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第1章
81. 新たな問題
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あれから1ヶ月、僕は隔週でエリーと共に施療院へ通った。
勿論、名目は光魔法の訓練だったが僕の中ではラーチさんとオットーさんの関係を知る為だ。
この1ヶ月でわかったことは"2人は恋人関係ではないこと"。
それがわかった時、もの凄く残念ではあったがラーチさんも回復を見せ、それを穏やかに眺めているオットーさんを見るのも悪くないと感じていた。
しかし、ここ最近、この関係性に少し変化が見られるようになる。
それはラーチさんが僕を口説いてくることだ。
何度も言ってるが僕はまだ"7歳"だ。
「(皆、なんでこんな子供を口説くんだよー!)」と思っていたが、その理由はラーチさんが教えてくれた。
この国は15歳で成人を迎えるが、この歳になると爵位持ちの人はほとんどが婚約者との政略結婚になってしまう。勿論、双方の意見を尊重して遅らせることは出来るが、大半は婚約者がいる為、早くに申し込んでいないと結婚出来ないそうだ。
平民はその点、政略結婚ではないので結婚は自由に出来る。身分が違うと色々と苦労もあるそうだ。
ただ、稀に相手が婚約者持ちでも場合によっては重婚も出来るらしい。
ラーチさんは自分を助けてくれた僕のことを命の恩人=運命の人だと思っており、話が出来るまで回復した日から僕を口説いてくるようになった。
ラーチさんはこの街を治める領主様の次男らしくてそれなりにお金持ちの身分。僕は侯爵家に生まれたがイマイチこの国のお金持ち事情には疎いので、それを「すご~い。」という感じに捉えていた。
ラーチさんは僕に婚約者がいないことを知ると「では、申し込ませてくれ。」と言ってきた。僕はその言葉は素直に嬉しいと思ったが、それは好意を寄せてくれているから嬉しいだけであってそれ以上の感情はない。
僕はそれに対し「まだ僕は7歳なのでよくわかりません。」と兄様達に使った言い訳で返事をしたが「なら、これからお互いのことを知っていこう。」と言われ引くことが出来なかった。
更にラーチさんは次男ということもあって跡取りなどのしがらみもないため、肩書きは婿でも嫁でもどちらでも良いそうだ。
「(そりゃ僕としてはありがたいけどね…そういうの面倒だし…。)」
それから僕はラーチさんのことをオットーさんに相談するようになった。
オットーさんは生前の僕の友人、正樹に似ていることから僕は勝手に友人だと思い込み、色々と相談に乗ってもらうようになった。
オットーさんも迷惑そうではなかったので「まっ、いっか!」と思って関係性を続けていた。そして僕は調子に乗ってオットーさんにも恋バナを振ってみる。
すると、どこか悲しい顔付きになり「私達の職業は修道士です…なのでお付き合いはしてはいけないのです…だから幾ら好きな人が出来ても諦めなければいけません。」と言われてしまった。
僕はそれを聞いてピンッと来た!
「(わかった!オットーさん…実はラーチさんのことが好きだけど、修道士だから恋愛出来ないんだ…!じゃあ僕が出来る限りサポートしなくっちゃ…!恋愛は出来なくても、ラーチさんをオットーさんに目を向けるようには出来るもんね!)
と意気込む。
その日、家に帰ってくるといつもより早い帰宅のタジェット兄様がいた。
帰ってくるなり「フェル!」と僕を抱き締める。
「(どうしたんだろう…?)」と思い、兄様を部屋まで連れて行くと「フェルが遠くに行くようで寂しい…。」と言われた。
僕は頭に「?」を浮かべながら、
「(僕が最近、光魔法の訓練にばっかり行ってるから兄様、寂しいのかな…?でも兄弟としてこれ以上のスキンシップはOKにしてないしなぁ~。)
大丈夫だよ。僕はいつもここに戻ってくるよ?」
と伝えると「それはそうだけど…。」と何処か腑に落ちないまま更に僕を抱き締めた。
その晩、父様にラーチさんに婚約を申し込まれたことを伝えた。
父様も驚いてはいたが「まぁ…まだ時間はある、ゆっくり考えなさい。」と告げてくる。
「(はぁ~…自分が優柔不断だとはわかっているんだけど、この年齢での選択肢が多過ぎるんだよ…。まぁそれにラーチさんに正式に申し込まれたわけじゃないし、とりあえず保留にしとこう。今の所、僕が施療院に行かない限りラーチさんには会ってないし…。あー…早く大人になりたい…。)」
僕はそう思いながら眠りについた。
あと、この1ヶ月で嬉しいことも2つあった。
1つは進級試験を無事、弓矢で通過したこと。まだ第1段階ではあるが、なんとかなってよかった。
また半年したら第2段階の試験があり、これで進級が決まるらしいので更に頑張らないといけない。
もう1つはロザリーナ姉様の結婚式が近々行われることだ。
数ヶ月前、婚姻を了承してから僕がプレス様のことや魔獣の討伐で倒れたりと色々あった為、結婚式を先延ばしにしていた。それがやっと挙げれることとなり、周りも嬉しそうだった。
僕は当日、ロザリーナ姉様とセイボリー様に今まで迷惑をかけたお詫びに自分なりに盛大にお祝いしようと決めた。
勿論、名目は光魔法の訓練だったが僕の中ではラーチさんとオットーさんの関係を知る為だ。
この1ヶ月でわかったことは"2人は恋人関係ではないこと"。
それがわかった時、もの凄く残念ではあったがラーチさんも回復を見せ、それを穏やかに眺めているオットーさんを見るのも悪くないと感じていた。
しかし、ここ最近、この関係性に少し変化が見られるようになる。
それはラーチさんが僕を口説いてくることだ。
何度も言ってるが僕はまだ"7歳"だ。
「(皆、なんでこんな子供を口説くんだよー!)」と思っていたが、その理由はラーチさんが教えてくれた。
この国は15歳で成人を迎えるが、この歳になると爵位持ちの人はほとんどが婚約者との政略結婚になってしまう。勿論、双方の意見を尊重して遅らせることは出来るが、大半は婚約者がいる為、早くに申し込んでいないと結婚出来ないそうだ。
平民はその点、政略結婚ではないので結婚は自由に出来る。身分が違うと色々と苦労もあるそうだ。
ただ、稀に相手が婚約者持ちでも場合によっては重婚も出来るらしい。
ラーチさんは自分を助けてくれた僕のことを命の恩人=運命の人だと思っており、話が出来るまで回復した日から僕を口説いてくるようになった。
ラーチさんはこの街を治める領主様の次男らしくてそれなりにお金持ちの身分。僕は侯爵家に生まれたがイマイチこの国のお金持ち事情には疎いので、それを「すご~い。」という感じに捉えていた。
ラーチさんは僕に婚約者がいないことを知ると「では、申し込ませてくれ。」と言ってきた。僕はその言葉は素直に嬉しいと思ったが、それは好意を寄せてくれているから嬉しいだけであってそれ以上の感情はない。
僕はそれに対し「まだ僕は7歳なのでよくわかりません。」と兄様達に使った言い訳で返事をしたが「なら、これからお互いのことを知っていこう。」と言われ引くことが出来なかった。
更にラーチさんは次男ということもあって跡取りなどのしがらみもないため、肩書きは婿でも嫁でもどちらでも良いそうだ。
「(そりゃ僕としてはありがたいけどね…そういうの面倒だし…。)」
それから僕はラーチさんのことをオットーさんに相談するようになった。
オットーさんは生前の僕の友人、正樹に似ていることから僕は勝手に友人だと思い込み、色々と相談に乗ってもらうようになった。
オットーさんも迷惑そうではなかったので「まっ、いっか!」と思って関係性を続けていた。そして僕は調子に乗ってオットーさんにも恋バナを振ってみる。
すると、どこか悲しい顔付きになり「私達の職業は修道士です…なのでお付き合いはしてはいけないのです…だから幾ら好きな人が出来ても諦めなければいけません。」と言われてしまった。
僕はそれを聞いてピンッと来た!
「(わかった!オットーさん…実はラーチさんのことが好きだけど、修道士だから恋愛出来ないんだ…!じゃあ僕が出来る限りサポートしなくっちゃ…!恋愛は出来なくても、ラーチさんをオットーさんに目を向けるようには出来るもんね!)
と意気込む。
その日、家に帰ってくるといつもより早い帰宅のタジェット兄様がいた。
帰ってくるなり「フェル!」と僕を抱き締める。
「(どうしたんだろう…?)」と思い、兄様を部屋まで連れて行くと「フェルが遠くに行くようで寂しい…。」と言われた。
僕は頭に「?」を浮かべながら、
「(僕が最近、光魔法の訓練にばっかり行ってるから兄様、寂しいのかな…?でも兄弟としてこれ以上のスキンシップはOKにしてないしなぁ~。)
大丈夫だよ。僕はいつもここに戻ってくるよ?」
と伝えると「それはそうだけど…。」と何処か腑に落ちないまま更に僕を抱き締めた。
その晩、父様にラーチさんに婚約を申し込まれたことを伝えた。
父様も驚いてはいたが「まぁ…まだ時間はある、ゆっくり考えなさい。」と告げてくる。
「(はぁ~…自分が優柔不断だとはわかっているんだけど、この年齢での選択肢が多過ぎるんだよ…。まぁそれにラーチさんに正式に申し込まれたわけじゃないし、とりあえず保留にしとこう。今の所、僕が施療院に行かない限りラーチさんには会ってないし…。あー…早く大人になりたい…。)」
僕はそう思いながら眠りについた。
あと、この1ヶ月で嬉しいことも2つあった。
1つは進級試験を無事、弓矢で通過したこと。まだ第1段階ではあるが、なんとかなってよかった。
また半年したら第2段階の試験があり、これで進級が決まるらしいので更に頑張らないといけない。
もう1つはロザリーナ姉様の結婚式が近々行われることだ。
数ヶ月前、婚姻を了承してから僕がプレス様のことや魔獣の討伐で倒れたりと色々あった為、結婚式を先延ばしにしていた。それがやっと挙げれることとなり、周りも嬉しそうだった。
僕は当日、ロザリーナ姉様とセイボリー様に今まで迷惑をかけたお詫びに自分なりに盛大にお祝いしようと決めた。
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