第3回恋愛小説大賞

第3回恋愛小説大賞

選考概要

編集部内で最終的に大賞候補作としたのは「恋愛教室」「ミルクティー」「あの日のぼくら」「うさぎを愛でる会」「Virginity」の5作品。「恋愛教室」は図書委員のヒロインといがみあう生徒会長という恋愛設定が何より分かりやすく良かったが、やや全体的に落ち着きすぎていると感じた。「ミルクティー」は独特のほんわかと甘い世界観が大変魅力的であったが、もう少し強いストーリー展開があると良かったように思った。「あの日のぼくら」は十代の繊細な心模様と人間関係がよく描けている青春恋愛小説であったが、少し展開が唐突で感情的についていくのが苦しい感じがした。「うさぎを愛でる会」は文章もうまく世界観のつくりかたも完成されていたが、商業的な読者ニーズにやや疑問を感じた。「Virginity」は大変文章レベルが高い文芸系の恋愛小説であったが、舞台やそこに流れている空気感が古く、今出版するのは難しい作品だと考えた。編集部内の意見も分かれたが、そのままストレートに出版化するのはどの作品も難しいとの判断から、総合的に評価が高かった「恋愛教室」「ミルクティー」の二作を特別賞として選出した。その他に候補として挙がったのは「うさぎが逃げる」「蝋人形と王子様」「インビジブル・ラブ」「ザ・リアル・セレナーデ」「春夏秋冬」「少年ロマンス」「クラシカル・ガール」「彼女はモスキート」「ブルーノート 一文の恋」。これまでのWebコンテンツ大賞の中でも全体的に文章が上手くレベルの高い作品が多かったが、恋愛色が薄かったり、読者が見えづらかったりしたケースが多く残念だった。

応募総数 325作品 開催期間 2010年02月01日〜末日

なし

隣に誰かさん。EX

深月織

編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。密かに憧れていた男性から積極的にアプローチされるシチュエーションは、誰しも一度は思い描いた願望であり、ヒロインの鈴鹿が言うとおり、まさに現代の「シンデレラ・ストーリー」だと思います。また、プロポーズに至るまでの二人の心情や結婚準備の姿を描くことで、より深く鈴鹿に感情移入でき、読者が物語を追いかける愉しみも増していると思います。「恋愛」の楽しさをたっぷりと味わえる作品だと感じました。

ミルクティー

ミヤタケイ

編集部より

甘くほのぼのとした独特なタッチの文体をベースに、主人公「イト」、祖母の「ハタノ」、母の「エリコ」、幼馴染の「昇」の4人の登場人物がとても魅力的に描かれていると思います。それに加え、それぞれのキャラクターの関係性、そこから生まれる会話、そして「紅茶」というモチーフが、物語全体の世界観を上手く引き立てているため、読者も自然と作品世界に浸れ、「イト」と「昇」のじりじりとした甘い恋愛関係をたっぷり堪能できるのではないかと感じました。

恋愛教室

南 潔

編集部より

「いがみあっている図書委員長と生徒会長」というシンプルで分かりやすい構図に対し、ほのかな恋愛感情や、周囲の人たちの思惑などが複雑に絡み合っており、大変読者をひきつける作品だと思います。各キャラクターが巧みに書き分けられており、それぞれの言動に「このキャラクターは何を考えているのだろう」「これからどうなるんだろう」と、知らず知らずのうち物語に引き込まれていく読者も多いのではないかと思います。今後の展開も楽しみにしたいと思います。

投票ユーザ当選者

投票総数 2,428票 当選 10名