意味が分かると怖い話【祝：お気に入り数130突破！】

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Title：『メシウマプギャーm9(^Д^)9m』

「もっとこの仕事に命賭けろや！　このカスが！」
「お前はこの部署を潰す気か？　マジ使えねぇ！」
「やる気がねぇなら、いなくなってくんねぇかな！？」
「はぁ？　だーかーら！
　そこはそうじゃないって言ってんだろーが！」
　
課長のパワハラが酷い。
朝から晩まで誰かを罵っていて、もう暴君。
書類の書き方がやれ違うだの、
説明の仕方がやれ分かりにくいだの、
自分が忙しそうな時は話しかけるなだの言って、
あれはもう独裁者。
　
だけど、お気に入りの社員（特に女子）には激甘。
クソしょーもねー話しをしては大笑いして、
それをヨイショする取り巻き共は、バカ殿の家来そのもの。
　
ほんと……この会社爆発しねーかな？
　
はぁぁ……。
大きな夢を抱いて、
地元から遠く離れたこの会社に就職したのに、
毎日どんどん仕事が嫌になってゆく。
俺がなりたかった大人って、本当にこんなんだったっけ？
なんて愚痴ばかり零す自分が情けなくて嫌になる。
　
けれども、それでもどうにか頑張れるのは、
学生時代から付き合っている彼女が支えてくれるからだ。
　
「休みの日ぐらい仕事を忘れて遊びに行こうよ！」
出かけることさえ億劫になっている俺を家から引きずり出し、
彼女は俺を色んな所へ連れて行こうとする。
でも、そのお陰で俺は鬱に飲まれないで、
どうにか踏ん張れているのかもしれない。
　
「ねぇねぇ！　次はどれに乗ろうか？」
無邪気に笑う彼女に手を引かれ、
カップルや家族連れで混雑する
アミューズメントパークを歩く。

すると、見慣れた後姿が視界に飛び込んで来た。
は？　あれって……絶対君主の課長様だよな？
　
いつも顔を歪めてキーキー喚いている課長が、
やけに穏やかな顔で子供向けの
キャラクターショーを眺めている。
　
課長のあんな顔……始めて見たかも。
　
小さな女の子――おそらく愛娘と手を繋ぎ、
整った顔立ちをした若い母親と
アットホームな雰囲気を醸し出している課長。
　
その意外な様子を眺めていると、
俺の視線に気づいた課長が不意に振り返った。
　
「お……お前も来てたんだ。
　ええっと、そっちは彼女さん？」
　
普段とは違う柔らかな声音に驚きながら、コクコクと頷く。
すると、課長は照れくさそうに笑いながら、
このことは誰にも言わないでくれよな？　と耳打ちした。
　
会社では怖い上司にも、
プライベートの顔があることを俺は知った。
そして、その姿を見ていると、
なぜか微笑ましい気持ちになっている自分がいた。
　
「あれって……いつも話してる課長さん？」
課長が遠ざかるのを見届けて、彼女が話しかけてきた。
俺はそれに頷き返しながら、
楽しそうに過ごす課長達に携帯を向けた。
そして、カメラを起動させ――そっとシャッターを切った。
　
「何だか、素敵な家族だね」
笑う彼女にそうだねと言いつつメールを打つ。
この幸せな気分を誰かにお裾分けしたくなった俺は、
奥さんにも写真をプレゼントする為に、
課長にメールを送った。

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