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鋼鉄魔導船の完成とエルの出産
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ドラーク領の海岸で、巨大な建物から鋼鉄の構造物が姿をあらわす。
ゴゴゴゴッーー!!ザザバァーーン!
重量物が移動する音が響き、その後水音が聞こえて来た。
建造していた鋼鉄製の船は、主要部分の建造が終わり、今日進水式を迎えた。
進水式と言っても、式典をした訳でもないけどね。ただ船を海に浮かべただけだ。
「後は艦橋部分と、細かな装備の設置でありますな」
スーラが船を見ながら、やり切った顔をしていた。
「湾内は魔物の結界を張ってあるから、ボチボチやってくれよ。俺も手伝うけど、他にも仕事が忙しいからな」
「それは大丈夫なのです。
実は大陸中のドワーフにドラーク領は有名になったのです。そのお陰で、ドワーフがドラーク領にドンドン集まって来てるのです。
そこでカイト様にも面接を手伝って欲しいのです」
「どうしてドワーフが?」
スーラの話を聞いて、ドワーフが集まる理由がピンとこないので聞くと。
「そんなのカイト様のせいに決まってるです。
装甲車両にブリッツとラヴィーネ、騎士団や守備隊の装備、やらかしていないとは言わせないのです」
そうだね。うん、随分やらかしてるよね。
普段のスーラを見ていると、ドワーフという種族が、どういった性質なのかなんて、分かりそうなものを、うっかりしてたな。
「それは手伝わないといけないよな」
「当然であります。
特に魔導具関連やゴーレム関連は、秘匿しないとダメな部分が多いのです。
人選は慎重にしないといけないのです」
ドワーフの間者って余りピンとこないけど、無条件に技術が流出するのは危ないもんな。
特に、ブリッツやラヴィーネのダウンバージョンの生産も初めている現状、間者対策はやり過ぎる位でないとダメだしな。
「じゃあ俺はもう少し船をイジってから屋敷に帰るよ。スーラも余り遅くなるなよ」
スーラに声を掛けて船の仕上げに向かう。
船の武装は対魔物がメインで良いだろうな。
その後、内装や艦橋周りと武装の仕上げに時間はかかったが、何とか魔導船が完成した。
予定より時間が掛かったのは、途中でスーラが変に凝りだしたり、エルやルシエル達女性陣が船室に細かな注文をつけだし、船室の空間拡張が出来る様になり、更に大幅に時間が掛かった。
そのお陰で豪華な船室も設置し、広いお風呂も女性陣のリクエストで設置された。
船倉も空間拡張で大幅に広げられ、兵士を大量に輸送出来る様になっている。
試験航海も問題なかった。
雑魚程度の魔物は魔物避けの魔導具が十分機能していた。大型の水棲の魔物は、搭載している魔導砲の法撃で一撃だった。
外洋の試験航海も無事終了し、俺は大陸の正確な地図や海図の必要性を感じていた。
今後は、大陸の海岸付近を測量して地図と海図を作成していく。同時に船員の操船の訓練をしている。
魔族の大陸もその内に調査する積もりだけど、先ずはゴンドワナ帝国、ローラシア王国を含めた地図が先決だ。
俺が試験航海を繰り返していたそんな時、海上の船内に居る俺に、アンナさんから緊急の通信が入った。
『カイト様!エルレインさんが産気づきました!』
エルとルシエル、イリア達の世話をしてくれていた、アンナさんからエルが産気づいたと連絡が入った。
「分かりました!直ぐに戻ります!」
回復魔法が得意なコレットも側に付いていてくれているから心配はないだろうけど、俺の初めての子供の出産だから側に居てあげたい。
俺はそこから転移で屋敷へ飛んだ。
「カイト様、こちらです!」
メイドが部屋に案内してくれる。
俺は歩きながら自分に浄化の魔法を掛けて後を追う。
「ここでお待ち下さい」
部屋の前で待たされる。
この世界では、立ち会い出産ってのはない。男が出産の現場に立ち入るのはタブーらしい。
俺は部屋の前をウロウロと歩きながら、まだかまだかと待つしかなかった。
待つ事二時間、部屋の中から元気な赤ちゃんの声が響いた。
「!?」
部屋のドアが開きコレットが出て来た。
「カイト様、元気な男の子です。
おめでとうございます」
「ありがとうコレット!」
思わずコレットを抱きしめる。
「エルレイン様とお子様のお顔を見てあげて下さい」
コレットの言葉で我に返って、俺はエルをねぎらう事にする。
でも屋敷はこの後もっと騒がしくなる。
何故なら、ルシエルとイリアがこの後、ほぼ同時に産気づいたのだから……。
ゴゴゴゴッーー!!ザザバァーーン!
重量物が移動する音が響き、その後水音が聞こえて来た。
建造していた鋼鉄製の船は、主要部分の建造が終わり、今日進水式を迎えた。
進水式と言っても、式典をした訳でもないけどね。ただ船を海に浮かべただけだ。
「後は艦橋部分と、細かな装備の設置でありますな」
スーラが船を見ながら、やり切った顔をしていた。
「湾内は魔物の結界を張ってあるから、ボチボチやってくれよ。俺も手伝うけど、他にも仕事が忙しいからな」
「それは大丈夫なのです。
実は大陸中のドワーフにドラーク領は有名になったのです。そのお陰で、ドワーフがドラーク領にドンドン集まって来てるのです。
そこでカイト様にも面接を手伝って欲しいのです」
「どうしてドワーフが?」
スーラの話を聞いて、ドワーフが集まる理由がピンとこないので聞くと。
「そんなのカイト様のせいに決まってるです。
装甲車両にブリッツとラヴィーネ、騎士団や守備隊の装備、やらかしていないとは言わせないのです」
そうだね。うん、随分やらかしてるよね。
普段のスーラを見ていると、ドワーフという種族が、どういった性質なのかなんて、分かりそうなものを、うっかりしてたな。
「それは手伝わないといけないよな」
「当然であります。
特に魔導具関連やゴーレム関連は、秘匿しないとダメな部分が多いのです。
人選は慎重にしないといけないのです」
ドワーフの間者って余りピンとこないけど、無条件に技術が流出するのは危ないもんな。
特に、ブリッツやラヴィーネのダウンバージョンの生産も初めている現状、間者対策はやり過ぎる位でないとダメだしな。
「じゃあ俺はもう少し船をイジってから屋敷に帰るよ。スーラも余り遅くなるなよ」
スーラに声を掛けて船の仕上げに向かう。
船の武装は対魔物がメインで良いだろうな。
その後、内装や艦橋周りと武装の仕上げに時間はかかったが、何とか魔導船が完成した。
予定より時間が掛かったのは、途中でスーラが変に凝りだしたり、エルやルシエル達女性陣が船室に細かな注文をつけだし、船室の空間拡張が出来る様になり、更に大幅に時間が掛かった。
そのお陰で豪華な船室も設置し、広いお風呂も女性陣のリクエストで設置された。
船倉も空間拡張で大幅に広げられ、兵士を大量に輸送出来る様になっている。
試験航海も問題なかった。
雑魚程度の魔物は魔物避けの魔導具が十分機能していた。大型の水棲の魔物は、搭載している魔導砲の法撃で一撃だった。
外洋の試験航海も無事終了し、俺は大陸の正確な地図や海図の必要性を感じていた。
今後は、大陸の海岸付近を測量して地図と海図を作成していく。同時に船員の操船の訓練をしている。
魔族の大陸もその内に調査する積もりだけど、先ずはゴンドワナ帝国、ローラシア王国を含めた地図が先決だ。
俺が試験航海を繰り返していたそんな時、海上の船内に居る俺に、アンナさんから緊急の通信が入った。
『カイト様!エルレインさんが産気づきました!』
エルとルシエル、イリア達の世話をしてくれていた、アンナさんからエルが産気づいたと連絡が入った。
「分かりました!直ぐに戻ります!」
回復魔法が得意なコレットも側に付いていてくれているから心配はないだろうけど、俺の初めての子供の出産だから側に居てあげたい。
俺はそこから転移で屋敷へ飛んだ。
「カイト様、こちらです!」
メイドが部屋に案内してくれる。
俺は歩きながら自分に浄化の魔法を掛けて後を追う。
「ここでお待ち下さい」
部屋の前で待たされる。
この世界では、立ち会い出産ってのはない。男が出産の現場に立ち入るのはタブーらしい。
俺は部屋の前をウロウロと歩きながら、まだかまだかと待つしかなかった。
待つ事二時間、部屋の中から元気な赤ちゃんの声が響いた。
「!?」
部屋のドアが開きコレットが出て来た。
「カイト様、元気な男の子です。
おめでとうございます」
「ありがとうコレット!」
思わずコレットを抱きしめる。
「エルレイン様とお子様のお顔を見てあげて下さい」
コレットの言葉で我に返って、俺はエルをねぎらう事にする。
でも屋敷はこの後もっと騒がしくなる。
何故なら、ルシエルとイリアがこの後、ほぼ同時に産気づいたのだから……。
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