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第一話 不合格

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「うそでしょ!おにいちゃん!?」
「ほんとあんたがバカだとはわかってたけどまさか」

母と妹が僕に届いたある紙を見て絶句した。
その紙とは、高校から届く合格発表通知であった。
だが、その紙には合格の二文字ではなく、その代わりにあったのは不合格という三文字であった。
一呼吸おいた母が口を開かない僕に向かって口を開いた。

「やっぱり落ちちゃったのね。」
母は僕が落ちることが分かっていたみたいに言った。

さすがにバカな僕でも日本で金を払えば入れるような高校に落ちるなんておもってもみなかったのに。
母には僕がそんな高校まで落ちるほどバカだと思われていたことにすごくショックを受けた。
実際そんな高校に落ちたのだからもう何も言えないのだが……

そんな僕を見ていた妹はそれから何も言わずにリビングをそっと出ていった。
妹はこんなバカな兄を見捨てたのだ。
今までバカな兄だったのだが今回のことで生き恥の兄まで妹の中では下がってしまったのかもしれない。
それどころか兄とも思ってくれなくなってしまったかもしれない。

僕は精神的ダメージをうけながら正座をし、母の前に座ってうつむいていた。

そんな母は僕に向かって希望の言葉を投げかけた。
「私はね、あんたが落ちることなんてあんたが生まれた時からなんとなくわかっていたわ。」

生まれる前からとかほんとかよ! と心の中でツッコミを入れつつ母の話の続きを静かに聞くことにした。
「だから、私はこの時のために今の地位まで上りつめたのよ。」

母のいう地位とは仕事の話かな。
そういえば母はある高校の理事長をしてるって聞いたことがあった。
まさか……

「そうだから心配しなくていいのよ、お母さんに任せなさい。」
母はドヤ顔でそう言った。

だが、母よ。
確かその高校って……
「母さん。確か母さんが理事長してる高校ってさ……女子高だったよな?」
「そうよ、だから?」
「いやいや。僕男なんだけど……」
「……はっ!」
母は驚いた顔をする。
まるで今までそのことに気付いてなかったかのように。
母よあんたも相当バカだな。
僕がバカな理由もなんとなくわかった気がした瞬間だった。

「どうにかするわ!」
母の言葉には不安しかない。
だが、もうこうなったらどうにでもなれだ。
母を信じ、母が理事長をする女子高に入学することになるのだった……
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