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第2章 王都にて(前)

第49話 混戦

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当初リカルドが優勢かと思われたお茶会後半戦は、

エレンの『アップルパイ』攻撃により、

リカルドが劣勢になった。

エレンはリカルドを心から誉めようと思い、

自分の好きな『アップルパイ』に例えただけで、

攻撃する意思はなかった。

エレンの意思はさておき、

優勢に転じたかに思われたエレンだったが、

エレンはうふふと笑いながら思った。










『この役……超疲れる!!!( ´_ゝ`)!!!』









『男爵令嬢みたいなエレン』はかなり力の消耗が激しかった。

元々いつもはたまに来る貴族の客に、

最初だけ貴族みたいに挨拶して、

あとはおとなしくウィルのとなりでにこにこして、

適当に相づちをうってれば、

父親のウィルが適当に客の話相手をして、

たまにエレンが失言しても、

サーヤやヨハンをはじめとした優秀な使用人たちが、

なんとかしてくれていただけなので、

『貴族みたいなエレン』は長台詞にも長期戦にも単独戦にもなれていなかった。

現在、『なんかやばい感じがする皇子』を前に、

ウィルや優秀な使用人たちはおらず、

さっき食べたアップルパイやサンドイッチたちだけが今エレンの血となり肉となりエレンをなんとか支えてくれていた。

『これはとっとと疑問に答えてもらってこのリカルドお兄さまとやらにはとっととお帰りいただかないと、

後でかくれんぼする力がなくなるぞ( ´_ゝ`)』

エレンは結構追い詰められていたが、

『後でユーリと王宮の庭でかくれんぼする』という希望を捨てていなかった。

一方ユーリはまだぐらぐらしており、

ユーリ付きの侍女たちはそんなユーリに動揺しながらも、

なにもできずに後ろでうろうろしており、

リカルドは運悪くさっきの紅茶が気管支に入ったようで、

まだゲホゲホむせて涙目になっており、

リカルド付きの侍女たちはそんなリカルドに動揺しながらも、

ワタワタとリカルドの服やテーブルをふいたりしていた。

お茶会後半戦、情勢は混戦状態に陥った。

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