小川ヤクルト 躍進へのマネジメント

ドリームゲーム、オールスターの刺激
ここからAクラス入りを果たすために

――歴代OBの方々も、現在のチーム状況について、いろいろ心配していたようですね。

小川 大矢さんからはキャッチャーの心構えについてのアドバイスをいただきました。「事前にデータを研究して配球を考えることも大切だけれど、最終的にはキャッチャーが何を感じるのかが大切だ」ということを話していただきました。具体的に、すぐに何かが変わるとは思いませんが、大矢さんからいただいたアドバイスを中村悠平にもきちんと伝えたいと思います。

最下位とはいえ、まだまだ
巻き返せると思っている

――ドリームゲームの直後にはオールスターゲームもありました。広島・緒方孝市監督、巨人・原辰徳監督とともに、セ・リーグの代表として小川監督もベンチ入りしましたね。

小川 僕は正直、ただベンチに座っているだけのような感じでしたが、試合の合間に、緒方監督や原監督と話したりもしました。特に原監督とはいろいろな話をしました。具体的には話せませんが、采配の際に、覚悟を決めて決断することの重要性を改めて感じることとなりました。お互いにまだシーズン中なので、どこまでが本心なのか、本当に腹を割った内容なのかは、もちろんわかりませんが、僕自身にとっては参考になることも多かったし、新しい視点を獲得することになった気がします。

――交流戦明けに6勝2敗と復調の兆しもありました。しかし、オールスターブレイクを挟んで後半戦が再開し、心機一転を図りたいところだったけれど、巨人戦、阪神戦と続けて負け越し。なかなか浮上のきっかけをつかめません。

小川 交流戦明けの試合では先発投手陣が頑張ってくれたことが大きかったです。この形を後半戦でも続けたかったけれど、なかなか形にならないのが実情です。ペナントレースでは巨人の独走が続いていますが、「まだまだ巻き返せる」という思いは持ち続けています。

――マスコミに対して、小川監督はしばしば「まだまだAクラスは狙える」という発言もされていますね。

小川 その思いは本心です。確かに首位巨人とのゲーム差はかなり開いていますが、巨人以下の5球団はまだまだ混沌としているのも事実。新聞の順位表は、「首位からのゲーム差」の場合と、「一つ上のチームとのゲーム差」が表記されているケースがありますよね。確かに首位とのゲーム差を考えれば、10ゲーム以上も引き離されているのに「絶対に1位になります」とは言えないかもしれない。でも、目先の5位とのゲーム差、4位とのゲーム差を考えれば、追いつき追い抜いていくことは決して不可能な数字ではありません。

――確かに、例えば「首位と16ゲーム差もある」と感じるよりは、「5位とは5ゲーム差だ」と考えた方が、モチベーションも高く保てるような気がします。

小川 新聞報道では「自力優勝消滅」と報じられ、それが現状なのは確かです。でも、まだあきらめるには早いし、故障者が復帰し、戦力が元通りに戻れば、決して他球団に引けを取るとは思っていません。去年から何度も言っている「執念」を常に持ち続けて戦っていきたいと思っています。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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