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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

♯3.超能力!?対決 予想外の展開へ④

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「そう言えば一つ分からない事があるんだけど長身の男
達が女子二人に渡していた小さい透明の袋の中身は何だ
ったの?」
 立花が博士に質問する。
「あぁ、あれは、防音用の耳栓です。袋を千切ちぎった後に
中身を耳の中に入れているのを私は見逃しませんでした
から。至近距離では爆音ですから耳が持ちません」
「成程、耳栓か。言われてみれば最もな気がする」
「ヘリの音って、どんなだったっけ!?」
「プルプルと聞こえそうな感じがしますが至近距離では
バリバリ音に近いと思います」
「へぇ~。そうなんだ」
 哀川は、ヘリコプターに関してだけ興味を示す質問と
感想を返していた。
「それは、そうと何もしなくても本当に良いのかい!?」
 タカフミは、あまりに冷静で居る立花に対して苛々口
調で話し掛ける。
「まぁ、一応、手は打って置いたわよ。携帯電話には、
とても便利な電子メール機能っていうのがあるんだよね」
「電子メールって何!?」
「それってギャグ?」
「ギャグじゃなくて知らないから知らないって言ってる
だけ。余裕ない時に、ふざけられないよ」 
「大山クン。本当に知らないんだ……」
「情報機器同士が専用のメールソフトを使ってネットワ
ークを利用して情報をやりとりする機能の事だよ。つま
り音声ではなく文章のやりとりが基本となると言えば、
分かるかな?」
「なるほど、イメージ出来たよ。家は中学生になるまで
は持っちゃダメだって言われてるから情報に疎くて」
「そういう家庭の事情があるなら仕方ないよな~」
 哀川と立花が揃って頭をペコリと下げるとタカフミは
大袈裟だよと言いながら、立花に話の続きを催促した。
「うん。ある人物に、ここの位置を教えていたんだけど
私からのメールが届いたにも関わらず、位置が動かない
時は助けてくれる契約けいやくになってるの」
「契約?」
「そう。契約。もちろん、こっちも彼の要求してる物を
用意しないといけないからB探偵をある場所に待機させ
ているんだけどねっ」
「何だってB探偵が近くに来てるのかよ!」
 哀川とタカフミの二人が興奮しながら、立花の話をじ
っくりと聞く体勢になるも博士は興味を示さなかった。
「博士はB探偵に会った事があるから、リアクションが
薄いのは勘弁してね」
「位置情報って事はGPS機能ですね!」
「博士、正解よ。閉じ込められる事は想定して無かった
んだけど可能性がゼロじゃない限り、使える手札は持っ
ておいた方が良いと思ってGPS機能付きの携帯電話を
持って来てたの」
「ちなみにGPS機能は携帯から衛星に電波を送って、
衛星が携帯に、その携帯の位置を地図で教えてくれるシ
ステムなんだけど、その機能を利用すれば他の携帯の位
置を調べる事が可能なんです。もちろんGPS機能が無
い携帯の物を調べる事は不可能なんだけどね」




 
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