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第一話 ~春~ 再就職先は地獄でした。――いえ、比喩ではなく本当に。
アハハ、これは愉快です。
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「ふう……。これが最後の机です。では、あとのことをお任せします」
「兼定さん、本当に何でもできるのですね。こんなに立派な家具に仕立て直していただいて、どうもありがとうございます」
図書館の入り口へ机を運び終えた兼定さんへ、私は深々と頭を下げました。
修理が必要になった発端はどうであれ、忙しい合間を縫って修理してくれたのです。
私も地獄分館の司書として、兼定さんに誠意を持って感謝の言葉を申し上げるのは当然と言えるでしょう。
そう思っての行動だったのですが……。
「ひ、宏美さんが……お、お礼? もしかして、疲れのあまり頭がおかしくなってしまわれたのですか? す、すぐに腕の良い脳外科をお呼びします。何、心配はいりませんよ。すぐに元の性悪女王様に戻して差し上げます」
この下種野郎、とんでもないことを宣いやがりました。それも、労わり気味の爽やかイケメンスマイルで。
アハハ、これは愉快です。こんなにも清廉潔白な天使に向かって性悪女王とは……。
さすが、腕の良い脳外科でも手に負えない変態は、ギャグのセンスが違います。
もう魂ごと消滅すればいいのに……。
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん」
「は~い!」
「および~?」
「なんぞや~?」
一声呼ぶと、私の愛しい部下達がコンマ一秒で集結しました。
ウフフ。呼べば飛んでくるなんて、本当に可愛い子達です。
さて、それでは……。
「ロメロ・スペシャル」
「「「はい!」」」
「ああ! 背骨からバキボキと小気味良い不協和音が! この容赦のないお仕置き! やはり最高です、ご主人様!」
「私には優秀で可愛い部下が三人もいますので、あなたのようなスペック以外見どころのない下僕はいりません。ちゃんと分を弁えてくださいね、この精神的ろくでなし」
「ぐはっ! 最高の笑顔で心を抉る辛辣なお言葉! 心身ともにお元気なようで何よりです! ――あっ! 背骨がそろそろ限界! あ、あ、ああ~!」
* * *
と、ご褒美を十分にもらった兼定さんは、背骨を粉砕させたまま喜色満面で仕事へ戻っていきました。
背骨バキバキでも動けるなんて、鬼とはすさまじい生き物(?)ですね。もしくは、Mを極めた兼定さんの固有スキルでしょうか。どちらにしても、性癖を含めてゴキブリ並に厄介な生き物ですね、あの変態執事。
まあ、あの歩く精神汚染物質のことは横に置いておきましょう。考えるだけ時間の無駄です。
何はともあれ、これで使用済みピタゴラ装置化していた地獄分館の片付けは完了しました。
ただ、図書館の財産である本の内、開架にあるような超現役の本を三百冊近くも廃棄することになったのは、かなりの痛手ですね。
加えて、修理が必要な本も多数……。さすがにこれは由々しき事態です。
となれば、仕方がありません。ここは、原因の元締めに責任を取らせてあげることにいたしましょう。
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん、ちょっとお出かけしますよ」
「「「あい、あい、さ~!」」」
元締めのところに行くのなら、粗相がないように万全の武装――ではなく準備をしなければなりません。
私は子鬼三兄弟を引き連れ、準備を整えるために自分の城を後にしました。
「兼定さん、本当に何でもできるのですね。こんなに立派な家具に仕立て直していただいて、どうもありがとうございます」
図書館の入り口へ机を運び終えた兼定さんへ、私は深々と頭を下げました。
修理が必要になった発端はどうであれ、忙しい合間を縫って修理してくれたのです。
私も地獄分館の司書として、兼定さんに誠意を持って感謝の言葉を申し上げるのは当然と言えるでしょう。
そう思っての行動だったのですが……。
「ひ、宏美さんが……お、お礼? もしかして、疲れのあまり頭がおかしくなってしまわれたのですか? す、すぐに腕の良い脳外科をお呼びします。何、心配はいりませんよ。すぐに元の性悪女王様に戻して差し上げます」
この下種野郎、とんでもないことを宣いやがりました。それも、労わり気味の爽やかイケメンスマイルで。
アハハ、これは愉快です。こんなにも清廉潔白な天使に向かって性悪女王とは……。
さすが、腕の良い脳外科でも手に負えない変態は、ギャグのセンスが違います。
もう魂ごと消滅すればいいのに……。
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん」
「は~い!」
「および~?」
「なんぞや~?」
一声呼ぶと、私の愛しい部下達がコンマ一秒で集結しました。
ウフフ。呼べば飛んでくるなんて、本当に可愛い子達です。
さて、それでは……。
「ロメロ・スペシャル」
「「「はい!」」」
「ああ! 背骨からバキボキと小気味良い不協和音が! この容赦のないお仕置き! やはり最高です、ご主人様!」
「私には優秀で可愛い部下が三人もいますので、あなたのようなスペック以外見どころのない下僕はいりません。ちゃんと分を弁えてくださいね、この精神的ろくでなし」
「ぐはっ! 最高の笑顔で心を抉る辛辣なお言葉! 心身ともにお元気なようで何よりです! ――あっ! 背骨がそろそろ限界! あ、あ、ああ~!」
* * *
と、ご褒美を十分にもらった兼定さんは、背骨を粉砕させたまま喜色満面で仕事へ戻っていきました。
背骨バキバキでも動けるなんて、鬼とはすさまじい生き物(?)ですね。もしくは、Mを極めた兼定さんの固有スキルでしょうか。どちらにしても、性癖を含めてゴキブリ並に厄介な生き物ですね、あの変態執事。
まあ、あの歩く精神汚染物質のことは横に置いておきましょう。考えるだけ時間の無駄です。
何はともあれ、これで使用済みピタゴラ装置化していた地獄分館の片付けは完了しました。
ただ、図書館の財産である本の内、開架にあるような超現役の本を三百冊近くも廃棄することになったのは、かなりの痛手ですね。
加えて、修理が必要な本も多数……。さすがにこれは由々しき事態です。
となれば、仕方がありません。ここは、原因の元締めに責任を取らせてあげることにいたしましょう。
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん、ちょっとお出かけしますよ」
「「「あい、あい、さ~!」」」
元締めのところに行くのなら、粗相がないように万全の武装――ではなく準備をしなければなりません。
私は子鬼三兄弟を引き連れ、準備を整えるために自分の城を後にしました。
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