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ヴォイス
第六話
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「あの……、僕素人なので……」
「そんなの始めは誰でも素人だろ?」
(確かに……)
遠回しに断ろうと思った僕は、翔悟さんの正論に言いくるめられてしまう。
「でも……、僕人前に出るのは苦手で……」
「そんなの、慣れるって!」
ああ言えば、こう言う。
本当に翔悟さんには、口では勝てそうにない。
もしかして僕って、拒否権がないのかな?
僕がどう断ろうかと悩んでいると、翔悟さんが立っている後ろのドアが開いた。
「……あれ?塔哉」
扉を開けて出てきたのは、響兄ちゃんだった。
「響兄ちゃん!!」
せっかく兄ちゃんの為にここまで来たのに、その反応はないよ!
「塔哉、お前一人か?」
響兄ちゃんの訝しそうな声に、僕は無言で頷いた。
「え?お前よくここまで来れたな」
そんなにしみじみ言わないでよ!
いくら僕でも、傷つくよ!!
「はい、兄ちゃん。これ」
僕は抱えていた封筒を響兄ちゃんに押し付けた。
響兄ちゃんは僕の勢いに驚いていたが、黙って封筒を受け取った。
(このまま、どさくさに紛れて帰りたいよ……)
まぁ、そんなの無理だろうけど……。
「なぁ、響吾?塔哉を今度のCMに使いたいんだけど」
何気にこのままうやむやになるといいな、と思っていた僕の願望はあっさりと途絶えた。
「は?塔哉を?」
響兄ちゃんが意味が分からないって顔をしている。
まぁ、兄ちゃんだけじゃなく、僕も意味が分からないけど。
「そんなの始めは誰でも素人だろ?」
(確かに……)
遠回しに断ろうと思った僕は、翔悟さんの正論に言いくるめられてしまう。
「でも……、僕人前に出るのは苦手で……」
「そんなの、慣れるって!」
ああ言えば、こう言う。
本当に翔悟さんには、口では勝てそうにない。
もしかして僕って、拒否権がないのかな?
僕がどう断ろうかと悩んでいると、翔悟さんが立っている後ろのドアが開いた。
「……あれ?塔哉」
扉を開けて出てきたのは、響兄ちゃんだった。
「響兄ちゃん!!」
せっかく兄ちゃんの為にここまで来たのに、その反応はないよ!
「塔哉、お前一人か?」
響兄ちゃんの訝しそうな声に、僕は無言で頷いた。
「え?お前よくここまで来れたな」
そんなにしみじみ言わないでよ!
いくら僕でも、傷つくよ!!
「はい、兄ちゃん。これ」
僕は抱えていた封筒を響兄ちゃんに押し付けた。
響兄ちゃんは僕の勢いに驚いていたが、黙って封筒を受け取った。
(このまま、どさくさに紛れて帰りたいよ……)
まぁ、そんなの無理だろうけど……。
「なぁ、響吾?塔哉を今度のCMに使いたいんだけど」
何気にこのままうやむやになるといいな、と思っていた僕の願望はあっさりと途絶えた。
「は?塔哉を?」
響兄ちゃんが意味が分からないって顔をしている。
まぁ、兄ちゃんだけじゃなく、僕も意味が分からないけど。
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