幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス

文字の大きさ
58 / 82
第五章 動き出す…?

第三話 お店に出すメニュー(いざとなると難しいです。)

しおりを挟む
 ガイウス達は、ロックバードの卵とミルクを回収してきてくれた。
 結構ボロボロな姿になっていたので、クリーン魔法と回復魔法をしてあげた。
 当然、これらの回収費用は払うと言ったのだが、断られた。
 食事で手を打つ事になった…のだが?

 「考えた結果、資金調達は国民の支援金ではなく、料理に金を出すという形にすれば心が痛まないという事になった…のだが、正直なんの料理屋を開こうか迷っている…」
 「ラーメン屋を開く!」
 「それも考えたのだが、箸が使えないとあの料理では麺を食べるのに苦労する。 フォークでも喰えない事は無いけど、箸と違って食器類で金が掛かるのにフォークの大量発注は元が取れない。」
 「惣菜パンの店を開くというのは?」
 「以前、この街にいた時に…パン職人に惣菜パンのレシピを渡したおかげで、今まで以上の売り上げで喜んでいるのに、それを阻害するような真似は出来ない。」
 「スィーツのお店は?」
 「クレープとかは考えた事はあるけど、卵は良いとしてミルク関連が圧倒的に足りない。」
 
 皆の意見を全うから否定する訳じゃないが、食事で腹にたまる物と考えるとすれば?

 「丼物か…」
 「丼物って、この世界に米は無いだろ?」
 「ウ…ウン、コメナンカナイヨー。」
 「ダン、何でカタコトなの?」
 「まさか、この世界に米があるのか⁉」

 やばい、知られたくない奴等に知られてしまった…
 絶対に次に出る言葉は…

 「「「「米が喰いたい‼」」」」
 
 こうなるんだよね…。
 仕方ない喰わせてやるか!
 それに料理屋に関してはこいつ等にも手伝って…いや、手伝わせるんだしな!
 僕は周りを見ながら小声で言った。
 
 「米は喰わせてやるから静かにしろ! 今からこっそりと街から離れるから、ガイウス達にはバレない様にするんだ!」
 
 4人は頷くと、僕等はこっそりと宿から出た。
 そして、街から出た場所の草原の中で準備をした。

 「まず飛鳥は、ここら辺の草を刈って開けてくれ。 賢斗は魔法で椅子とテーブルを作ってくれ。 華奈は守護結界を、翔也は周囲の警戒を頼む!」
 「ダンだけじゃ心配だから、私も手伝おうか?」
 「いや、その為に華奈には守護結界を使って欲しいんだ。 調理中に邪魔されたら食材が勿体ないから!」
 「うん、分かったわ! 守護結界発動!」
 「「「「助かった…」」」」

 さてと、色々と工程が面倒だがやるか!
 まず、キッチンを解除する。
 コンロに火をつけて、生活魔法の水魔法で鍋に水を満たしてからコンブで出汁を取る。
 その間に玄米を風魔法で殻を取って白米にしてから、鍋に入れて水を浸す。
 糠漬けを玉から解除して、ニンジンとダイコンときゅうりの漬物を水魔法で洗う。
 水を浸していた白米を炊く。
 出汁を取り終えたコンブを出してから、味噌を溶かしてワカメと豆腐を入れて…

 「あ、ネギがなかったな。 樹魔法・ネギの芽…植物成長!」

 地面から芽が出たネギを植物成長で一気に成長させる。
 そのネギを刻んでみそ汁の中に入れる。
 
 「あ、器もなかったな。 賢斗、この丸太で箸を5人分と茶碗と御椀5個ずつ作ってくれ。」
 「あぁ、了解!」
 
 賢斗が風魔法で丸太を削っている間に、白米の様子をみる。
 そろそろ出来上がると思い、火を消してから少し蒸らす。
 この辺りに、米の炊ける匂いとみそ汁の香りが漂っている。

 「こんな感じで良いか?」
 「どれどれ…って、もう少しうまく作れないか?」
 
 僕は風魔法で丸太を削り、箸と御椀と茶碗を作って賢斗に見せた。
 
 「僕にはここまでの完成は無理だ!」
 「魔力操作と魔力調整が雑なんだよ、分かったかい賢者様!」

 賢斗は悔しそうな顔をした。
 まぁ、それはさておき…茶碗に米を装ってお椀にみそ汁を入れた。
 そしてテーブルの中心に糠漬けを用意した。

 「今はこんな物だが、ここ何日かは肉ばっかで飽きていただろうから、シンプルな物で良いよね?」
 「充分だ!」

 皆はみそ汁を口に入れてから、白米を口入れて糠漬けをつまんだ。
 召喚後から既に何か月経っていただろうか?
 久々に食べる米に皆は涙を浮かべてた。
 そしてお替りを強請られ、白米もみそ汁も全て無くなった。
 皆は満足そうな顔をしていた。

 「ところでさぁ、何でガイウスさんには内緒なんだ?」
 「以前米を喰わせたら、その後もしつこく催促してくるんだよ。」
 「ちなみに、この米はどこで採れるんだ?」
 「テルシア領内のアーベント草原に生えていた。 こっちの世界の人間は、米を家畜の餌として用いるので食べる習慣は無いんだと。」
 「この味噌はどうしたんだ?」
 「作った。」
 「このコンブとワカメは?」
 「海のモンスターでトコブシェーターという奴から倒したら手に入った。 この世界ではコンブもワカメも食べないらしい。」
 「この豆腐も作ったのか?」
 「味噌や醤油などと一緒にね。 他にも、みりんや酢や砂糖や塩も作ったよ。」
 「そういえばダンは、元いた世界でも調味料は自作していたよな…」
 「海鮮丼でも…と考えたんだけど、この世界の人達って生魚を喰う習慣が無いから、海鮮丼は作っても売れる気がしないしな…」
 
 まぁ、手っ取り早く丼物にするなら、肉丼なんだけど。
 この世界の人達の食生活がほぼ肉とパンだからな。

 「鰻丼でも作ってみるかねぇ…?」
 「この世界ってウナギいるのか?」
 「川に大量にいる。 地方とかでは食べる習慣はあるらしいけど、この地方では食べる事が無いから大量に繁殖している。」
 「食べた事あるの?」
 「あるよ、調理してね。 ただ…」
 「ただ?」
 「ベルは食べたけど、ガイウスや魚好きのクリスは敬遠していたな。 調理を見せたのがいけなかったのかな?」
 「なら、別な物にすれば良いじゃないか! 別にウナギだけじゃなく、豚丼とか…」
 「そうなると、米が大量に必要だな。 まぁ、これは何とかなるから…賢斗はレストランか屋台の商業申請を商業ギルドで許可貰って来てくれないか?」
 「任せろ! 得意分野だ。」
 「翔也と飛鳥は、ベルも一緒に連れて川でウナギの捕獲を頼む。 華奈は、賢斗のサポートに回ってくれ」
 「「「わかった。」」」
 「2日間くらい留守にするぞ、米の当てはあるんだけど、少し遠いのと交渉を早くする為にガイウス達を連れて行くから。」

 それぞれの役割が決まったところで、僕等はそこで解散して持ち場に着いた。
 僕は宿に戻ってからガイウスとレイリアとクリスを連れて、シルフィンダーに乗せた。

 「ダン、俺達をどこに連れて行く気だ? 店の食材集めで狩りに行くのか?」
 「半分正解で半分外れ。 エルヴの集落に行くので、久々の里帰りだ。」
 「久々に母様に会えるのね! でも、なんでクリスも一緒なの?」
 「ガイウスの将来の嫁さんなんだろ? クリスって…なら紹介しておかないと。」
 「にゃにゃにゃ…にゃんですって⁉」
 「馬鹿野郎! 俺達はまだそんな…」
 「二人とも顔を赤くして否定しても説得力ないぞ! 飛ぶぞ!」

 シルフィンダーのフライトモードで全速力でエルヴの集落に向かった。
 だが、その集落で一悶着ある事をこの時の僕等は考えもしなかった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件

☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。 もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。 俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

処理中です...