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第三話 実践経験
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アキラは草原を歩いていた。
夜では無い昼間の時間では、活動している魔物はそう多くなさそうで…ほとんど見つからなかった。
「ここは定番のウサギとかいれば、危険性も無くて魔法が試せるのになぁ…」
カメラによるストレージ機能は試した。
カメラで写した石が本当にスマホの中のストレージに入ったのだった。
ストレージを確認していると、棍棒型の杖と数本のナイフが入っていた。
恐らくこれも、神が考慮して入れてくれた物なのだろう。
俺は棍棒型の杖を取り出して、草原を彷徨っていた。
すると背後から何かが迫ってくる音が聞こえた。
臆病で警戒心が強いウサギが向かってくる事は無いから、来たとすれば何か別の生き物だろう。
俺は棍棒型の杖を構えながらその物が姿を現すのを待った。
すると…そこに現れたのは、巨大な手負いの猪だった。
明らかに先ほどまで攻撃を受けていたような切り傷と矢が数本刺さっていた。
「…って、初っ端からコイツかよ⁉︎」
最初の予定していた魔物とは少し狂ったが、俺は杖を構えながら手負いの巨大な猪に向かって魔法を唱えてみた。
俺の魔法は部分的な箇所だと威力は高く、全体だと威力が落ちるという物らしい。
ただし、全体に掛けてしまうとそれ以上に重ねる事は出来ないが、部分的だと他の箇所に重ねて掛ける事も可能らしい。
まずはコイツの背中に的を絞って魔法を放つ事にした。
「この魔物の背中に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
俺は魔法を唱えてみた…が、特にこれと言って何かが起きた訳ではなかった。
炎魔法なら杖から炎が…氷魔法なら杖から氷が出るという感じになるだろうが、俺の魔法にはそういう見た目でわかる効果というかエフェクトが全く無かった。
若干の脱力感はあったが…?
「先程までコッチを睨み付けていた猪が全く動かんな、魔法が効いているのか効いていないのかが良く分からん!」
もしも前者なら、俺の転移したばかりの人生が終わる。
悪いがこんな巨大で足が速そうな奴に追い掛けられたら逃げられる自信が無いからだ!
だけど後者なら…?
すると猪の動きに変化が現れた。
猪は急に体をクネクネと動かしながら地面に倒れると、腹を空に向けながら背中を地面に擦り付けていた。
「これは一応成功したんだよな…? なら追加だ! この魔物の股間に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
猪にこういう魔法を使ったら、どういう対処をするのだろうか?
人間の場合ならパンツの中に手を入れてから搔きむしるだろうが、猪の短い手足では股間には届かない筈?
すると猪は起き上がり、後ろ脚を開いて地面に股間を擦り付けていた。
だけどすぐにまたひっくり返ってから背中を、起き上がって股間を…という感じで繰り返していた。
一度放った魔法はこちらが解除しない限り永久的に続く物らしい。
これはある意味、拷問的な…最強な魔法と言えるのだろう。
「次は何処を狙うかな? あ、自滅して貰おう! この魔物の額に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
すると猪は立ち上がり、近くにあった岩に対して額を何度も何度も打ち付けて行った。
これだけでも十分にえげつない位に最強な魔法なのだが、箇所を変更するとどうなるのだろうか?
今迄は体の表面に関する部分の痒みを刺激したのだが、体の内部なら?
「この魔物の脳に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
すると猪は発狂に似た声を上げ口から泡を吹きながら…先程よりも強烈な頭突きを岩に打ち付けていた。
目に見えるエフェクトらしき物が無いから全く解らないが、ここまで発狂した声を上げているのなら効果があったのだろう。
そして猪は…頭から血を吹き出してその場で倒れた。
俺は何も手を下さずに、この手負いの巨大な猪を倒したのだった。
そして俺はレベルが上がり、目の前にステータス画面が表示された。
「レベル6か…特に大したステータスの変化は見られないな?」
これも俺に与えられたチート能力の影響なのか、HPもMPも一万近くある。
この世界での標準は解らないが、結構多いのだろうか?
魔導書を開いても次の魔法はまだ取得出来ない所を見ると、まだまだレベルを稼がないといけないらしい。
「これは確かに考えようによっては最強の魔法に違いはないが…これがゴーレムやアンデットにはどう影響が出るんだ?」
まぁ、目の前にいないのだから確認のしようがない。
俺はとりあえず目の前のコイツをどうするか考えた。
すると、遠くの方から複数人の声が聞こえて来た。
「おーい、大丈夫か~~~?」
「済まない、こちらで仕留めきれずに逃がしてしまったが…って、君が1人で倒したのか⁉」
「あぁ…まぁ。」
目の前には4人のハンターらしき者達がいた。
男女2人ずつのハンターで、年齢は俺より少し上くらいだろうか?
「我々は仕留められずに君が仕留めたので、コイツの権利は君にあるのだが…どうする?」
「俺にこんな巨大な猪を渡されても対処に困るだけだから、そちらに譲るよ。 代わりにコイツを捌いて出た肉を少し分けて欲しい。」
「そんな物で良いのか?」
「あぁ、俺には手が余るからな。」
「なら遠慮なく戴くとしよう。 君も着いて来てくれ、コイツの料理を振舞ってやろう!」
4人のハンターは荷台に巨大な猪を乗せた。
そしてその場から近くの街に向かって出発したのだった。
「あ、名乗り遅れたな! オレは冒険者ギルドのハンターでガイストだ。」
「俺の名前はアキラという。 ちょっとした魔法が使える非力な人間だ。」
「ワイルドボアをソロで倒せる奴が非力って…君は謙虚なんだな!」
そうか、コイツはワイルドボアというのか。
複数の魔物が出現した時に、この魔物…では今後上手く魔法が発動出来ないかもしれないな。
街で魔物の種類を学んでみるか!
俺は4人のハンターの後を着いて行き街に入った。
異世界転移初の街!
俺の物語はここから始まる!
…のだが、果たしてこの魔法でどこまでやれるのかねぇ?
夜では無い昼間の時間では、活動している魔物はそう多くなさそうで…ほとんど見つからなかった。
「ここは定番のウサギとかいれば、危険性も無くて魔法が試せるのになぁ…」
カメラによるストレージ機能は試した。
カメラで写した石が本当にスマホの中のストレージに入ったのだった。
ストレージを確認していると、棍棒型の杖と数本のナイフが入っていた。
恐らくこれも、神が考慮して入れてくれた物なのだろう。
俺は棍棒型の杖を取り出して、草原を彷徨っていた。
すると背後から何かが迫ってくる音が聞こえた。
臆病で警戒心が強いウサギが向かってくる事は無いから、来たとすれば何か別の生き物だろう。
俺は棍棒型の杖を構えながらその物が姿を現すのを待った。
すると…そこに現れたのは、巨大な手負いの猪だった。
明らかに先ほどまで攻撃を受けていたような切り傷と矢が数本刺さっていた。
「…って、初っ端からコイツかよ⁉︎」
最初の予定していた魔物とは少し狂ったが、俺は杖を構えながら手負いの巨大な猪に向かって魔法を唱えてみた。
俺の魔法は部分的な箇所だと威力は高く、全体だと威力が落ちるという物らしい。
ただし、全体に掛けてしまうとそれ以上に重ねる事は出来ないが、部分的だと他の箇所に重ねて掛ける事も可能らしい。
まずはコイツの背中に的を絞って魔法を放つ事にした。
「この魔物の背中に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
俺は魔法を唱えてみた…が、特にこれと言って何かが起きた訳ではなかった。
炎魔法なら杖から炎が…氷魔法なら杖から氷が出るという感じになるだろうが、俺の魔法にはそういう見た目でわかる効果というかエフェクトが全く無かった。
若干の脱力感はあったが…?
「先程までコッチを睨み付けていた猪が全く動かんな、魔法が効いているのか効いていないのかが良く分からん!」
もしも前者なら、俺の転移したばかりの人生が終わる。
悪いがこんな巨大で足が速そうな奴に追い掛けられたら逃げられる自信が無いからだ!
だけど後者なら…?
すると猪の動きに変化が現れた。
猪は急に体をクネクネと動かしながら地面に倒れると、腹を空に向けながら背中を地面に擦り付けていた。
「これは一応成功したんだよな…? なら追加だ! この魔物の股間に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
猪にこういう魔法を使ったら、どういう対処をするのだろうか?
人間の場合ならパンツの中に手を入れてから搔きむしるだろうが、猪の短い手足では股間には届かない筈?
すると猪は起き上がり、後ろ脚を開いて地面に股間を擦り付けていた。
だけどすぐにまたひっくり返ってから背中を、起き上がって股間を…という感じで繰り返していた。
一度放った魔法はこちらが解除しない限り永久的に続く物らしい。
これはある意味、拷問的な…最強な魔法と言えるのだろう。
「次は何処を狙うかな? あ、自滅して貰おう! この魔物の額に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
すると猪は立ち上がり、近くにあった岩に対して額を何度も何度も打ち付けて行った。
これだけでも十分にえげつない位に最強な魔法なのだが、箇所を変更するとどうなるのだろうか?
今迄は体の表面に関する部分の痒みを刺激したのだが、体の内部なら?
「この魔物の脳に猛烈な痒みを…抗う事は出来ない!」
すると猪は発狂に似た声を上げ口から泡を吹きながら…先程よりも強烈な頭突きを岩に打ち付けていた。
目に見えるエフェクトらしき物が無いから全く解らないが、ここまで発狂した声を上げているのなら効果があったのだろう。
そして猪は…頭から血を吹き出してその場で倒れた。
俺は何も手を下さずに、この手負いの巨大な猪を倒したのだった。
そして俺はレベルが上がり、目の前にステータス画面が表示された。
「レベル6か…特に大したステータスの変化は見られないな?」
これも俺に与えられたチート能力の影響なのか、HPもMPも一万近くある。
この世界での標準は解らないが、結構多いのだろうか?
魔導書を開いても次の魔法はまだ取得出来ない所を見ると、まだまだレベルを稼がないといけないらしい。
「これは確かに考えようによっては最強の魔法に違いはないが…これがゴーレムやアンデットにはどう影響が出るんだ?」
まぁ、目の前にいないのだから確認のしようがない。
俺はとりあえず目の前のコイツをどうするか考えた。
すると、遠くの方から複数人の声が聞こえて来た。
「おーい、大丈夫か~~~?」
「済まない、こちらで仕留めきれずに逃がしてしまったが…って、君が1人で倒したのか⁉」
「あぁ…まぁ。」
目の前には4人のハンターらしき者達がいた。
男女2人ずつのハンターで、年齢は俺より少し上くらいだろうか?
「我々は仕留められずに君が仕留めたので、コイツの権利は君にあるのだが…どうする?」
「俺にこんな巨大な猪を渡されても対処に困るだけだから、そちらに譲るよ。 代わりにコイツを捌いて出た肉を少し分けて欲しい。」
「そんな物で良いのか?」
「あぁ、俺には手が余るからな。」
「なら遠慮なく戴くとしよう。 君も着いて来てくれ、コイツの料理を振舞ってやろう!」
4人のハンターは荷台に巨大な猪を乗せた。
そしてその場から近くの街に向かって出発したのだった。
「あ、名乗り遅れたな! オレは冒険者ギルドのハンターでガイストだ。」
「俺の名前はアキラという。 ちょっとした魔法が使える非力な人間だ。」
「ワイルドボアをソロで倒せる奴が非力って…君は謙虚なんだな!」
そうか、コイツはワイルドボアというのか。
複数の魔物が出現した時に、この魔物…では今後上手く魔法が発動出来ないかもしれないな。
街で魔物の種類を学んでみるか!
俺は4人のハンターの後を着いて行き街に入った。
異世界転移初の街!
俺の物語はここから始まる!
…のだが、果たしてこの魔法でどこまでやれるのかねぇ?
応援ありがとうございます!
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