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第四章

☆3

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(今の俺を見たら、ティアは怖がるだろうか)

自分は優しくはなく、目的の為なら手段を選ばない。
ティアは純粋で穢れがなく心も身体も真っ白だ。

レミィはカルラ、いや、エメラルドの洋館に居候の身であり、寝泊まりが一緒だった。気を失ったティアが心配で目覚めるまで付きっきりで側に居た。
ティアが目覚めた夜、レミィはソファーをベットにして寝ようとした。
獣人だが、立派な可愛い一人の女の子であるティアにベットを譲るのは当然だと思ったからだ。
しかし、ティアは不思議そうに首を傾げた。

「レミィ、ここで、ねないの?ふかふかだよ?」

「…俺はここでいい」

年端もいかないような、幼く無垢な女の子に男だから、とか女だから、とか言いにくくてティアから視線を外して言葉を濁した。
そのレミィの様子を見て寂しそうに耳と尻尾をしょぼんとさせた。

「ティア、レミィと、いっしょが、いいなぁ、さみしい」

その声はあどけなく、愛おしい。
レミィは柄にもなく胸をきゅんとさせた。そして、ティアを可愛がりたくなりベットに入ると彼女を後ろからぎゅうと抱き締めた。
ティアは嬉しそうな声をあげて笑った。聞いているレミィの心が軽くなるような澄んだ笑い声だった。

「…おやすみ、レミィ」

「ああ、おやすみ、ティア」

ティアの身体はぬくぬくとあたたかくて心地よかった。
安心したように目を閉ざし眠るティアの寝顔をしばらく見ていた。

(本当に、俺らしくないな)

ティアと一緒にいると、自分は優しい人間になりたくなる。
不思議だ。
セシルが見たらなんて言うだろうか。

「…大丈夫ですか?傷が痛む、とか?」

急に黙り込んだ、レミィを見てジェイが眉を寄せて心配そうに声を掛ける。

「なんでもない、…その本、少し見せてくれないか?」

「ええ、いいですよ。どうぞ」

ふとジェイが持っている本を見てレミィは驚いた。
本を貸してもらうとパラパラとページを捲る。
やはり、この本だ。
この本を探していた時があった。なかなか見つからず諦めてしまった本だ。

「探していたんだ、この本」

「そうなんですか?私もまだ、読んでいる途中なので今は貸せませんが…読み終わったら貸して差し上げますよ」

「本当か?それはうれしい」

ジェイに本を返すとジェイの申し出にふ、と微笑んだ。

「さてと、こいつを引き渡しに行くか」

レミィはロブの手首を後ろにして縛ると担いだ。
重力を軽減させる魔法を取得していて助かったな、と思う。

レミィとジェイは店を出て二人は警備隊の本部に向かった。
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