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幼少編
電流
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「煙たいな……」
「うっ……」
洋館を破壊し、2人が外に出た瞬間、建物が完全に倒壊して周囲一帯に爆風と衝撃が走る。ダークエルフはレノを抱きしめながら、そのまま収まるまで立ち止まる。
「……ふうっ……もういいか」
「ぷはっ……!!」
彼女のそれなりに豊かな胸から顔を解放され、すぐにレノは地面に放りだされる。
「うあっ……くっ……」
「ふむっ」
地面に叩き付けられても、レノは彼女を睨み付けるのを止めず、反抗的な視線を向けてくる彼にダークエルフは面白そうに見つめてくる。すぐにレノは今の今まで忘れていた懐に隠したナイフを取り出し、彼女に向かって放つ。
「おっと」
向い来るナイフを簡単に柄を握りしめて止めると、レノはすぐに次の一手を打つ。魔力は残されていないが、まだ体は動く。彼は何とか近くに倒れている机(以前にバルが机に地図を広げていた机)を見つけ、すぐに傍に落ちている椅子を見つける。
「くっ……」
「おい」
すぐに立ち上がって椅子がある方向に駆け出し、彼女の制止の言葉を振り切って、椅子を掴み取ると、再び投擲する。
「ふんっ!!」
今度は背中の薙刀を振り下ろし、一撃で椅子を木屑と変える。レノは正攻法では彼女に通じないと判断し、今度は倒壊した洋館に視線を向けまだ炎は消えきっていないが、使えそうな残骸は残っている。すぐに洋館の元に走り出そうとしたが、ダークエルフの方が先に動く。
「どこへ行く?」
「あぐっ……!?」
一瞬にしてダークエルフがレノとの距離を縮め、そのまま彼の首元を握りしめる。本人としてはそれほど力を込めていないのかもしれないが、まるで万力に固定されたように外れず、レノは苦しみながらもある考えを思いつく。
「なにっ?」
自分の首を掴む彼女の腕にしがみ付き、そのままレノは彼女を睨み付け、笑みを浮かべる。
「……電流を味わえ」
使い果たしたはずの魔力を再び身体に集中させ、レノは背中の「反魔紋」を発動させる。実際に魔法を放つのではなく、魔法の呪文を呟くだけで「反魔紋」は発動するのはよく知っている。レノは口を開いて呪文を唱えた。
「ぐあっ……!?」
「があぁあああああああっ!!」
反魔紋から夥しい電流が放たれ、腕を掴まれているダークエルフにも電流が流し込まれる。すぐに彼女は手放そうとしたが、レノは逃すまいと掌を握りしめる。
「うあぁああああああああっ!!」
「ぐぅあああっ……!!」
2人に何十万ボルトの電流が流れ込み、流石に応えたのかダークエルフも片膝を着き、レノは背中から直接流れ込まれる電圧に耐えながら、左拳を握りしめた。
(イメージしろ……あの武器を……!!)
残された左手に、流れ込まれた電流を集中させるイメージを施し、現実世界での武器「スタンガン」を思い浮かべながら放つ。
「なっ……!?」
「ああぁあああああっ……!!」
左手から電流が迸り、レノは彼女の首に目掛けて首元に直接電流を流しこみ、そのまま地面に押し倒す。今度は右手を手放し、両手で彼女の首を絞める。
「うぐあぁあああっ……!?」
「くたばれぇえええええええっ!!」
反魔紋から流れる電流を利用した捨て身の攻撃、レノは自分の意識と身体が限界を迎える前にせめて目の前の「敵」を殺すため、渾身の力で握りしめる。彼女も抵抗するが、命がけのレノの握力は凄まじく、やがては苦悶の表情を浮かべるが、彼女は力尽くで引き剥がす。
「ぐうっ!!」
「がはっ……!?」
傍に落としていた薙刀を掴み取り、レノの頭部に叩きつけ、彼の力が抜けた一瞬の隙を逃さず、蹴り飛ばす。
「ぐはっ……!!」
派手に蹴り飛ばされ、レノは全身に火傷を負いながらも彼女に視線を離さない。一方であまりにも狂気じみた彼の行為にダークエルフは首を抑えながらも睨み付ける。
「まさか、反魔紋をこんな形に利用するとはな……全身を黒焦げになりながらも、私を殺したいか?」
「お前は……皆を殺した……!!」
「殺した?」
「とぼけるなぁあああっ!!」
レノは立ち上がろうとしたが、両脚は震えていう事を聞かず、まともに動くことすらできない。そんな隙だらけの彼に、ダークエルフは何故か不思議そうに首を傾げ、何かに気付いたように洋館に視線を向ける。
「私が殺しただと……誰の事を言っている?」
「子供たちの事だ!!お前が……」
「子供……ああ、あの屋敷に居た子か」
今思い出したように語るダークエルフに、レノはより一層、視線を鋭くさせ、殺意が芽生えるが、
「勘違いだ。私が辿り着いた時には誰もいなかった」
「なっ……」
「まあ、信じる信じないはお前次第だがな」
「っ……!!」
からかわれたのかと判断し、レノは無理やり身体を奮い立たせ、彼女に立ち向かおうとした時、
「今度は私の番だな……」
彼女はレノに掌を向け、炎の球体を作り出し、
「焔」
次の瞬間、レノの身体に爆風が放たれた。
「うっ……」
洋館を破壊し、2人が外に出た瞬間、建物が完全に倒壊して周囲一帯に爆風と衝撃が走る。ダークエルフはレノを抱きしめながら、そのまま収まるまで立ち止まる。
「……ふうっ……もういいか」
「ぷはっ……!!」
彼女のそれなりに豊かな胸から顔を解放され、すぐにレノは地面に放りだされる。
「うあっ……くっ……」
「ふむっ」
地面に叩き付けられても、レノは彼女を睨み付けるのを止めず、反抗的な視線を向けてくる彼にダークエルフは面白そうに見つめてくる。すぐにレノは今の今まで忘れていた懐に隠したナイフを取り出し、彼女に向かって放つ。
「おっと」
向い来るナイフを簡単に柄を握りしめて止めると、レノはすぐに次の一手を打つ。魔力は残されていないが、まだ体は動く。彼は何とか近くに倒れている机(以前にバルが机に地図を広げていた机)を見つけ、すぐに傍に落ちている椅子を見つける。
「くっ……」
「おい」
すぐに立ち上がって椅子がある方向に駆け出し、彼女の制止の言葉を振り切って、椅子を掴み取ると、再び投擲する。
「ふんっ!!」
今度は背中の薙刀を振り下ろし、一撃で椅子を木屑と変える。レノは正攻法では彼女に通じないと判断し、今度は倒壊した洋館に視線を向けまだ炎は消えきっていないが、使えそうな残骸は残っている。すぐに洋館の元に走り出そうとしたが、ダークエルフの方が先に動く。
「どこへ行く?」
「あぐっ……!?」
一瞬にしてダークエルフがレノとの距離を縮め、そのまま彼の首元を握りしめる。本人としてはそれほど力を込めていないのかもしれないが、まるで万力に固定されたように外れず、レノは苦しみながらもある考えを思いつく。
「なにっ?」
自分の首を掴む彼女の腕にしがみ付き、そのままレノは彼女を睨み付け、笑みを浮かべる。
「……電流を味わえ」
使い果たしたはずの魔力を再び身体に集中させ、レノは背中の「反魔紋」を発動させる。実際に魔法を放つのではなく、魔法の呪文を呟くだけで「反魔紋」は発動するのはよく知っている。レノは口を開いて呪文を唱えた。
「ぐあっ……!?」
「があぁあああああああっ!!」
反魔紋から夥しい電流が放たれ、腕を掴まれているダークエルフにも電流が流し込まれる。すぐに彼女は手放そうとしたが、レノは逃すまいと掌を握りしめる。
「うあぁああああああああっ!!」
「ぐぅあああっ……!!」
2人に何十万ボルトの電流が流れ込み、流石に応えたのかダークエルフも片膝を着き、レノは背中から直接流れ込まれる電圧に耐えながら、左拳を握りしめた。
(イメージしろ……あの武器を……!!)
残された左手に、流れ込まれた電流を集中させるイメージを施し、現実世界での武器「スタンガン」を思い浮かべながら放つ。
「なっ……!?」
「ああぁあああああっ……!!」
左手から電流が迸り、レノは彼女の首に目掛けて首元に直接電流を流しこみ、そのまま地面に押し倒す。今度は右手を手放し、両手で彼女の首を絞める。
「うぐあぁあああっ……!?」
「くたばれぇえええええええっ!!」
反魔紋から流れる電流を利用した捨て身の攻撃、レノは自分の意識と身体が限界を迎える前にせめて目の前の「敵」を殺すため、渾身の力で握りしめる。彼女も抵抗するが、命がけのレノの握力は凄まじく、やがては苦悶の表情を浮かべるが、彼女は力尽くで引き剥がす。
「ぐうっ!!」
「がはっ……!?」
傍に落としていた薙刀を掴み取り、レノの頭部に叩きつけ、彼の力が抜けた一瞬の隙を逃さず、蹴り飛ばす。
「ぐはっ……!!」
派手に蹴り飛ばされ、レノは全身に火傷を負いながらも彼女に視線を離さない。一方であまりにも狂気じみた彼の行為にダークエルフは首を抑えながらも睨み付ける。
「まさか、反魔紋をこんな形に利用するとはな……全身を黒焦げになりながらも、私を殺したいか?」
「お前は……皆を殺した……!!」
「殺した?」
「とぼけるなぁあああっ!!」
レノは立ち上がろうとしたが、両脚は震えていう事を聞かず、まともに動くことすらできない。そんな隙だらけの彼に、ダークエルフは何故か不思議そうに首を傾げ、何かに気付いたように洋館に視線を向ける。
「私が殺しただと……誰の事を言っている?」
「子供たちの事だ!!お前が……」
「子供……ああ、あの屋敷に居た子か」
今思い出したように語るダークエルフに、レノはより一層、視線を鋭くさせ、殺意が芽生えるが、
「勘違いだ。私が辿り着いた時には誰もいなかった」
「なっ……」
「まあ、信じる信じないはお前次第だがな」
「っ……!!」
からかわれたのかと判断し、レノは無理やり身体を奮い立たせ、彼女に立ち向かおうとした時、
「今度は私の番だな……」
彼女はレノに掌を向け、炎の球体を作り出し、
「焔」
次の瞬間、レノの身体に爆風が放たれた。
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