第7回ミステリー小説大賞
選考概要
編集部内で大賞候補作としたのは、「凍える星」「超越探偵 山之内徹」「ニャーロック・ニャームズ」「猫の住処へようこそ」の4作品。
選考の結果、いずれもそのまま出版化するのは難しいと考え、4作の中で最も読みごたえがあると編集部内で評価された「凍える星」を大賞に選出した。顔の似ていない双子の物語と、「ある依頼」を受けたペット探偵の青年のストーリーが交互に展開される本作。前者はシリアスに、後者は穏やかな雰囲気で進みながらも、ラストで綺麗に結びつき、またオチも一ひねり加えられ、総じて優れた作品だと評価を集めた。
「超越探偵 山之内徹」は、額に浮かぶ文字から「誰が犯人か」だけしかわからない少年による一風変わった“謎解き”モノ。弁舌の限りを尽くし、半ば無理やりに推理を成立させていくという斬新な設定が好評を得たが、肝であるトリックに粗さが目立ったのがマイナスとなった。
「ニャーロック・ニャームズ」「猫の住処へようこそ」は、いずれも読者ニーズの高い「猫」を題材にした作品で、それぞれが不思議な世界観を持ち、キャラクターも非常にユニークに描かれていたが、ストーリーにいまひとつ物足りなさを感じる点が惜しかった。
凍える星
超越探偵 山之内徹
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。犯人が誰か「だけ」は分かる主人公が、口八丁で無理やりトリックを見破るというアイディアはインパクト抜群でした。登場人物たちもいずれも個性的な上、そのやりとりも軽快であり、読者を引き込む力のある作品だと感じました。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
似ていない双子のシリアスなストーリーと、ある男の「恋の履歴」を調査する探偵の穏やかなストーリーが次第にからみあっていく、完成度の高い作品でした。各キャラクターの視点も丁寧に描かれていて、好感が持てます。探偵の調査は何にたどり着くのか、結末が気になり最後まで一気に読み進めてしまいました。