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第三章 冒険者ギルドへの依頼とメディック家の危機!
3、メディック家ミッシェル作の新薬は持続型ポーション
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メディック家一同が、カイト達に助けられた夜のこと。
疲れて眠り込むアリスを、ベッドに運びミッシェルが戻ってくる。眠気をこらえるマリウスは、何かを察しているようでブライアンをみていた。
「あの盗賊三人は、まだ町に住む冒険者だった」
ブライアンが静かに話し出す。
「……強いハズだ、冒険者だったのか」
マリウスが呟き、ミッシェルが先を促した。
「つまり、町への出入りが出来なくなるリスクに見合うだけの利益を、私達を襲う事で得られると思っていたわけだ」
そう言うと、目がマリウス共々にミッシェルに向かう。
「……思い当たるのは私の美貌。と、試作した新薬の持続型ポーションね」
「何人くらい、新薬のことを知っていた……?」
「僕は、誰にも言ってない」
「アリスは、新薬のこと自体を知らんだろうし……。俺も、誰かに話した覚えはないな」
目を瞑り観念したように、ミッシェルが言う。
「私のせいかも……。『いつかスゴイ薬作るから』って、薬師仲間に話してる」
「ああ……。それは、気にしなくて良いから」
(それ、いつもの恥ずかしい口癖じゃん)
ブライアンが言い、マリウスが白けた目で見る。ミッシェルのその言葉は、昔からの夢みがちな戯言と、誰も信じていなかった……。
「薬師ギルドには?」
「あっ、ギルド長との面会の予約を取ってある。新薬も、もう持続時間の調整だけだし。面会の調整もしちゃった……」
「ミッシェル! 予約はいつ? 受付たのは誰?」
「面会は1週間後で。40くらいの……タヌキみたいな顔の……ひと?」
「一応は、人間だよ……。受付たのは、アボットか?」
「そう、そういう名前だったかな。あと……信用してくれないから、試作品を……渡したかなぁ……」
「「ハァ……」」
ブライアンとマリウスが、ため息をついた。メディック家のミッシェルは、薬バカの天然さんだったのだ。
「……たぶん、決まりだな」
だが、一人とは限らない。薬師ギルド内で、他に誰か裏切っているのか、いないのか。
「取りあえず、薬師ギルド内に確実な味方を得たいが……」
「製法を、薬師ギルドに売っちゃいましょう。そして、ギルド長に味方に付けます」
ギルド長が黒幕なら、もっとうまく事を運んだだろう。敵がギルド内にいるのなら、その長を味方につけるのは最善の策と言える。
この薬バカは天然な癖に、ときどき正鵠を射る。
「過ぎたる財貨が、不幸を呼ぶ事もあるか……。いいのかミッシェル?」
「製法の売却報酬でも、充分なものになる筈ですよ」
「ギルドの協力を得るためにも、ミッシェルは持続型ポーションの完成を急いで欲しい」
「マリウスは、アリスを見ていてくれ。人目に付かない場所は避けるように。新薬を狙っている奴らも、町中で過激な行動はしないだろう」
最後にブライアンが指示をして、その日の話し合いが終った。
数日後マリウスは、アリスの様子がおかしいことに気が付いて尾行していた。アリスがレベッカの宿に入って行く。メアリーちゃんと何かするつもりなのか?
しばらくして、カイト、メアリー、アリスが出てきた。
マリウスはブライアンから、カイトについての注意も別に受けている。
「命を助けてもらった感謝するのは勿論なのだが、彼は何処かの王族である可能性が高い。
余計な詮索や、無礼な行為など決してしないように……」
おそらく密封された個別包装は、毒殺を回避するための手段である。その袋の回収を秘匿技術を守るためであるだろう。
ブライアンは、そう推理して家族に伝えていた。
王族であるカイトは、安全な食事を得るためにアイテムボックスの中に、相応の量の食物を持ち歩いているのハズである。
その話を聞いたときマリウスは、アリスの目が輝いた気がしていた……。
急に振り向いたカイトと目が合い、手招きされた。
気が付くとマリウスは、食い意地の張った妹のせいでシスコン扱いをされていた。……任務のためと、甘んじて受ける事にした。
どうやら、メアリーとアリスの案内で、2日間マルシカの町の観光をするらしいと知る。
シスコン扱いをされたとは言え、マリウスも充分に楽しんでいた。
次の日もマルシカの町をめぐり、水切りという石投げの遊びを教えてもらった。
その二日後のこと尾行を巻かれ、マリウスはアリスを見失っていた。大丈夫だ、どうせ行くところは決まっている。そう思った。
……メアリーは、宿にいた。カイトは出かけているらしい。
アリスのお気に入りの店へ、水切りをした川に向かうがいない。マルシカの城壁の上を全力で駆けた。心当たりを片端から当たるが見つからない。
もう一度、……メアリーに心当たりを聞こう。
マリウスはレベッカの宿に向かった。
カラン、カラーン。
メアリーと話していると、宿のドアベルが鳴りカイトが入ってきた。
その日、体術スキルの練習から帰って来たカイトに、マリウスは一縷望みをかけて聞いてみた。
「アリスを、アリスを見ませんでしたか?」
疲れて眠り込むアリスを、ベッドに運びミッシェルが戻ってくる。眠気をこらえるマリウスは、何かを察しているようでブライアンをみていた。
「あの盗賊三人は、まだ町に住む冒険者だった」
ブライアンが静かに話し出す。
「……強いハズだ、冒険者だったのか」
マリウスが呟き、ミッシェルが先を促した。
「つまり、町への出入りが出来なくなるリスクに見合うだけの利益を、私達を襲う事で得られると思っていたわけだ」
そう言うと、目がマリウス共々にミッシェルに向かう。
「……思い当たるのは私の美貌。と、試作した新薬の持続型ポーションね」
「何人くらい、新薬のことを知っていた……?」
「僕は、誰にも言ってない」
「アリスは、新薬のこと自体を知らんだろうし……。俺も、誰かに話した覚えはないな」
目を瞑り観念したように、ミッシェルが言う。
「私のせいかも……。『いつかスゴイ薬作るから』って、薬師仲間に話してる」
「ああ……。それは、気にしなくて良いから」
(それ、いつもの恥ずかしい口癖じゃん)
ブライアンが言い、マリウスが白けた目で見る。ミッシェルのその言葉は、昔からの夢みがちな戯言と、誰も信じていなかった……。
「薬師ギルドには?」
「あっ、ギルド長との面会の予約を取ってある。新薬も、もう持続時間の調整だけだし。面会の調整もしちゃった……」
「ミッシェル! 予約はいつ? 受付たのは誰?」
「面会は1週間後で。40くらいの……タヌキみたいな顔の……ひと?」
「一応は、人間だよ……。受付たのは、アボットか?」
「そう、そういう名前だったかな。あと……信用してくれないから、試作品を……渡したかなぁ……」
「「ハァ……」」
ブライアンとマリウスが、ため息をついた。メディック家のミッシェルは、薬バカの天然さんだったのだ。
「……たぶん、決まりだな」
だが、一人とは限らない。薬師ギルド内で、他に誰か裏切っているのか、いないのか。
「取りあえず、薬師ギルド内に確実な味方を得たいが……」
「製法を、薬師ギルドに売っちゃいましょう。そして、ギルド長に味方に付けます」
ギルド長が黒幕なら、もっとうまく事を運んだだろう。敵がギルド内にいるのなら、その長を味方につけるのは最善の策と言える。
この薬バカは天然な癖に、ときどき正鵠を射る。
「過ぎたる財貨が、不幸を呼ぶ事もあるか……。いいのかミッシェル?」
「製法の売却報酬でも、充分なものになる筈ですよ」
「ギルドの協力を得るためにも、ミッシェルは持続型ポーションの完成を急いで欲しい」
「マリウスは、アリスを見ていてくれ。人目に付かない場所は避けるように。新薬を狙っている奴らも、町中で過激な行動はしないだろう」
最後にブライアンが指示をして、その日の話し合いが終った。
数日後マリウスは、アリスの様子がおかしいことに気が付いて尾行していた。アリスがレベッカの宿に入って行く。メアリーちゃんと何かするつもりなのか?
しばらくして、カイト、メアリー、アリスが出てきた。
マリウスはブライアンから、カイトについての注意も別に受けている。
「命を助けてもらった感謝するのは勿論なのだが、彼は何処かの王族である可能性が高い。
余計な詮索や、無礼な行為など決してしないように……」
おそらく密封された個別包装は、毒殺を回避するための手段である。その袋の回収を秘匿技術を守るためであるだろう。
ブライアンは、そう推理して家族に伝えていた。
王族であるカイトは、安全な食事を得るためにアイテムボックスの中に、相応の量の食物を持ち歩いているのハズである。
その話を聞いたときマリウスは、アリスの目が輝いた気がしていた……。
急に振り向いたカイトと目が合い、手招きされた。
気が付くとマリウスは、食い意地の張った妹のせいでシスコン扱いをされていた。……任務のためと、甘んじて受ける事にした。
どうやら、メアリーとアリスの案内で、2日間マルシカの町の観光をするらしいと知る。
シスコン扱いをされたとは言え、マリウスも充分に楽しんでいた。
次の日もマルシカの町をめぐり、水切りという石投げの遊びを教えてもらった。
その二日後のこと尾行を巻かれ、マリウスはアリスを見失っていた。大丈夫だ、どうせ行くところは決まっている。そう思った。
……メアリーは、宿にいた。カイトは出かけているらしい。
アリスのお気に入りの店へ、水切りをした川に向かうがいない。マルシカの城壁の上を全力で駆けた。心当たりを片端から当たるが見つからない。
もう一度、……メアリーに心当たりを聞こう。
マリウスはレベッカの宿に向かった。
カラン、カラーン。
メアリーと話していると、宿のドアベルが鳴りカイトが入ってきた。
その日、体術スキルの練習から帰って来たカイトに、マリウスは一縷望みをかけて聞いてみた。
「アリスを、アリスを見ませんでしたか?」
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