第2回恋愛小説大賞

第2回恋愛小説大賞

選考概要

編集部内で最終的に大賞候補として議論した作品は「真実の目覚める時」と「ドラマチック・ラヴァーズ」。「真実の目覚める時」は文章力、ストーリーの展開力ともに今回の候補作の中では、頭ひとつ抜けた作品であると評価した。ただ内容的には海外の登場人物で構成されるいわゆるハーレクイン風の恋愛小説であり、アルファポリスで出版するのは難しいであろうと考えた。一方「ドラマチック・ラヴァーズ」は女子高生の恋愛物語で、特に冒頭、通学電車での出会いは同世代の読者にとって非常に魅力的であろうと感じた。物語の展開はやや唐突で、表現が舌足らずなところも否めないが、そこを含めてもいわゆる横書きのケータイ小説としての出版の可能性があるのではと考えた。同時に今回の候補作の中では唯一出版の可能性がある作品であると評価した。最終的に大賞として選んだのは「ドラマチック・ラヴァーズ」。今後のWebコンテンツ大賞の運営も考え、やはり出版の可能性を最優先に選出しようということに落ち着いた。そのほかでは、「恋綾繋 ―こいあやつなぎ―」は非常に味わい深く面白い作品であった。商業的に考えると何か売りとなる核があるとよかった。また「Choose」は猫がキーとなっているのが魅力で、いまどきの20代女性のリアルな雰囲気が出ていてよかった。ただこちらも核となる力強さか感じられなかったのと、性描写表現とそれ以外の文体のアンバランスさも気になった。ほかに一次選考で候補作としてあがったのは「Make haste slowly」「聞こえる、恋の唄」「待雪草」「クジャクのように」「In the mirror ~ 鏡の底 ~」「かくれんぼ」「裸婦」「新吉原夕霧廊」「おいしいチェリーのいただきかた☆」「輻射点、ペルセウス」「空蝉」。

応募総数 276作品 開催期間 2009年02月01日〜末日

ドラマチック・ラヴァーズ

梶原ちな

編集部より

女子高生が電車ですれちがうだけだった男性と些細なきっかけで知り合い、恋に落ちていく過程は、同じ女子高生の読者にとって非常に日常的な設定なだけに、とても共感しやすいと感じます。また、その後の展開も簡単に両思いになるのではなく、登場人物それぞれの思惑が複雑に絡み合い、決して綺麗な気持ちだけで恋をしているわけではないところが、魅力的な物語となっていると思いました。今後、著者と相談しながら出版化を検討していけたらと考えております。

Make haste slowly

maribu

編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。板前のヒロイン、二股をかけている彼氏、クセのある性格のお隣さんと、登場人物の個性が強く、設定から読者を惹きつける魅力があると感じました。それに加えて、繊細な心情の描写、展開のテンポの良さなど、読者をどれだけ楽しませるか、どれだけ小説の世界に引き込むかを意識された、娯楽性の高い作品だと思います。今後の更新を楽しみにしたいと思います。

投票ユーザ当選者

投票総数 1,264票 当選 10名