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第1章
12. ヤキモチ兄様
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なんとそこにはタジェット兄様が立っていた。皆は黙って兄様を見つめる。
「突然申し訳ありません。フェンネル・ローランドはいますか。」
兄様が声を発した途端、クラスが騒がしくなる。
「あの方はタジェット・ローランド様!」
「何故ここに!?」
「たしか第1部隊の方だよね?」
僕は返事するよりも「どうして!?」の方が強く、声が出なかった。
それにいち早く反応したのはマートル先生だった。
「はい、あの件ですね。フェンネル・ローランド君、タジェット様について行って下さい。」
「ハイッ!」と僕は居た堪れず、バッと立ち上がった。
まだクラスはザワザワしてたが、僕はあえて何も聞こえないフリをして真っ直ぐに兄様に近付いた。
「さぁ行こうか、フェル。」
兄様に肩を抱かれ廊下を歩き始めると、いつも和かな彼とは違う雰囲気に戸惑う。
「(えっ…なんで?兄様、なんか怒ってるのかな…?こんな無言なの初めてなんだけど…。)」
兄様の様子を窺いつつ人気の無いところに差し掛かると突然抱き締められた。
「フェル!!」
「にっ…兄様どうしたの…?」
僕は初めての兄様に若干半泣きだ。
「フェル、入学式の会場であんな可愛い顔を他の人に見せたらダメじゃないか。」
兄様は怒ったような哀しい顔をして告げる。
「えっ…?…そんな顔してないよ?(…いや僕がそう思ってないだけで、この顔だったら有り得るのか…。)」
「そんなことない。ニコニコしながらあんなに周りをキョロキョロしてたじゃないか。それに隣の獣人と仲良さげに話して…フェル、私は心配なんだ…フェルが他の子達に虐められないか…。」
兄様はどうしても僕に非を認めさせたいらしい…。
「…ごめんなさい…?」
とりあえず謝っとこう。
「良い子だね、フェル。」
「(にっ…兄様…若干ヤンデレ感、出てるんですけど…。てか虐められないか、じゃなくて僕が他の人を見るのが嫌なんじゃ…?)」と将来が不安になった…。
「兄様…急に教室に来てどうしたの?」
僕が話を逸らすように聞くと「前に父様と言ってたフェルの魔法属性の件だよ。皆と魔法属性の測定に行ったら2つ出てしまうから別室で測定しないと、って話してたでしょ?忘れてたの?」と告げる。
「(あぁ~!そういえば父様が言ってた!)
…ううん!覚えてたよ!だって、あんな早く来ると思ってなかったし。」
「私が早くフェルに会いたかったから。それが少しくらい早くなっても別室に行くのは一緒でしょ。」
「(兄様、だんだんあからさまになってきた…。)
うん…そうだね。僕も兄様に早く会いたいと思ってたんだ。」
僕は兄様の様子を見ながら発言する。
案の定、その後の兄様はご機嫌でした…。
ご機嫌な兄様に着いて行くと、理事長室の前で立ち止まる。
「(なんで理事長室…?)」
そう思っていると兄様は扉をノックし、返事を待たずに入って行った。
「(えっ!?いいの!?)」
そのまま中へ進むと理事長と父様、その他、先生らしき人が2人立っており、僕達が入って来るなり理事長が口を開いた。
「入学おめでとう、フェンネル・ローランド君。タジェット・ローランド君も久しぶだね。早速だけど、君の魔法属性の件は聞いたよ、2つの能力持ちだと。悪いがここで見せてもらっていいかな?」
「(理事長が直接確かめるんだ…。)
はい、わかりました。」
僕は水魔法から始める。エリーとやった通り、氷の彫刻や手から水を溢れさせるということを行い、最後はかなりの期間特訓していた雨を降らせる、という課題にも取り掛かろうとした。
僕が構えると理事長に 「ちょっと待ちなさい!今から何しようとしたんだい!?急に魔力が増大したのだが?」と慌てた様子で止められた。
「えっ…今から雨を降らせようと思ったのですが…。」
そう答えるとかなり驚かれた。普通の水の能力者でも雨を降らせることはできないらしい…。
「(えっ!?そうなの!?あんなにエリーに特訓させられたのに!エリーは僕に何やらせてるの!?帰ったら文句言ってやる!)」
「次は光魔法を頼む。」
「わかりました。本来は怪我をしている人がいたらそれを治しますが、いないので光の防御壁を作ります。」
僕は構えて防御壁が学院全体を包むイメージをした。その後、防御壁で学院全体を包みそのままの体勢で理事長に「今、学院全体を包むように防御壁を張りました。」と答える。
光の防御壁は色が無いため、魔力を感じ取ってもらわないといけない。魔力の高い人は一瞬で感じ取り、薄っすら膜が張っているのも見える。
理事長は驚きながらも「防御壁とはそういう意味か…てっきりこの場に身長程の防御壁を作るのかと思っていたが…。」と呟いた。
「わかった。もう解いて大丈夫だよ。アトラス、こんなこと聞いてないぞ。」
そうジトーッとした目で父様を見ていた。
「突然申し訳ありません。フェンネル・ローランドはいますか。」
兄様が声を発した途端、クラスが騒がしくなる。
「あの方はタジェット・ローランド様!」
「何故ここに!?」
「たしか第1部隊の方だよね?」
僕は返事するよりも「どうして!?」の方が強く、声が出なかった。
それにいち早く反応したのはマートル先生だった。
「はい、あの件ですね。フェンネル・ローランド君、タジェット様について行って下さい。」
「ハイッ!」と僕は居た堪れず、バッと立ち上がった。
まだクラスはザワザワしてたが、僕はあえて何も聞こえないフリをして真っ直ぐに兄様に近付いた。
「さぁ行こうか、フェル。」
兄様に肩を抱かれ廊下を歩き始めると、いつも和かな彼とは違う雰囲気に戸惑う。
「(えっ…なんで?兄様、なんか怒ってるのかな…?こんな無言なの初めてなんだけど…。)」
兄様の様子を窺いつつ人気の無いところに差し掛かると突然抱き締められた。
「フェル!!」
「にっ…兄様どうしたの…?」
僕は初めての兄様に若干半泣きだ。
「フェル、入学式の会場であんな可愛い顔を他の人に見せたらダメじゃないか。」
兄様は怒ったような哀しい顔をして告げる。
「えっ…?…そんな顔してないよ?(…いや僕がそう思ってないだけで、この顔だったら有り得るのか…。)」
「そんなことない。ニコニコしながらあんなに周りをキョロキョロしてたじゃないか。それに隣の獣人と仲良さげに話して…フェル、私は心配なんだ…フェルが他の子達に虐められないか…。」
兄様はどうしても僕に非を認めさせたいらしい…。
「…ごめんなさい…?」
とりあえず謝っとこう。
「良い子だね、フェル。」
「(にっ…兄様…若干ヤンデレ感、出てるんですけど…。てか虐められないか、じゃなくて僕が他の人を見るのが嫌なんじゃ…?)」と将来が不安になった…。
「兄様…急に教室に来てどうしたの?」
僕が話を逸らすように聞くと「前に父様と言ってたフェルの魔法属性の件だよ。皆と魔法属性の測定に行ったら2つ出てしまうから別室で測定しないと、って話してたでしょ?忘れてたの?」と告げる。
「(あぁ~!そういえば父様が言ってた!)
…ううん!覚えてたよ!だって、あんな早く来ると思ってなかったし。」
「私が早くフェルに会いたかったから。それが少しくらい早くなっても別室に行くのは一緒でしょ。」
「(兄様、だんだんあからさまになってきた…。)
うん…そうだね。僕も兄様に早く会いたいと思ってたんだ。」
僕は兄様の様子を見ながら発言する。
案の定、その後の兄様はご機嫌でした…。
ご機嫌な兄様に着いて行くと、理事長室の前で立ち止まる。
「(なんで理事長室…?)」
そう思っていると兄様は扉をノックし、返事を待たずに入って行った。
「(えっ!?いいの!?)」
そのまま中へ進むと理事長と父様、その他、先生らしき人が2人立っており、僕達が入って来るなり理事長が口を開いた。
「入学おめでとう、フェンネル・ローランド君。タジェット・ローランド君も久しぶだね。早速だけど、君の魔法属性の件は聞いたよ、2つの能力持ちだと。悪いがここで見せてもらっていいかな?」
「(理事長が直接確かめるんだ…。)
はい、わかりました。」
僕は水魔法から始める。エリーとやった通り、氷の彫刻や手から水を溢れさせるということを行い、最後はかなりの期間特訓していた雨を降らせる、という課題にも取り掛かろうとした。
僕が構えると理事長に 「ちょっと待ちなさい!今から何しようとしたんだい!?急に魔力が増大したのだが?」と慌てた様子で止められた。
「えっ…今から雨を降らせようと思ったのですが…。」
そう答えるとかなり驚かれた。普通の水の能力者でも雨を降らせることはできないらしい…。
「(えっ!?そうなの!?あんなにエリーに特訓させられたのに!エリーは僕に何やらせてるの!?帰ったら文句言ってやる!)」
「次は光魔法を頼む。」
「わかりました。本来は怪我をしている人がいたらそれを治しますが、いないので光の防御壁を作ります。」
僕は構えて防御壁が学院全体を包むイメージをした。その後、防御壁で学院全体を包みそのままの体勢で理事長に「今、学院全体を包むように防御壁を張りました。」と答える。
光の防御壁は色が無いため、魔力を感じ取ってもらわないといけない。魔力の高い人は一瞬で感じ取り、薄っすら膜が張っているのも見える。
理事長は驚きながらも「防御壁とはそういう意味か…てっきりこの場に身長程の防御壁を作るのかと思っていたが…。」と呟いた。
「わかった。もう解いて大丈夫だよ。アトラス、こんなこと聞いてないぞ。」
そうジトーッとした目で父様を見ていた。
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