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第一話 ~春~ 再就職先は地獄でした。――いえ、比喩ではなく本当に。
交渉に行ってきます。
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すべての準備を整えた私と子鬼三兄弟は法廷――つまりはシンデレラ城の中を歩いていました。目指す場所は城の最上階、閻魔様の執務室です。
この城に来るのは初日以来、およそ一カ月ぶりですね。
あの時はあまり気にしていませんでしたが、この城って現世にあるシンデレラ城よりもかなり大きな造りになっているようです。閻魔様が無駄にでかいですから、彼に合わせてということなのでしょう。
――おっと、城の設計意図について考えている内に、閻魔様の執務室に着いてしまいましたね。
「ここで閻魔様が働いているわけですか。こんな眺めの良いところで……。――良い御身分ですね。ゴリラの分際で……」
あんなヒゲゴリラでも、一応『筆頭裁判官』なんていう御大層な肩書を持っていますからね。一等地に執務室が与えられているのも、当然なのですけど……。
とはいえ、私が地下であのゴリラが見晴らしの良い地上五階ですか。ウフフ……。
「ししょー、えんまさまとおはなししないの~?」
執務室の前で怪しく笑う私を見て、とまとさんが不思議そうに首を傾げました。
余談ですが、『ししょー』というのは当然私のことです。『司書』と『師匠』の掛け言葉ですね。
「ええ、お話しますよ。――色々と」
とまとさんへそう返事をしつつ、私は執務室のドアをノックしました。
そのまましばらく待ちますが、中から返答がありません。
おかしいですね。扉に掛かったプレートは『在室中』となっているのですが。
「失礼します。閻魔様、いらっしゃいますか?」
ガチャリと閻魔様サイズのビック扉を開け、部屋の中をのぞき込みます。
すると……。
「ぐごーっ、ぐごーっ!」
体に合わせた特大サイズの机に突っ伏し、気持ち良さそうに昼寝をしていらっしゃる原始人の姿が目に入りました。
「……………………。……みなさん、例のモノを」
「「「あい、あい、さ~!」」」
私がパチンと指を鳴らすと、子鬼三兄弟が機敏に動いて『例のモノ』を執務室に運び込みます。ブツの移動を終えた子鬼三兄弟は、テキパキと準備を始めました。
「たーげっと、ろっくおん!」
「ハアハア! 弾丸装填、完了!」
「せーふてぃ、かいじょ!」
「おーるぐりーん!」
すべての準備が整い、三つ子と弾丸が確認するようにこちらを見ます。
四人からの視線を受けた私は、バッ、と腕を振って命令を出しました。
「人間大砲兼定――発射!」
「「「はっしゃ~!」」」
「あふ~ん!」
「ぎゃああああああああああ!」
音速の弾丸と化した兼定さんが、瞬く間に閻魔様と執務机を吹き飛ばしました。
この城に来るのは初日以来、およそ一カ月ぶりですね。
あの時はあまり気にしていませんでしたが、この城って現世にあるシンデレラ城よりもかなり大きな造りになっているようです。閻魔様が無駄にでかいですから、彼に合わせてということなのでしょう。
――おっと、城の設計意図について考えている内に、閻魔様の執務室に着いてしまいましたね。
「ここで閻魔様が働いているわけですか。こんな眺めの良いところで……。――良い御身分ですね。ゴリラの分際で……」
あんなヒゲゴリラでも、一応『筆頭裁判官』なんていう御大層な肩書を持っていますからね。一等地に執務室が与えられているのも、当然なのですけど……。
とはいえ、私が地下であのゴリラが見晴らしの良い地上五階ですか。ウフフ……。
「ししょー、えんまさまとおはなししないの~?」
執務室の前で怪しく笑う私を見て、とまとさんが不思議そうに首を傾げました。
余談ですが、『ししょー』というのは当然私のことです。『司書』と『師匠』の掛け言葉ですね。
「ええ、お話しますよ。――色々と」
とまとさんへそう返事をしつつ、私は執務室のドアをノックしました。
そのまましばらく待ちますが、中から返答がありません。
おかしいですね。扉に掛かったプレートは『在室中』となっているのですが。
「失礼します。閻魔様、いらっしゃいますか?」
ガチャリと閻魔様サイズのビック扉を開け、部屋の中をのぞき込みます。
すると……。
「ぐごーっ、ぐごーっ!」
体に合わせた特大サイズの机に突っ伏し、気持ち良さそうに昼寝をしていらっしゃる原始人の姿が目に入りました。
「……………………。……みなさん、例のモノを」
「「「あい、あい、さ~!」」」
私がパチンと指を鳴らすと、子鬼三兄弟が機敏に動いて『例のモノ』を執務室に運び込みます。ブツの移動を終えた子鬼三兄弟は、テキパキと準備を始めました。
「たーげっと、ろっくおん!」
「ハアハア! 弾丸装填、完了!」
「せーふてぃ、かいじょ!」
「おーるぐりーん!」
すべての準備が整い、三つ子と弾丸が確認するようにこちらを見ます。
四人からの視線を受けた私は、バッ、と腕を振って命令を出しました。
「人間大砲兼定――発射!」
「「「はっしゃ~!」」」
「あふ~ん!」
「ぎゃああああああああああ!」
音速の弾丸と化した兼定さんが、瞬く間に閻魔様と執務机を吹き飛ばしました。
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