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第2章
悪役令嬢死す!?
しおりを挟む「ああ。今、ヴィクトリアといる。・・大丈夫だ。俺が連れて帰る。ああ、レオニダスを頼む。」
指輪に口元を寄せ、オズワルド皇子が独り言を呟いていますわ。
「なんだ?変な顔をしてこっちを見て。」
眉間に皺を寄せながら、私の方を向きますわ。
「いえ。余りに大きな独り言だな・・・・と思いまして。」
「は?あぁ、コレか。グレイと話してたんだ。通信用の魔道具で・・・・ああ!そうそう!グレイとはたまたまアルテに一緒に来ていたんだがな!お前達をたまたまみかけて・・・・迷子になりやすいレオニダスが、たまたまひとりで飛び出すのを見て、グレイにレオニダスを任せたんだ!!そう!お前を見かけ、後を追ったのも全部たまたまだ!付き纏いでも、監視でもないからな!違うからな!」
右斜め上の方をチラチラと見ながら、オズワルド皇子が話しだしますわ。たまたま、たまたましつこいですわね。耳にたまたまができそうですわ。あと、何をそんなに焦ってらっしゃるのかしら?やはりオズワルド皇子は、よくわかりませんわ。
「まぁ、そうですの。グレイ様やオズワルド皇子もたまたまアルテに来られていたのですね。」
ハンスやルビアナも見かけたし・・・・偶然って重なるものですのね。あまり重なりたくない偶然でしたけれど・・・・。
「安心しろ。レオニダスは、グレイと一緒だ。」
下に視線を落とした私に、オズワルド皇子がぶっきらぼうに言いますわ。
レオニダスはグレイ様に捕獲されましたのね。よかった。心配していたのよ。人災もそうですけれど、私のように暴漢に襲われてないかと・・・・。あっでも襲われた所で大丈夫そうな気もしないでも・・・・むしろ襲った方が肋の一本二本折られてそう・・・・壁や家屋に甚大な被害を齎しながら・・・・って思い込みすぎですわね。レオニダスも人の子ですもの。人災認定はし過ぎよね。
「無事で良かったですわ。」
「ああ、まあ・・・・その、レオニダスは無事なんだが・・・・その・・・・な・・・・。」
っと言葉を濁すオズワルド皇子。それはどういう・・・・いえ・・・・ちょっと聞くのが怖いわ。メンタル的にこれ以上の負荷がかかると・・・・流石の私も・・・・。っと視線を泳がすし、はたと目に付く皇子の手元。
右手の人差し指に、魔石が嵌った指輪
「コレで話をしていらっしゃったのよね?」
「ああ、通信用の魔道具だ。コレにはグレイと通信できるようにあいつの魔力と声を登録している。ブレスレット、ピアス。色んな形態があるが、俺はコレだ。」
説明するオズワルド皇子。私はその手に触れ、しげしげと見つめますわ。あら・・・・そういえば
「私も、お兄様からいただいていましたわ。」
入学のお祝いにいただいていたブレスレット。たしか通話ができると仰ってたような。
「使い方を聞くのを忘れてて、まだ使用した事がありませんけれど。」
「聞いてなかったのか・・・・。」
私の言葉に、呆れたような視線を向けるオズワルド皇子。
「お兄様は、忙しいのですわ。仕方ありませんじゃないの。」
思わずムッとして返す。
「お前に何かあった時の為に渡されてるんだぞ?使い方は、知っておくべきだろが!」
「何かって・・別に私に何かある事なんて!」
・・・・言い返してはたと吃ってしまう。口にして、先程の事を思い出し身体が強張る。男達の濁った目。掴まれた腕と手首に残る痣。首に触れた刃物の冷たさ。
「・・・・私・・・・私は・・・・大丈夫ですわ。」
自分に言い聞かせるように口にする。大丈夫。さっきの事なんて何でもありませんわ。平気。あんな事、早々あるものではありませんし。いつもは、ハンスが護ってくれますもの。だから、なんともない。怖くない。怖くなんかなかった。私は大丈夫。
「・・大丈夫じゃないだろ。」
「え?」
下を向いていたら、突然陰が・・・・オズワルド皇子の肩がそこにあって、私の顔が埋まって・・・・
「オ・・・・オズワルド皇子!?」
なっ・・・・何を!?何で!?
なぜ私は、抱き締められているのです!?うっぎゃあぁああ!?ちょっと!拘束されてしまいましたわー!!また嫌がらせですのー!?私の心臓を止めにきたのですわね!この殺し屋皇子ーーーー!!!
「なっナナナ!おおおお離しに!!」
「黙れ。」
「え?」
じたばたともがく私を、オズワルド皇子が制しますわ。
「黙ってろ。」
力を込められる腕。オズワルド皇子の熱が私にまで伝わる。
「怖かったんなら無理をするな。・・・・震えが止まるまで、こうしてやるから。黙って抱かれてろ。」
「ひぃっ!?」
オズワルド皇が耳元で囁きますわ。その声に、言葉に、心臓が止まりかけましたわ。たっ確かに、震えと先程の恐怖は和らぎましたけれど・・・・・・
今度は、貴方に殺されかけてますわ!!
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オズワルドは、殺し屋の称号を得た。
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