魔拳のデイドリーマー

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第14章 混沌庭園のプロフェッサー

第255話 ドレークの『依頼』

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ここんとこ更新が極端に遅くなっている上に、感想もてんで返せずに申し訳ないです……
今月頭のあの発表が、精神的に思いの他効いていたようで……今後、全部は無理かもしれませんが、少しずつ返していくようにさせていただきたいと思います。

なお、対応の方の本格的な発表も……多分、活動報告あたりで近々させていただくと思います。
どうぞよろしくお願いします。

それでは……重ね重ねですが、遅くなりました。第255話、どうぞ。

********************************************



「……えーっと、何ですかこの状況?」

「何って……まあ、見たまんまやあらへんの?」

「そうね……見たまんまね」

「はぁ……お姉さま、ですからまずはご予定を確認した上で、と申し上げたではありませんか」

「むぅ……見通しが甘かったか」

「相手のことを考えずに出向くからこうなるのだ、メルディアナよ」

「陛下、人のこと言えませんからね」

「……すまんな、ミナト。騒がしくしている」

ホントにね。

今の状況を説明すると……場所は、僕らの『ホーム』の入り口。
そこに、3つの集団が一斉に到着した、という形になっている。

その1、ノエル姉さんとジェリーラ姉さん。午後から会う約束してた。

その2、メルディアナ王女とリンスレット王女。アポなし。

その3、アーバレオン国王、ドレーク兄さん、アクィラ姉さん。アポなし。

え、一体何? みんなして。

「うむ、まあ……それぞれ理由というか、要件があってきたのだろうが……さて、どうするべきか」

「どうする、って……もう……。あの、申し訳ありません、ミナト様。このように事前連絡もなく、唐突に押しかけてしまいまして……このとおりお詫びいたします」

「あ、いえ、そんなのは別にい……いわけじゃないですが、悪く思ってはいませんので」

「しかし実際のところ、これでは満足に話もできんな……ミナト殿、ひとつ聞きたいのだが、貴殿のこの後の予定をまず聞かせてもらっていいか」

と、国王様。

「え? あ、はい……この後、姉たちと会う予定だったので、時間を見て玄関まで迎えに出てきたところで……ああ、こっちの2人です」

ノエル姉さんとジェリーラ姉さんを手で指し示しながら、そう説明。
それに合わせて、2人は優雅かつ丁寧なしぐさで、国王様に一礼する。

今言った通り、これから僕は、ノエル姉さん達と、色々商談とか各種交渉のために会う予定でいた。その集合場所がここ……『ホーム』の玄関だったのだ。

しかし、来てみたらなぜか、姉さんたち以外に、会う予定のなかったはずの人たちがいた。

王女様達と、国王様達。アポなしで来た2グループは、どちらもどうやら僕に用事があったみたいなんだけど……第一王女様はともかく、国王様やドレーク兄さんがアポなしでいきなり訪ねてくる、って珍しい気がする。非常事態でもないのに。

え、アクィラ姉さん? ああ、あの人はほら、唐突に思い付きで行動するとこあるし。最初に会った時もそうだったしさ。

それを聞いた第一王女様が、少し残念そうに言う。

「むぅ、先約がいたのであれば、割り込むわけにもいかんか……」

「そうだな。改めて出直す形にするほかなかろう……すまんなミナト殿、騒がせた。その上悪いが……この後、時間をもらえないだろうか? 相談があるのだ、できれば急ぎでな」

と、国王様が言い終わらないうちに……ジェリーラ姉さんから念話が飛んできた。

え、何……え、いいの? いや、まあ、姉さんたちがいいなら僕は別に……うん。うん。

と、ものの数秒で脳内会話を終わらせると、ジェリーラ姉さんはいかにも『今思いつきました』とでもいうような自然な調子で、

「それでしたらアーバレオン陛下、どうぞお先にご用件をお済ませくださいませ。私共はその後で構いませんので」

「む……それはありがたいが、よろしいのか? 事前に予約を取っていたとのことだったが……」

「ええ、もちろんです。私たちはもう何日かここに滞在しますので、特に急ぎの要件というわけでもないのです。お急ぎなのであれば、お先にどうぞ」

よどみ一つ、違和感一つない笑顔で、すらすらと言葉を紡いでいくジェリーラ姉さん。
となりでちょくちょくうなずいたりしてるノエル姉さんも同様だ。

……熟練の商人の演技力、パネェです。

(でも、ホントにいいのジェリーラ姉さん?)

(いいわよ別に、ホントに急がないしね……それに……)

(それに?)

(内容……なんとなく予想つくもの)

(せやな。それやったら……なんぼでも早く相談してもろてかまへんやろ)

……? どういう、意味だろう?
何だか、ノエル姉さんも一緒になって事情わかってるっぽい言い方だけど……

結局その後話して、まず国王様達と話した後で姉さん達と、ってことになった。
その間、姉さん達は客間ででも待っててもらうことにしよう。そんなに長い話にはならない、って言ってたし。

ちなみに王女様たちは、日を改めるとのこと。

国王様に続き、『なら我々も……』って第一王女様が話を進めようとしたところを、優しい笑顔に似合わない迫力を醸し出しながら第二王女様がたしなめて連れ帰っていた。
後日、きちんとアポ取ってまた伺います、とのことだ。

☆☆☆

さて、国王様の要件は何なのかなー、と、応接室で聞いてみると、だ。

最初簡単に、パーティの時とかにも言われた、今後とも我が国との付き合いをよろしく、あと娘たちもよろしく……みたいな雑談を、本当に簡単にかわしたあと、本題に入った。

話というのは、まず1つは、明日の出発について。

国王様、スケジュールの関係で、明日ここを出ることになっているのだ。
それにはドレーク兄さんも同行する。そのための、日程その他の確認だった。

といっても、これは一応事前に細かく話して決めていたことなので、せいぜい確認程度。

むしろ本題は……もう1つの方だった。
そしてその内容は、正直、ちょっと意外なもので……

「武器を作ってほしい? しかも……ドレーク兄さんの?」

「うむ、そうだ。頼めるだろうか?」

なんと、依頼だった。しかも……武器製作の。
そして、その武器を使うのは……まさかのドレーク兄さんとのこと。

『急ぎの用事だ』って言うから、ただの世間話じゃまずないだろうし、何かしらの頼み事や相談をされるのかな、とは思ってたけど……さすがにコレは想定外だ。

というか、何でそんな話を唐突にもっていらしたので?

「まずはこれを見てくれ、ミナト」

ドレーク兄さんはそう言った後、一瞬国王様に目で何か合図をした後、収納アイテムか何かにしまっていたらしい、大きな武器――昨日の試合で使っていたのと似た『戟』を取り出した。

それを、テーブルの上にごとり、と置く。天板を傷つけたりしないように、そっと。

見てくれ、と言われたわけなので、手に取って見させてもらう。一応、断って。

「……これって、ドレーク兄さんが今、メインで使ってる武器?」

「そうだ。それを見て……どう思う?」

「……んー……」

……見事な武器だ、と思う。
見た目だけでなく、もちろん性能も。

材料は多分、複数の魔法金属を配合して作った合金がメインだ。加えて、いくつか特殊な素材を混ぜたり、組み込んだりして、色々な面での性能を上げている。
強度はもちろん、魔力の伝導性や親和性もかなりのものだ。魔法の触媒としても使用できるつくりになっていて……特に風と雷の魔力をブーストする効力も持ってるな。

重量は……そこそこ、ってとこか。
軽いとは言えないけど、長物はある程度の重さがあった方が玄人はうまく使いこなすらしいし、単純な腕力を考えても、これくらいなら許容範囲なんだろう、ドレーク兄さんには。

そして、かなり特徴的……どころではないと言ってもいい、その形状。
突くことも、斬ることも、ひっかけることもできるようになっているコレは……職人のこだわりなのか、はたまたドレーク兄さんが細かく注文したのか……ううむ、わからん。

とまあ、ざっと感想はこんなとこだ。
総合して、かなり強力なマジックウェポンだと言っていいだろう。

……が……しかし。

「何か言いたいことがあるのであれば、遠慮なく言ってくれていい。ここでどのように評価しようとも、お前を咎めるようなことは一切ないと誓おう」

「……じゃあ、率直に。コレ……ドレーク兄さんと釣り合ってない、よね? 性能が」

そういう評価を下さざるを得ない、と思った。名品であるとは、認めつつも。

鍛えられ方、硬度、強度、マジックアイテムとしての格……どれをとっても一級品。
一流、いや超一流レベルの冒険者や軍人が使うのにふさわしいレベルだ。

繰り出される斬撃は、龍族の鱗や甲殻すら切り裂き、砕き割るに違いない。相当な高ランクの魔物を相手にしても戦えるだろう。もちろん、使う本人の実力が伴っていれば、だが。

多分だけど……相当な名工の手で、何ヶ月、あるいは何年もの時間をかけて作られた作品だ。
使われてる技術からすると、ドワーフかな? 人間には扱えそうにない物質の力を感じる。

しかし、それでも……ドレーク兄さんとは、残念ながら釣り合わない。

「何ていうか……十分に、一流の職人の一流の仕事、だとは思うんだけど……昨日戦った感じからして、この程度の武器じゃ、ドレーク兄さん本気出せないでしょ?」

「察しの通りだ、ミナト。その戟でも、私が持っている中では最も性能のいいものなのだが……残念ながら、私が本気で戦い、本気で技を繰り出すには心もとない、と言わざるを得ない」

「だよね。コレ使って昨日の最後の技を本気で使ったら……出す前にぶっ壊れるよ」

ドレーク兄さんの戦闘手段は、基本的に至ってシンプルだ。

ただ、魔力で体と武器を強化して、斬る。それだけ。

まあ、各種魔法を上乗せしたり、転移魔法で距離を詰めたり不意を打ったり、要所要所で攻撃魔法を放って来たりはするけども……基本はそれだ。

基本的にそれだけ、なんだけど……そのレベルが尋常じゃないわけで。

練り上げられた魔力は、種族の限界を軽く超えた馬力をもたらし、振るわれる刃は誇張抜きで山を砕き、海を割る。
実際に見たわけじゃないけど、昨日戦った感じだと、マジでできるだろう。

そして、そんなとんでもない威力を乗せて放つ以上、それに使う武器もまた相応の性能であることが求められるわけだが……それには、この戟では明らかに力不足だ。

普通に戦うだけなら何の問題もないだろうが……ドレーク兄さんが本気で魔力を込めて、本気で振るったら……きしむな、多分。
振るわれる威力と、まとわせられる魔力の両方によって、押しつぶされそうになるはずだ。

数発、十数発と技を繰り出すたびに、内部にダメージが蓄積されていき……やがて、耐えきれず自壊するだろう。

『風』や『雷』の魔力を上乗せすれば、もっと早く寿命が縮むだろうし……最後のあの、『空間魔法』を応用した一撃なんか使おうとした日にゃ……さっきも言ったけど、技が完成する前に、高確率でぶっ壊れる。

これがもし、この戟が作られた直後とかだったら、もうちょっと違うだろう。
どうやら、それなりに長く使ってきた武器なのか……各所にわずかながら、経年や使用による劣化・ダメージが見られる。

これらがなければまだましだろうけど……それでも、『1回も撃てずに壊れる』が『1回か2回撃ったら壊れる』に変わる程度だと思う。どちらにせよ、まともに使えまい。

繰り返すが、武器の性能としては超のつく一級品だ。
しかし、使い手であるドレーク兄さんが、それをはるかに上回る規格外なのだ。

「その戟はすでに、四半世紀ほどの間使っている。幸いにして、ここ数十年は大きな戦もなかったため、劣化も抑えられている、という状態だ」

「それ以前のは?」

「戦いの中で役目を終え……文字通り散っていったよ」

ドレーク兄さんは、少し懐かしむような目になりながら、呟くように答えてくれた。

散る、か……過剰な魔力の負荷でダメになる場合、通常、武器は折れたり砕けるわけだけど……場合によっては、崩れ去ってチリになるからな。ドレーク兄さんの力を受け止めたのなら、そうなっても不思議じゃない。

ドレーク兄さんが、粗末に扱ったわけじゃないだろう。必要な時に、必要な力を発揮しようとして……その結果、武器が耐えきれなかったんだろうな。

「どんな名工の作でも、ドレークの力に、ドレークの真の本気の戦いに耐えきることはできなかった……最後までドレークと共に戦ったのは、結局、最初の1本だけだったそうだ」

「……? 最初の、一本?」

「ああ……クローナ・C・J・ウェールズ殿から贈られた品だ」

「え!? 師匠から!?」

国王様の言葉に、驚いて聞き返してしまう。

聞けば……どうやら、その『最初の1本』とやらは、ドレーク兄さんが『騎士団総帥』に就任したお祝いに、母さんが頼んで師匠に作ってもらった品らしい。

その戟は、今まで兄さんが手にしてきたどんな戟よりも優れた逸品で……兄さんの本気の戦い、本気の大技にも痛むことはなかった。

幾多の戦場を共に駆け抜け、数十年前にあった戦乱の時代にも、いくつもの戦いでネスティア王国の軍を勝利に導いたそうだ。

だが、今から半世紀ほど前のある戦いで、ついに限界を迎えてしまったとのこと。

しかし、もう一度師匠に、別な戟を作ってもらう……というのは、不可能だった。

覚えているだろうか? 約100年前、当時のネスティア上層部がバカやって師匠をマジギレさせ、それ以来師匠は、公的権力に力を貸してくれることが一切なくなったのを。

それは当時のドレーク兄さんに対しても同様で、どれだけ頼んでも、公人であるドレーク兄さんのために武器を作るつもりは一切ない、と突っぱねられてしまったんだそうだ。

仕方なく、それ以降はドレーク兄さんは、知りうる限り最高の腕を持つドワーフ族の鍛冶師に頼んで武器を作ってもらって使っていたらしい。
主に、ネスティアの国軍の情報網や、ノエル姉さんやジェリーラ姉さんの情報網で探して。

しかし、そのどれもが師匠の作品には遠く及ばず……長くとも十数年、短い時は数か月で、ドレーク兄さんの力に耐えきれず自壊し、新しいものを必要としたそうだ。

「今使っているこの戟も、実用に耐えうる年数は……あと数年ないだろうと見ている。戦いに使用すれば、さらに短くなるだろう」

「だからこの際、新調したい……ってこと?」

「ああ……そして、昨日のお前との戦いで、お前に頼むのが最善だと思った」

いわく、僕の技術力については、数日前からの滞在期間と、昨日の模擬戦で、確かなものであると確認、というか確信できているらしい。

希少金属レベルの強度を持たせた素材で、これだけ大規模な、『拠点都市』と呼んで差し支えない巨大拠点を作り上げ……さらにその出来栄えは、専門家であるダイアナ姉さんをして太鼓判を押してもらえるほど。配備されているマジックアイテム等についても同様。

さらに、昨日の模擬戦では……溶岩だろうが隕石だろうが衝撃波だろうが、全部食らっても大きな破損もなく耐えられていた僕の防具――これらも僕の自作であることは兄さん達も知っている――を見て、武具を作る技術力も十分とみていた。

元々、ちょうどそろそろ次の戟の製作を頼もうとしてた所……僕がマジックアイテムの技術者としての腕を確立させており、しかもかつてドレーク兄さんの武器を作った師匠の技を受け継いだ弟子だっていうこともあり、頼めないだろうか……っていう話になってたらしい。

そこで、前述の理由により技術力を確認できたことで、結論が出たと。依頼したいと。

そこまで説明したところで、今度は国王様が、

「ちなみに、報酬に関しては言い値を出させてもらうつもりだ。支払いはネスティアの軍事特別予算と王室財産から出す」

「へ? 軍事……はわかりますけど、王室財産って? 何でです?」

王室……ってことは、国王様のポケットマネーだよね? 軍の極官の武器だから、軍事予算が動くってのはわかんなくもないけど……王様がそこまでする、何か理由があるんだろうか?

「理由は2つある。1つは……半世紀ほど前、失われてしまった最初の武器……それを失った戦いが、当時の王を守るためのものだったのだ。私の義理の祖父にあたる方だが……以来、その忠義に対する褒美として、ドレークが騎士団総帥の地位にいる間は、武器を新しく作る際、その費用を出す、ということにしている。国庫と、王室財産から半分ずつな」

それに加えて、『あまりほめられたものではない動機だが……』と前置きして、もう1つの理由についても話してくれた。

100年前、師匠をキレさせたあの一件で、貴族たちの暴走を当時の王室が抑えられなかったばかりに、ドレーク兄さんが師匠から武器を作ってもらう機会を永遠に失ってしまったから……っていう負い目的な理由だそうだ。

「それとだな……これは、他言無用とまでは言わずとも、あまり吹聴してほしくない話なのだが……そう遠くない未来、小さくない規模の戦乱が、この大陸の各地で起こることが予想されるのだ」

「!? 戦乱……って、穏やかじゃないですね……」

「詳細は後で説明させよう。詳しく話すと、そう短い話ではないからな……だが、現時点における我々の見立てでは……今後、おそらくはドレークが戦地へ赴く機会も、そしてそこで、本気で戦う必要がある時がやってくる可能性もある、と見ている」

……すごい話になってきたな……。

ドレーク兄さんが戦場に出て、しかも本気で戦う必要性? どんな戦乱だよそれ……

それだけ、戦乱の規模が大きいからか……もしくは、絶対に守る必要がある拠点や要人がいるってことか……はたまた、ドレーク兄さんレベルの敵が現れるのか……

……3番目は考えにくいけど……何にしても、それだと……

「そう仮定した場合、武具の問題は早急に解決すべき事案なのだ。先の見立てのとおり、ドワーフの武具では、ドレークは本気で戦うことは不可能だ。加えて、この戟を作ったドワーフは、ネスティア王家が付き合いがある中で、最も優れた腕を持つ者だったのだが……数年前にこの世を去った。残された弟子達に、あの者に並ぶ技量を持つ者はおらん」

となれば、仮にドワーフに武具を注文しても、今よりさらに劣るものしか作れないと。

そして、今から新しく職人を探すにしても、時間がないと。
その職人の腕を見極め、信用を確実なものにし、その上で最高の武器を作ってもらうには……あまりにも時間が足りな過ぎると。

できたとしても、おそらく、いや間違いなく、今までと同じような感じで……かつて師匠からもらった武器には遠く及ばないものしか手に入らないだろうと。

で……僕か。

「改めて頼みたい、ミナト。お前に……戟を一振り、作ってもらいたい。性能は、昨日の模擬戦で見せた私の戦術を鑑みたうえで、私の全力の戦闘に耐えられる強度のものを、だ」

「……なるほど、ね……わかった。そういうことなら、僕でよければ引き受けるよ」

大変そうだけど……断る理由も別にない。やらせてもらおう。

「そうか……感謝する、ミナト」

「いやいや、このくらい。僕の趣味の範疇だし。じゃ、ちょっと細かい条件なんだけど……あ、ナナとエルク呼んでいい? 仕事がらみの交渉事、あの2人がいないと僕ダメだから」



その後、エルクとナナと一緒に、今回のこの『依頼』について、細かい取り決めを詰めた。

依頼内容は、ドレーク兄さんの武器の『戟』の作成。
規格なんかは、渡された資料に基づく。

性能としての条件は、ドレーク兄さんの全力での戦闘およびそれにおいて使用する術式に耐えうる強度であることと、兄さんが使う『風』と『雷』そして『空間』の魔法と相性がいいこと。

素材については、完全に僕に一任。基本的に、僕の方で用意した素材を使って作る。
理由は、ネスティアが手を回してそろえられる程度の普通の素材では、とても要求されたスペックのものは作れないから。ただし、オリハルコンとかミスリルのような、何とか伝手や金で用意できそうなものについては、ネスティアで用意する。
そうでないもの……僕オリジナルの素材なんかは、報酬に加算してその分を支払う。

……なお、武器の名前は僕が決める。
この条件を出した時……僕サイドと兄さん達サイドで、かなり異なる反応が見られた。

兄さん達は、なんというか……ほほえましい感じの視線を送ってきて、
エルクとナナは……『うわちゃー』って感じの視線を……

最後に、期限は……半年以内、か。

こりゃ……大仕事だな。気合い入れてやらないと。

設計から素材集め、製作、そして命名……やることは多いな!



「……聖戟・ディメンショングラd……いや、できてから考えた方がいいな、うん(ぼそっ)」

((すでに危険な予感が……))



いやあ、気合入るね!



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