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出産ラッシュ
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エルの出産から続けざまにルシエルとイリアが産気づいた事で、我が屋敷は出産ラッシュとなった。
昨日産まれたエルの子供はジークフリートと名付けられた。そこに俺の意見は一ミリも入る隙間はなかった。
エルが産気づいた時点で、エルの母親のレイラさんも駆けつけ、初孫に目尻を下げている。
「カイト君、良かったわね。
嫡男が産まれて、これで御家も安泰ね」
「ありがとうございますレイラさん」
レイラさんがジークフリートとを抱きながらあやしている。
「ジークちゃん~、お姉さんですよ~」
「……いや、お姉さんって」
レイラさんが自分の事をお姉さんと言いだした。
「だって、おばあちゃんなんて呼ばれたくないもの」
確かにレイラさんはエルフの血が入っているから、とてもじゃないけどおばあちゃんって感じじゃないけど……。
「それよりルシエルさんの子供、女の子でエルフだったら面倒な事になりそうね」
俺はレイラさんの言う事がピンとこなかった。俺とルシエルの子供ならハーフエルフになるんじゃないのか?そう思ってレイラさんに聞いてみる。
「俺とルシエルの子供ですから、ハーフエルフじゃないんですか?」
「普通ならそうなるんだけどね。
カイト君のように魔力が人族の枠を超えた者と、エルフでも優れた能力を持つ者との子供では、違う結果が出る事が多いのよ」
「それって?」
「ハーフエルフじゃなくて、エルフや下手をするとハイエルフが産まれてくる可能性もあるわね」
そこまで聞いてもどこに問題があるのか分からなかった。
「問題は大ありよ!
エルフでも不味いけど、ハイエルフしかも女の子だったら確実にサーリット王国が口を挟んでくるわね」
レイラさんがエルフの国の介入の可能性を言う。
「その顔じゃまだ良く分かってないようね。
エルフの国、サーリット王国にとってハイエルフの女の子とは特別な意味を持つのよ。
ハイエルフは王種よ。しかもサーリット王国は永い間女王を待ち望んでいたの。そこに英雄ルシエルがハイエルフの女の子を産んだと知ったら」
レイラさんが俺とルシエルの子供を寄越せと言って来ると言う。
「俺の子供はどんな事をしても護ってみせますよ。それより本当にハーフエルフじゃなくてエルフやハイエルフが産まれて来るんですか?」
「少なくてもエルフでしょうね。ハイエルフが産まれる事も考えて、情報を漏らさないようにしないとね」
子供が産まれるという慶事なのに、厄介ごとは無くならないな。
レイラさんによればイリアとの子供は、イリアと同じ兎人族か人族のどちらかが産まれて来るそうだ。ハーフ獣人というものは産まれないそうだ。
これは何故かは解明されていないと言う。
その後、イリアの子供が先に産まれた。
獣人族は基本的に安産なのだそうだ。
元気に泣く赤ちゃんを抱き上げる。
「イリア、ご苦労様」
「カイト様、この子の名前はルルにしようと思います」
「……う、うん、良いんじゃないかな」
また俺には名付ける権利がなかったみたい。
抱き上げたイリアの産んだ子供は、白い兎耳の付いた兎人族の女の子だった。
「パパー、ルキナも赤ちゃん抱っこするのー」
メイドに連れられて来たルキナが赤ちゃんを抱きたがった。
「はい、優しく抱っこするんだよ」
「大丈夫なのー、ルキナお姉ちゃんだから平気なのー」
ルキナに赤ちゃんをそっと抱かせてあげる。
「ふふふっ、かわいいの~!
ルルちゃん、ルキナお姉ちゃんだよ~!」
イリアの産んだルルは、髪の色がシルバーグレーだった。これは俺の髪の色とイリアの髪の色が混ざったのかな?
一番最後に出産したルシエルだけど、レイラさんが危惧した通りになってしまった。
ルシエルがベッドで横たわり、その横にある小さなベビーベッドには、ルシエルが産んだ赤ちゃんがスヤスヤと寝ていた。
「う~~ん」
「まぁ予想はしてたけどね……」
エルとレイラさんが、ルシエルが産んだ赤ちゃんを見て複雑な顔をしている。
「元気な子供をありがとう」
「はい」
俺はと言うと、産まれた子供がどんな種族であれ嬉しいので、ルシエルを素直に労った。
そう、ルシエルが産んだ赤ちゃんは、ハイエルフの女の子だった。
「この子の名前は「ルーファリスにしようと思います」っそう、良い名前だね」
うん、わかってたけどね。名付けのセンスなんて無いから良いんだ。
「皆んな、心配しなくてもルーファリスは俺が護ってみせるよ」
ただ一応、ルーファリスの種族については箝口令が布かれた。
だが遠くない将来、サーリット王国もルシエルが子供を産んだ事は知るだろう。
その時の為に俺は準備と警備を見直す事を決めた。
昨日産まれたエルの子供はジークフリートと名付けられた。そこに俺の意見は一ミリも入る隙間はなかった。
エルが産気づいた時点で、エルの母親のレイラさんも駆けつけ、初孫に目尻を下げている。
「カイト君、良かったわね。
嫡男が産まれて、これで御家も安泰ね」
「ありがとうございますレイラさん」
レイラさんがジークフリートとを抱きながらあやしている。
「ジークちゃん~、お姉さんですよ~」
「……いや、お姉さんって」
レイラさんが自分の事をお姉さんと言いだした。
「だって、おばあちゃんなんて呼ばれたくないもの」
確かにレイラさんはエルフの血が入っているから、とてもじゃないけどおばあちゃんって感じじゃないけど……。
「それよりルシエルさんの子供、女の子でエルフだったら面倒な事になりそうね」
俺はレイラさんの言う事がピンとこなかった。俺とルシエルの子供ならハーフエルフになるんじゃないのか?そう思ってレイラさんに聞いてみる。
「俺とルシエルの子供ですから、ハーフエルフじゃないんですか?」
「普通ならそうなるんだけどね。
カイト君のように魔力が人族の枠を超えた者と、エルフでも優れた能力を持つ者との子供では、違う結果が出る事が多いのよ」
「それって?」
「ハーフエルフじゃなくて、エルフや下手をするとハイエルフが産まれてくる可能性もあるわね」
そこまで聞いてもどこに問題があるのか分からなかった。
「問題は大ありよ!
エルフでも不味いけど、ハイエルフしかも女の子だったら確実にサーリット王国が口を挟んでくるわね」
レイラさんがエルフの国の介入の可能性を言う。
「その顔じゃまだ良く分かってないようね。
エルフの国、サーリット王国にとってハイエルフの女の子とは特別な意味を持つのよ。
ハイエルフは王種よ。しかもサーリット王国は永い間女王を待ち望んでいたの。そこに英雄ルシエルがハイエルフの女の子を産んだと知ったら」
レイラさんが俺とルシエルの子供を寄越せと言って来ると言う。
「俺の子供はどんな事をしても護ってみせますよ。それより本当にハーフエルフじゃなくてエルフやハイエルフが産まれて来るんですか?」
「少なくてもエルフでしょうね。ハイエルフが産まれる事も考えて、情報を漏らさないようにしないとね」
子供が産まれるという慶事なのに、厄介ごとは無くならないな。
レイラさんによればイリアとの子供は、イリアと同じ兎人族か人族のどちらかが産まれて来るそうだ。ハーフ獣人というものは産まれないそうだ。
これは何故かは解明されていないと言う。
その後、イリアの子供が先に産まれた。
獣人族は基本的に安産なのだそうだ。
元気に泣く赤ちゃんを抱き上げる。
「イリア、ご苦労様」
「カイト様、この子の名前はルルにしようと思います」
「……う、うん、良いんじゃないかな」
また俺には名付ける権利がなかったみたい。
抱き上げたイリアの産んだ子供は、白い兎耳の付いた兎人族の女の子だった。
「パパー、ルキナも赤ちゃん抱っこするのー」
メイドに連れられて来たルキナが赤ちゃんを抱きたがった。
「はい、優しく抱っこするんだよ」
「大丈夫なのー、ルキナお姉ちゃんだから平気なのー」
ルキナに赤ちゃんをそっと抱かせてあげる。
「ふふふっ、かわいいの~!
ルルちゃん、ルキナお姉ちゃんだよ~!」
イリアの産んだルルは、髪の色がシルバーグレーだった。これは俺の髪の色とイリアの髪の色が混ざったのかな?
一番最後に出産したルシエルだけど、レイラさんが危惧した通りになってしまった。
ルシエルがベッドで横たわり、その横にある小さなベビーベッドには、ルシエルが産んだ赤ちゃんがスヤスヤと寝ていた。
「う~~ん」
「まぁ予想はしてたけどね……」
エルとレイラさんが、ルシエルが産んだ赤ちゃんを見て複雑な顔をしている。
「元気な子供をありがとう」
「はい」
俺はと言うと、産まれた子供がどんな種族であれ嬉しいので、ルシエルを素直に労った。
そう、ルシエルが産んだ赤ちゃんは、ハイエルフの女の子だった。
「この子の名前は「ルーファリスにしようと思います」っそう、良い名前だね」
うん、わかってたけどね。名付けのセンスなんて無いから良いんだ。
「皆んな、心配しなくてもルーファリスは俺が護ってみせるよ」
ただ一応、ルーファリスの種族については箝口令が布かれた。
だが遠くない将来、サーリット王国もルシエルが子供を産んだ事は知るだろう。
その時の為に俺は準備と警備を見直す事を決めた。
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