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2巻

2-1

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「ガードが甘いぞ!」
「はい!」

 朝早く目が覚めた千夜せんやは、新たに眷族けんぞくとなった吸血鬼のエルキオと共に、朝稽古あさげいこをしていた。
 奴隷どれいだったミレーネ達と比べると断然強いが、まだまだだと千夜は感じている。
 結局最後は、エルキオの剣がはじき飛ばされて終わった。

「これから頑張がんばれよ」
「はい!」

 笑顔で千夜に返答したエルキオ。
 そのあとは二人で風呂に入り、汗を流した。
 居間で料理人ロイドの食事を待っていると、千夜の妻である三人、エリーゼ、ミレーネ、クロエがプルプルと脚を震わせてやって来た。昨晩の激しい情事が原因だろう。
 メイドのマリンに見つかり、「センヤ様みたいに早く起きてきてください」と怒られている。
 そんなこんなで、朝食を終えた一同。

「さてと、今日はエルキオを冒険者登録させて、俺達のクランに登録。それから昇格試験を受けてもらう。これはエルキオだけでなく、ミレーネ、クロエ、そしてエリーゼもだ」
「待って。私は確かにAランクの冒険者だったけど、それは数年前の話で……それに伯爵はくしゃくとしての仕事が」
「仕事に関しては問題ない。ベルグが引き受けてくれた」
「ベルグって?」
「皇帝のベイベルグだ」

 エルキオ以外の全員が驚く。エルキオは当然といった表情をしていた。

「皇帝がそう呼んで欲しいと言うからな。それで、保留していた褒美ほうびの内容を、伯爵の仕事の代行にしたから大丈夫だ。良かったな。これで心置きなく体を動かしてせられるぞ」
「バカッ!」

 エリーゼは顔を真っ赤にして叫ぶ。その瞬間、みんなの笑い声が響き渡った。


 千夜達が冒険者ギルドに移動し中に入ると、途端に騒々そうぞうしくなった。

「来たぞ、『漆黒しっこく鬼夜叉おにやしゃ』が!」

 一斉に冒険者達によって囲まれてしまう。

「おい、これはなんだ?」

 千夜も状況が理解できず、少し戸惑っていた。
 受付嬢のマキが答える。

「センヤさんが帝国の英雄になったからですよ」
「英雄だと……」

 その言葉に、流石さすがの千夜も目を見開き驚いた。

「はい。宰相さいしょうベルルクによる国家壊滅の危機を防いだ英雄です」
「なんで知ってるんだ。緘口令かんこうれいは出なかったのか?」
「出ませんでしたよ。それどころか皇帝陛下みずからが公言していました。『我が国を救った英雄、漆黒の鬼夜叉』って」
(あの野郎。なんで言いふらすんだ)

 あきれてひたいに手を当てる千夜。
 だが仕方が無いことである。多数の貴族の前で発覚した国家壊滅の危機を隠し通すのは難しい。
 いつか知られるのなら、首謀者しゅぼうしゃであるベルルク・ペルチを断罪し、帝国を救った千夜を英雄にしてしまった方が、民衆の不安も小さくなる。

「それでセンヤさん。五十人以上の吸血鬼を斬り倒し、貴族級を眷属にしたと聞きましたが」
「事実です」

 答えたのは、千夜ではなくエルキオだった。
 冒険者達は警戒して武器に手を伸ばしそうになるが、そこで止まった。
 これはエルキオを信じたのではなく、エルキオの主である千夜を信頼しているからだ。

「センヤさん、もしかしてこの子が……」
「そうだ。このエルキオが吸血鬼だ。エルキオ、悪いがまた自己紹介をしろ」
「はっ! 私はエルキオ・ロバン。ロバン男爵家の三男だった者です。今はセンヤ様につかえる吸血鬼です。主と主の奥方に手を出したときは……」

 紅の瞳が冒険者達を見つめる。
 決してにらんでいるわけではない。それでも冒険者達は汗を流し、無言で何度も首を縦に振った。

「さてとマキ。エルキオの冒険者登録を頼む。それとミレーネとクロエ、エリーゼとエルキオの昇格試験を受けたいんだが」
「わかりました。それではエルキオさん、こちらの水晶に手をかざしてください。そのあとにこちらに必要事項を書いてもらえますか?」
「わかった」

 水晶に手をかざしたあと、必要事項を書いていくエルキオ。

「確認させていただきます。名前はエルキオ・ロバン。種族は吸血鬼。年齢十四歳。戦闘スタイルは剣士。魔法属性は火、水、闇ですね。三属性もあるなんて、流石は吸血鬼といったところですね」
たいしたことはありません。主は全属性使えます」
「え?」

 エルキオの言葉に、全員がほうけた顔になる。

(あのバカ。ま、やるとは思っていたが)

 千夜はそんなこと思いながら、またも額に手を当てた。

「ん、知らなかったのですか? 主、言ってなかったのですか?」
「ああ。なるべく目立ちたくないからな」
「もっ、申し訳ありません! 主の意思にそむいてしまい!」
「別に良い。だが次からは気を付けろ」
「はっ!」

 その場にひざまずくエルキオ。

「あ、あのうセンヤさん」

 不穏ふおんな空気をまとってマキが尋ねてくる。

「なんだ?」
「どうして、登録の時にうそを書いたんですか?」
「別に嘘は書いてないだろ。俺は『火』と『風』しか書いてないが、嘘ではないはずだ」
「確かにそうですけど……」
「このふたつ以外は必要ないと思ったんだ」
「……わかりました。でも、明らかになったからにはギルドカードを更新させてもらいます」
「いや、別に――」
「更新させてもらいます」
「だから――」
「更新させてもらいます」
「…………」
「更新させてもらいます」
「はい」

 笑顔で迫ってくるマキに、千夜は断ることができなかった。

「それでは『月夜の酒鬼』の皆様、こちらで昇格試験を行います」

 こうして昇格試験が実施されることになった。
 これが、最強のクランだと世界中に知れ渡るきっかけになるとは、この時の千夜は思いもしなかった。


 千夜達は地下にある訓練所へと移動してきた。

「で、なんでバルディがいるんだよ」
「良いじゃねぇか。ミレーネ達の試験が終わったら、お前をXランクにできる」
「おい、なんでSSSランクを飛ばしてるんだ?」
「そりゃあ簡単だ。Aランクの吸血鬼を一人で五十二体倒したんだ。それぐらいしてもおかしくない。それに、Sランクの吸血鬼も含まれていたからな」

 Aランクの吸血鬼は、Sランク冒険者一人か、Aランクのパーティーに相当する。
 そんな吸血鬼を五十二体も倒したとなれば、それだけでSSSランクになれる。
 しかも千夜には貴族級を倒す力があり、尚且なおかつ眷属にした実績もあるため、こうしてXランクにしようというのだ。

「とりあえずわかったが、いつから昇格試験は見せ物になったんだ?」

 千夜は半眼でバルディに問いかける。
 訓練所は、観戦のためやって来た冒険者であふれ返っていた。

「ま、良いじゃねぇか。減るもんでもないしよ。それより、エルキオの相手は俺がさせてもらう。構わないよな?」
「相手できるのがお前ぐらいだからな。仕方ない」

 千夜は嘆息たんそくしながら了承した。

「さてと……そんじゃ始めるぞ。まずは誰からだ?」

 バルディが大声で、周りの冒険者達にも聞こえるように問いかける。

「私がいきます!」

 最初に手を上げたのはエリーゼだった。

「おいカリサ、お前が相手しろ」
「はい!」

 バルディに呼ばれた試験官カリサは元Aランク冒険者の女性で、二人は訓練所の真ん中で対峙たいじする。

「始め!」

 バルディの合図で試験が開始された。
 エリーゼは即座に火矢ファイヤーアローを六本作り出し、カリサに向かって放つが、カリサの土壁アースウォールよって防がれた。
 それを読んでいたエリーゼが、左側面から訓練用の短剣で攻撃する。
 驚きつつも後方へ跳び回避したカリサ。短剣が胸鎧に当たり、金属音が軽く響いた。
 カリサもすぐに反撃に移り、ロングソードを振るってエリーゼとの間合いを詰める。同時に魔法を発動し、エリーゼの足下を数センチ陥没させた。
 エリーゼは体勢を崩し、回避を諦めた。その代わり火玉ファイヤーボールを作り出し、その場で爆発させる。
 カリサは回避行動が間に合わないと判断し、即座にロングソードを盾がわりにした。
 一方のエリーゼは、地面を蹴って後方に跳び、少しでもダメージを減らそうとする。
 お互いが爆風を喰らい、後方へ飛ばされた。

「おいおい、すごい闘い方をするな」

 観戦するバルディが苦笑いを浮かべていた。

「エリーゼは体力で劣るからな。魔法で攻撃しないと勝てないと判断したんだろう。そして魔法主体だとバレないために、近距離からの攻撃も混ぜている」
「だろうよ。でも、火玉ファイヤーボールを爆発させるとは……貴族のすることじゃないな」
「ま、そこは負けず嫌いが上回ったんだろ」

 千夜達とは別にエルキオ、クロエ、ミレーネの三人も話し合う。

「エリーゼ奥様は凄いことを考えますね」
「いや、あれはただ単に意地になってるだけだ」
「そうね。クロエの言うとおりね。エリーゼお姉さんはたまに頭のネジが外れるから」

 三人は驚きと呆れが混ざった表情をしていた。
 結局エリーゼは爆発のダメージが響き上手く立ち回れず、体力切れでカリサの勝利となった。

「なかなかの試合だった。残念ながら昇格はさせられない。それでもAランクとしては上位に入る実力だろう。次、頑張ってくれ」

 バルディの言葉に落ち込むエリーゼだが、すぐに訓練を頑張る決意をしたのだった。
 続いてクロエ、ミレーネの順に試験が行われたが、なんとも呆気あっけなかった。
 クロエは混合魔法で、ミレーネは水と風の同時発動による攻撃で、試験官を瞬殺した。
 Sランクに昇格した二人が喜ぶ一方、エリーゼはくやしそうな表情だ。それでも二人に賛辞を贈っていた。

「それじゃ、最後はエルキオだな。頑張れよ」
「はっ! 頑張らせていただきます」

 エルキオとバルディが中央で対峙し、マキの合図で試験が始まった。
 バルディの攻撃を難なくかわしたエルキオは、両手に持っていたロングソードに炎を纏わせて反撃する。
 結局バルディはそこから防戦一方となり、最後は大剣を弾き飛ばされて試合終了となった。

「まさか、この俺があっさり負けるなんてな。千夜に続いて二人目だぜ」
「いえ、流石はギルドマスターです。私の部下相手なら普通に勝っていたでしょう」
「そう言ってもらえると助かるぜ。エル坊」
「え、エル坊!?」

 驚くエルキオだったが、千夜に頭を撫でられて嬉しそうに目を細めた。

「さてと、エルキオは今からSSランクとする」

 バルディの宣言によって、エルキオは千夜よりも早くSSランクに昇格した。

「凄いですねエルキオは!」
「ほんとだ。私達よりも上だからな」
「さてと、センヤこれでお前を――」
「別に構わないが、せめて試験だけは受けさせてくれ」
「別に良いが、お前の相手をするのは嫌だぞ」
「おいギルマス……まあいい。俺の相手をするのはミレーネ、クロエ、エリーゼ、エルキオ、バルディ、それと試験官の三人。計八人が俺の相手だ」

 その言葉に、エルキオを除いた全員が青ざめていた。千夜が不敵な笑みを浮かべていたからだ。

「さて、新しく考えた魔法の実験……始めるぞ」
(嫌な予感がする!)

 八人は心の中で叫ぶのであった。
 そして訓練所の中央で、八対一で対峙する。数だけ見れば圧倒的だが、冷や汗を流していたのは八人の方だった。

「マキ、頼んだ」
「は、はい! それでは……始め!」

 マキの合図と同時に千夜は魔法を発動する。

蒼水八大蛇ヤマタノオロチ!」

 千夜の後方から、水で生成された大蛇が八体現れた。
 全長十メートルはある大蛇の群れが、標的を見据える。
 既に八人のうち半数が戦意を喪失していた。

「おいおい、嘘だろ……」
「凄い……流石は主」
めてる場合じゃないわよ!」
「あれをどうやって倒すんだ?」
「へ、蛇は苦手です!」

 バルディ、エルキオ、エリーゼ、クロエ、ミレーネが呟く。そして、一瞬だけ千夜に視線を向けてしまった。後悔すると本能的に理解していても。
 そこには、マッド・サイエンティストが新しい実験に心躍らせるかのように、狂喜の笑みを浮かべた男が腕を組んで立っていた。

み込め」

 わずかに弾んだ声音によって、蒼水八大蛇ヤマタノオロチは標的へと突き進み、大きな口を開いたのだった。
 それから一時間が経過して、ようやく全員が意識を取り戻した。

「ようやく目が覚めたか」

 冒険者やマキと一緒にお茶を楽しんでいた千夜が声をかける。

「主、あれはなんだったのですか?」

 エルキオの質問に千夜が答える。

「あれは、俺が考えたオリジナルの魔法だ」
「流石は主です」
「だから、褒めてる場合じゃないわよ。旦那だんな様は妻である私達を実験台にしたのよ!」
「いや、お前達ほど強い奴がこれまでいなかったからな。それに死ぬ確率が一番低い属性の魔法だから、大丈夫だ」
「大丈夫じゃないわよ!」

 エリーゼは息を荒くして怒鳴り散らしていた。

「センヤ。今、死ぬ確率が低い属性でって言っていたが……」
「そうだクロエ。全属性でヤマタノオロチを放つことが可能だ」

 千夜はそう言いながらお茶を飲む。一方のエリーゼ達は青ざめていた。一人エルキオだけは頬を赤らめていたが。

「さてと、バルディ。これなら文句ないだろ」
「ねぇよ。てか、戦う必要もないのに実験台にしやがって」
「文句を言うな。少しは力を見せとかないと、疑う奴がいるかもしれないからな」
「そうだけどよ。ま、ともあれセンヤ。お前は今日から世界唯一のXランクだ。人外のはるか高みに登り詰めた気分はどうだ?」
「あんまり、嬉しくはないがな」

 こうして千夜はXランクとなった。


 昇格試験が終わった『月夜の酒鬼』のメンバーは、受付でギルドカードの更新をして家に帰った。
 土地を買ってから金がないため、余計な買い物はしない。女性陣は残念そうにしていたが、千夜は当然のように無視する。
 待っていた執事のセバス達に今日の結果を報告すると、彼らも喜んでいた。
 それから、家の訓練所でスキルのレベル上げを行い、互いに良いところと悪いところを教え合う。
 エルキオの強さを知るために、エリーゼ、ミレーネ、クロエの三人対エルキオ一人で戦ってみたが、結果はエルキオの圧勝で終わった。
 一撃も与えることができず悔しがった三人も、すぐにエルキオの言葉に耳を傾ける。

(良い感じだな)

 千夜はそんなことを思いながら眺めていた。
 空があかね色に染まるまで模擬戦もぎせんをした千夜達は、全員で風呂に入った。
 エルキオは遠慮しようとしたが、女性陣に裸にされてしまう。

(私にもエリーゼ奥様ぐらいの胸があれば……)

 エルキオは自分の胸を触りながら、そんなことを考えていた。
 その夜も楽しく体を重ねた千夜達であったが、疲れていたため、いつもより少ない回数で眠りに就いた。
 翌朝、千夜が目を覚ますと事件が起きていた。

「主、女になりました」

 頬を赤らめていたエルキオがどこか嬉しそうに伝える。

「そうか。もしかして、今日が十五歳の誕生日だったりするのか?」
「いえ、誕生日は二ヶ月後です」
「少し早かったな。まずはみんなに報告だ」
「はっ!」

 エルキオは腰まであるウェーブのかかった銀髪をなびかせて返事をした。

「――というわけで、エルキオが朝起きたら女になっていた」

 男性陣はエルキオを見守るような笑みを浮かべ、女性陣は半眼で千夜を見つめていた。

「さて、女になったのだから、名前を変えなければいけないだろう。エルキオ、お前はどんな名前が良い?」
「あ、主にお任せしてもよろしいですか?」
「別に構わないが、良いのか?」
「はい! ぜひお願いします」

 上目遣いで懇願こんがんするエルキオに、千夜はひたいに手を当てて考える。

「エルザってのはどうだ?」
「エルザ…………はい、それでお願いします!」
「よし、これから、お前はエルザだ。みんなもこれからはエルザと呼ぶように」

 こうしてエルキオはエルザとなった。

(それにしても胸が……)

 エルザは自分の双丘を見下ろしながら、ニヤニヤとしてしまった。

「ねぇ、旦那様。エルザちゃんのために、服や下着を買いに行きたいのだけど」

 エリーゼは楽しそうに提案する。

「い、いえ! 私は主の眷属! そのような物はもったいないです!」
「いや、良いぞ買ってこい」

 千夜はお金の入った袋をエリーゼに渡す。

「あれ、センヤは行かないのか?」

 クロエが尋ねてくる。

「済まない。今日は少し用事があるから四人で行ってくれ」
「わかりました。センヤさんも気を付けてくださいね」

 ミレーネが笑顔で言うのに対し、千夜も笑顔で返事をするのだった。


       ◆ ◆ ◆


「くらえ!」
勇治ゆうじ下がって! 火矢ファイヤーアロー!」

 短縮詠唱によって放たれた火矢ファイヤーアローが胴体に着弾すると、ブラックウルフは悲鳴を上げて倒れた。
 最後の魔物を倒し、周りに敵がいないことを入念に確かめた少女が口を開いた。

「終わったようね」
「ここら辺の敵ならもう相手になら無いからな」
正利まさとし、油断は禁物です」
「わかってるよ、紅葉もみじ
「それじゃ城に戻ろうか」

 戦闘を終え、笑顔で森の中を歩く四人の男女。ファブリーゼ皇国によって異世界から召喚された勇者であり、二ヶ月前の実戦訓練で死亡した朝霧和也あさぎりかずやの幼馴染達である。
 桜井さくらい勇治、朝倉真由美あさくらまゆみ武田たけだ正利、霧咲きりさき紅葉の四人は、和也との約束を果たすため、あせる気持ちを抑え訓練にはげんでいた。
 四人が城に帰還すると、ファブリーゼ皇国第一皇女、セレナ・L・ファブリーゼが駆け寄ってきた。

「皆様、お帰りなさいませ!」
「ただいま。セレナさん」

 セレナの言葉に最初に返答したのが桜井勇治。正義感に溢れた少年だ。

「帰ってきたばかりで申し訳ありませんが、陛下がお呼びですので来てもらえますか?」

 四人は頭上に疑問符を浮かべながらも、セレナに続いた。

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