【R18】人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

マイきぃ

文字の大きさ
30 / 63
人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

世界樹との接続

しおりを挟む
 光は、私の体を覆いました。接ぎ木の枝の先から、白い根のようなものが私のからだに絡みつきます。

 次の瞬間、接ぎ木の反対側から太い根が飛び出し、地面に刺さりました。その根は伸び続け、地中を掘り進むかのようでした。

 ────「今、世界樹と接続してはいけない……」

 声が聞こえました。天の声とはちょっと違います。私の思考に直接介入してくるような、そんな感じの声でした。

 それと同時に、私の体に何か別な力が注ぎ込まれてきました。体中の水分が、沸騰しそうな感じです。内側から焼かれるような感覚……この力は一体……。


 ────ガガッ……。

 思考のノイズがかかりました。また、何かの記憶が流れ込んできます。


 記憶の私は、何か帳簿のようなものを片手に、地図を指差していました。指していたのは、ちょうどディーバ帝国の城の北側に位置し、東西に伸びる川でした。

「確かに、こんなに魔鉱石の取引が多いのに……陸路だけでは厳しいはずだ」

「そうです。ここを流通の拠点の港とすればよいはずです。この川は隣接する全ての国へつながっているので十分すぎる場所だと思います。これまでは陸路を何度も往復していましたが、船を使えば魔鉱石を一度で大量に輸送することが可能です。それに私たちも港を利用できれば、商業も発展します」

 ──それが叶うのなら、私の父母も、楽に行商を続けられるはずです。無理をする必要もないのですから……。

「帝国の国力の増強にもつながる……か……」

「私は商人です。身分もそうですが、女では……署名を集めたところで、話も聞いてもらえません。レイヤ王子……お願いしてもよろしいでしょうか……」

「ああ、他ならぬ君の頼みだ。この報告書で直接国王を納得させてみせる。こういう話なら、第三王子の《プロミス・キンバル》も協力してくれるはずだ。それと……んんっ……コホッ。誰もいないところでは、レイヤと呼んでくれてかまわない」

「レイヤ……」

「そうそう、この話が通ったら、君に渡したいものがあるんだ」

「渡したい物……ですか?」

「ああ、その時は城へ来てくれ。その時渡そうと思っている」

「そうですか……楽しみです」

 記憶の私は、なぜか顔を赤くしていました。

 ────ガッガッガガッ…………。

 記憶のノイズが思考を駆け巡りました。そして……なんだか、その記憶は、暖かく感じられました。そして、なんだか少し悲しくもあり…………。

 ────暖かい記憶…………悲しい……? この感情はいったい…………。


『世界樹の接ぎ木』は、根を伸ばすのをやめました。そして、粉のように消えていきます。

 その後、体の熱も引きました。《フィオレ》が心配そうに話しかけてきます。

「シュカ! どうしたの? 大丈夫?」

「ええ、大丈夫ですよ」

 あの声……世界樹との接続とは、いったいどういう意味だったのでしょうか……。ですが、体の中から、生命力のようなエネルギーが湧いて出てくるのが感じられます。

 変わった点といえば、視界の下の方に、緑色の長いバーが表示されたことです。何の意味を持つかはわかりませんが、気に留めておくことにします。

 それにしても……『世界樹の接ぎ木』は消えてしまいました。これは、どう言い訳すればいいのでしょうか……。

 と、言い訳を考える間もなく、このタイミングで私の元に、青装束の男はやってきました。…………《アズール》です。

「こんにちは! マドモアゼル」

「に、人間? ……やだ、臭い」

《フィオレ》が《アズール》に反応しました。とても嫌そうな顔をしています。

「おや、妖精ですか……いるんですね、この森にも……」

「あんた、何者なのよ! 死んだ人間の臭いがするー!」

 死んだ人間の臭い……言われてみれば確かにそうですが、まだ食べられる程度のちょっと熟したもののように感じます。

「失礼な、別に死んでいるわけではないのですよぉ。かわいい妖精さん」

「か、かわっ…………ま、まあ……言い過ぎたわ。ごめんなさい」

《フィオレ》と《アズール》は、口論になりましたが、ちょっとした一言で収まったようです。それにしても……。

「今日は、何の件でこちらへ?」

「あの件ですよぉ、あの件…………『世界樹の接ぎ木』ですよぉ。もうね、私……諦めました。なので、《人食い花》さんに頑張ってもらうことにしましたぁ。それと……私を使わせた声の主のことなのですがぁ……もうここへこれないそうなんですよぉ」

「《人食い花》って名前じゃないよ。今は《シュカ》っていうんだよ」

《フィオレ》が口を挟みます。

「そうですかぁ。《シュカ》さんですかぁ……とても良いお名前ですねぇ。わかりました。では《シュカ》さん。近々、人間たちがここに大勢やってくると思います。その時は、いっぱい食べちゃってくださぁい。あなたも相当強くなったはずでぇす。まかせましたよぉ、マドモアゼル! ハッハッハッ……」

 そう言うと、《アズール》はさっさと行ってしまいました。

 すこし、言葉がとげとげしい感じがしました。ですが、態度は紳士的です。『世界樹の接ぎ木』を諦めた、と告げられた時は正直ほっとしましたが……何か言いたげな素振りが少し気になりました。

 それよりも、ごちそうが大勢くるということは……食べ放題なのでしょうか……。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...