東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

髙津監督が語る確かな手応え
「クローザー不在も、少しずつ投打がかみ合ってきている」

リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――前回、「今季最初の勝負の時期」と語っていた9連戦を5勝3敗1雨天中止と勝ち越しに成功しました。4月29日~5月1日の読売ジャイアンツ3連戦では3タテをくらわせ、トータルで4連勝もしました。フルメンバーではない中で、かなり善戦しているように見受けられますが、監督自身の手応えはいかがでしょうか?

髙津 選手たちはみんな、自分の役割に徹して頑張ってくれています。前回、「今はここが我慢のしどころだ」と言いましたが、少しずつ投打の歯車が噛み合う試合も増えてきているし、それぞれの選手が必死にプレーしていると感じています。

――その一方では、5月4日の中日ドラゴンズ戦のように、9回2点リードの場面で同点に追いつかれて、そのまま引き分けに持ち込まれてしまうなど、「クローザー不在」の影響が色濃く出ています。開幕戦以来、「クローザーがいない」という緊急事態が続いていますが、この点について、どのように感じていますか?

髙津 「クローザーがいない」ということは、チームにとってとても大きな痛手です。まず、勝利に向けての逆算ができません。いや、そもそもゲームトータルの計算も成り立っていません。現状では、たくさんの資料を見ながら、登板間隔、相手との相性などを考慮に入れて継投プランを立てているけど、それはやっぱり簡単な事ではありません

――田口麗斗選手が離脱した後は、石山泰稚、清水昇、木澤尚文、星知弥選手にセーブがついています。クローザーを固定することなく、そのときの調子や相手との相性によって起用していくというプランでしょうか?

髙津 そうですね。僕自身、監督に就任して以来「抑えを固定しないで戦う」というのは初めての経験なので、とても頭を悩ませています。ずっと手探り状態が続いているのは確かだけど、しばらくはクローザーを固定することなく、その日の状況、選手の状態を見極めながら起用していくことになると思います。ただ、それはチームにとって、あまりいいことだとは思っていません。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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