… って、タコの天敵ってなんだ?」

 とりあえず、目の前のタコ…クラーゴンの討伐が始まった。
 
 「皆、タコの足に捕まらないようにして、捕まると解けずに海に引きずり込まれるから… ガイウス! タコの弱点は2つの目の中心だから、槍でお願い!!」
 「おぅ、任せろ!」

 巨大なタコも、弱点が解っていれば怖くは無い。
 怖くは無いのだが、これだけ巨大だと捕獲は無理だろう…
 そう思った僕は、クラーゴンの足を数本、アトランティカでぶった切った。
 足を切られて足が4本しかないクラーゴンは、船から離れようとしていた。
 ガイウスがクラーゴン逃さないと、急所を突こうとしたが、狙いが逸れて目を刺してしまった。
 クラーゴンは妙な声を上げて、船から飛び上がって海に着地した…瞬間に巨大なウツボに巻き付かれて噛みつかれていた。
 
 「なんなんだ、この海域は…」
 「この隙に行きましょう!」

 クラーゴンが現れてから渦が消えていたので、船は早急にその場を走り去った。
 後方を見ると、ウツボはクラーゴンと死闘を繰り広げている。
 
 「もういないよな? もう出てこないよな!?」

 船の上にいる僕達は、周囲を警戒した。
 何もない事を確認して、僕達は甲板の上に乗っている物を見た。
 とりあえず、毒身をしてみる。
 蟹の甲羅を裂いて、【舌鑑定】で身を食べてみる。
 うむ、毒は無いな…しかし、美味いなこれ…。

 クラーゴンの足は球体魔法で収納して、とりあえず今日は蟹を食べる事にした。
 さすがにこの量は、余った。
 余った分は翌日の調理で使ってもらう事にした。

 12日目…
 僕は船室にきて、レイリアの様子を見た。
 ガイウスが目覚める前までは、クリアベールに面倒を見て貰っていた。
 ガイウスが復活した後は、ガイウスが面倒を見ていた。
 シルフィンダーに乗っていた時のレイリアは特に問題無かった筈なのに、船でここまで酔う物だろうか?
 僕はガイウスがいない事を確認して、レイリアの服のホックを外して【舌鑑定】をしてみた。
 症状的には、船酔い・栄養失調・ビタミン不足と出た。

 「解ったぞ! レイリアは軽い壊血病だ!」

 しかし、おかしいなぁ…?
 僕が作る食事には、バランス良く作っているから、ビタミン不足なんて起きる筈は無いんだが…
 もしもレイリアが食事によるビタミン不足なら、クリスやクリアベール、ガイウスも未だに寝ているはず…
 僕はガイウスを呼んで聞いてみた。

 「ガイウス、レイリアって…苦手な食べ物とかあるか?」
 「苦手な物? あいつは基本的に苦手な物は無い筈だが?」
 「なら、何故…壊血病になるんだろう?」
 「壊血病?」
 「あー…体の中にはビタミンという体を作る為の重要な要素なんだけど、それが破壊されてビタミンが不足している原因になっているんだけど…」
 「良く解らんが、何が原因なんだ?」
 「港町の酒場で僕がいない間、レイリアは出された料理だけ食べていた?」
 「あの時は確か…初めて食べる海鮮料理だったので、貝を良く食べていたな。 それ以降も、貝料理ばかり…」
 「あ、それが原因だ! 加熱した貝を食べ過ぎると、ビタミンが破壊されるんだ。」
 「レイリアは大丈夫なのか!? 死んだりしないよな??」
 「原因が解れば助かる方法はある。 だけど、ガイウスには1つ頼まれて欲しい事がある。」
 「なんだ、俺に出来る事があれば遠慮なく言え!!」
 「出来る事…というより、許可を得たい。」
 「まさか、死ぬかもしれないから覚悟してくれ…とか言うんじゃないだろうな?」
 「いや、胸を何度も舐める許可をくれと言いたいだけだ。」
 「ダン…貴様、ふざけているのか!?」

 まぁ、そう返されるよな?
 普通の鑑定魔法が使えればこんな提案はしないのだが。

 「うん、そういう反応になるよね? そうじゃなくてね、経過観察…と言っても解らないか。 治るまでの間、症状を確認したいんだよ。」
 「嘘は言っていないな…だが、顔を見て判断は出来ないのか?」
 「余程の重症なら顔を見れば解るだろうけど、軽度の場合は顔には出ない。 でも、意識は無いだろ?」
 「解った、俺もそばにいる。」
 「いや、出て行って欲しい。 身内がいるとやりづらいという意味ではないぞ。」
 「なら何だ!!」
 「それだよ、ガイウスは感情的になり過ぎて、ちょっとした事でも大袈裟に騒ぐから、冷静な診察がやり難いんだ。」
 「解った、妹を頼む…」

 ガイウスは部屋を出て行った。
 さて、これから忙しくなるな…
 僕はレモンとオレンジ、ライム等の柑橘系の果物を絞ってレイリアに少しずつ口に入れた。

 13日目…
 レイリアに柑橘系の絞り汁を少しずつ与えていた。
 だが、飲み込む気配がなく、口から垂れ流すという感じになっていた。
 まだ意識は目覚めない。
 僕は長期戦を覚悟した。

 14日目…
 絞り汁を飲ませようとしたが、やはり口からこぼしている。
 少しでも飲んで欲しいが、何度やっても同じ事の繰り返しだった。
 僕は汁を口に含み、口移しで飲ませてあげた。
 喉がなった音がしたので、飲み込んでくれたみたいだった。
 やっと1歩前進した。

 15日目…
 レイリアを【舌鑑定】してみると、少しは改善したようだった。
 でも意識が醒める気配は無かったので、口移しで少し多めに上げた。
 前よりも飲み込む量が多くなったので、最初よりかなり良くなっているだろうと思った。
 
 16日目…
 レイリアの意識がまだ完全ではないが戻った。
 絞り汁を渡すが、多くは飲めない。
 治療はまだまだ掛かる。
 だが、意識が戻った事は嬉しい事だった。
 
 17日目…
 だいぶ意識がはっきりしてきた。
 絞り汁も飲めるようになっていた。
 栄養失調の不安もあったので、蟹がゆを作って食べさせてあげた。
 半分残したが、食べれる様になっていた。

 18日目…
 もう、心配は要らないようだった。
 御粥も全部食べれる様になった。
 夜には普通に食事が出来る様になるだろう。
 ガイウスやクリス、クリアベールを呼んだら、久々に見るレイリアを喜んでいた。
 ただ今回、1つ気になっていた事があった。
 この状態、貝だけが原因ではないだろう?
 僕は女性に対して聞くのはどうかと思ったが、レイリアに尋ねてみた。
 やはり、ビタミン以外に女性特有の月の物が重なったみたいだった。

 19日目…
 レイリア完全復活だった。
 普通に食事も出来るし、甲板に出て外を眺める事も出来た。
 逆に僕は疲れてベッドで寝てしまった。
 その日は1度も起きる事が無かった。

 20日目…
 やっと船が港に着いた。
 ここは聖竜国グランディオ領内のサーテイル港だ。
 船から降りたガイウスとレイリアとクリスは、動かない大地に感謝をしていた。
 船酔いを克服しても、地面はありがたい物なのらしい。
 そして僕達は宿屋に行って部屋に入り、今後の事を話し合った。
 
 僕は思った。
 もう2度と船なんか乗るか!!
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