夢追い旅

夢人

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相棒

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 二度目のねぐら訪問である。
 管理人室からは、電話の若い女の声がしている。長い廊下を抜けると、契約した部屋がある。無意識にポケットを探って少し古臭い大きめの鍵に触れる。ほとんど同時にドアが開く。
「先に寄せていただいていました」
 部屋に中に、いつの間にか、冷蔵庫、テレビ、パソコンと生活感が溢れている。
「パソコンは重要なものは打ち込まないでください。個々の管理はこちらでやります」
「国崎さんですか?」
「轟というものです」
 肩書のない名刺である。
「何でも屋というか、国崎さんとはもう10年の付き合いです」
「少し聞いていいですか?」
「私にわかる範囲で」
 冷蔵庫から缶コーヒーを出してくる。
「あなたの嗜好までは聞いていないので、微量甘く口です」
「ここで私は何をすれば?」
「今のところ何も仕事はありません。ただ私は相棒になりますから、精一杯のお節介を焼きますね。ここに関われている人は私も含め、みんな欲望で動かされている人たちです。ただ、欲望と言っても、身の丈に合った欲望で付き合うことです。私は金のかかる若い女に入れあげています。その資金がすべての欲望です」
「お幾つですか?」
「今年で、60歳になりました。この歳で地位や肩書はいりません。S銀行で課長まで行きましたが、使い込みでお払い箱になりました。これも女だったんですよ。それで女房も家族も失いましたね。その時から、国崎さんの仕事をするようになりました」
「M商事の代表者の交代との時は?」
「はあ、あの時は後味の悪い思いでした。半年もその当時の社長を尾行しましてね。国崎さんがくっつけたママとの情事の写真を撮りましたね。そのママはあの頃の今の会長の愛人だったのですよ」
 ということは、今の舅の奥さんであるわけだ。
「それで、最下位の取締役が社長になるということが起こったのですね」
「どうせいずれその事実を知ることになりますが、これを相棒の印として節介焼きますね」
 どうもこの男とは組めそうな気がしてきました。



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