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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

接ぎ木の行方

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《サファイア》の話によれば、『世界樹の接ぎ木』は《借金鳥》が持っているとのことでした。こうなると探すのは大変です。

《借金鳥》は森に点在しますが、全て狩るのは時間がかかりそうです。何かよい方法はないかと、私は試行錯誤を繰り返します。

 私は、《借金鳥》と《マリー》を【複製】して、会話をさせて観察してみました。

「私、マリーだよー。鳥さんは?」

「タワシマリー、ワタシマリー」

「タワシじゃないよ! マリーだよ!」

「マリジャナタワシー、マリジャナタワシー」

 …………知能は高いようですが……これでは時間がかかりそうです。

「ねえ、何してるのー」

 パタパタと、妖精が飛んできます。《フィオレ》でした。私が《マリー》で話しかけます。

「《借金鳥》の観察です」

「ほっほー。どれどれ?」

《フィオレ》は、《借金鳥》の顔を覗き込みます。《借金鳥》は《フィオレ》の目をつつきました。

「目、目がああぁぁ! んぎゃああぁぁ」

 目を抑えて、とても苦しそうに飛んでいました。どうやら目を潰されたようです。その後、私の口の中に吸い込まれるように入ってきます。

 ……パクリ。

 食べました。でも、すぐお腹をすり抜けて出てきます。

「わーびっくりしたー。目が一瞬見えなくなったよ……」

 目をつつかれて潰されたら、見えなくなるのは当然だと思うのですが……。それよりも、私の体をすり抜けたら潰された目が治るなんて…………どんな効果でそうなっているのでしょうか……謎です……。

「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。すごく痛かったけど~。で、何の観察なの?」

「言葉がわかるかどうか、観察していたのですが……」

「んー。この鳥の言葉は、モノマネだよ」

「モノマネ……ですか?」

「普通の会話は、こんな感じかな……カ~カッ……カカカカッ……カーカーカーカカカカッカッカーッ」

 すると、《借金鳥》も、大きく口を開けて同じような声をあげました。

「カ~カッ……カ~カカカカカカカカカカカカカッカッカカーッカカカ」

 まるで、金属音のような音です。

「今ね、『こんにちは! 今日は儲かってますか?』って聞いたの。そしたらさ、『ああ? 見りゃーわかんだろぉてめえ何様だぁ? 食うぞゴルァ』って言ってたの」

「分かるのですか?」

「少しだけなら」

 これは驚きです。まさか、鳥の言葉がわかるとは思いもよりませんでした。妖精……恐るべしです。ですが……これは使えます。

「じゃあ《フィオレ》さん。もしよければ、通訳をお願いしてもいいでしょうか」

「うん、かまわないよー」

「そうですか、ありがとうございます」

「そのかわり、蜜ちょうだいね」

「構いませんよ」

 そういえば、よく《借金鳥》がこの森の上空を飛ぶのを目撃します。その群れに混じって情報を聞き出して欲しいと命令しました。あとは、群れを待つだけです。


 夕方になりました。大群が空を飛んで行きます。複製体の《借金鳥》は大空高く飛び、群れに合流します。捕獲領域外付近で群れから離脱して帰ってきました。

《借金鳥》は、《フィオレ》に話しかけます。

「ねえ、《シュカ》。光る枝を持ってる鳥、見つかったそうよ。でも、光るものと交換じゃないとダメみたい」

「見つかったのですか! まあ、タダではないようですね……光るものですか……」

 光るもの……お金、金属……前回《サファイア》を罠にハメたときに使った光物があったような気がしました。それを使ってみましょう。たしか、あれは……ボウガンの矢じりでした。

 とりあえず、《借金鳥》にその矢じりを持たせ、帰りの群れに合流させることにします。


 帰りの《借金鳥》の群れが飛んできました。【複製】の《借金鳥》は、矢じりをくわえて上昇します。

『世界樹の接ぎ木』を持ち帰れるとよいのですが……。

 …………。


 しばらくして、《借金鳥》が、何かを首にぶら下げて戻ってきました。

「《シュカ》、戻ってきたよ」

 戻ってきた《借金鳥》は、《フィオレ》と話をしています。

「『綺麗な矢じりをありがとう。こんなのでよければ、持って行っていいよ』と、相手方の《借金鳥》さんが言ってたそうよ」

「そうですか、よくやりましたね」

 私は、この優秀な《借金鳥》をねぎらいました。これで、アズールさんからプレゼントをもらえそうです。いったい何をプレゼントしてもらえるのか、とても楽しみです。

 蔓を伸ばして『世界樹の接ぎ木』を《借金鳥》から受け取ります。

 突然、接ぎ木の入った筒のフタが外れ、中身が落ちました。その接ぎ木は綺麗なエメラルドグリーンの輝きを放っていました。

「これが、接ぎ木ですか……美しいですね」

 私は、落とした接ぎ木を拾い上げようと蔓を伸ばしました。すると、触れた瞬間、接ぎ木は激しい光を放ちました。

「な、なんですか……これは……!」
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