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1巻

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  2


 ばさりっ、と少女の足元に花束が落ち、その上をララの実が転がる。見開かれた白い瞳に映る人影が何事か呟きながら手を伸ばす動作をすると、少女は恐怖に表情を引き攣らせながら悲鳴を上げて逃げ出した。

「あ、ちょっと……」

 石室がある建造物の外に出られた悠介は、そこで真っ白な髪を持つ少女と出会った。そして逃げられた。悲鳴つきで。
「ちょっと話を聞こうと思ったダケなのに……」と軽くへこみながら、少女の落としていった花束と果実っぽいモノを拾い上げる。どうやら石室にあった『お供えモノ』と同じ物らしい。

「あの子がお供えをしてたのか……?」

 祭壇の不気味な像を思い出し、まさかアレと間違われたのでは? と自分の格好を気にしてみたが、少なくとも祭壇にあった像のように人間だか怪物だかよく分からないような姿では無い。単に不審者だと思われたのかもしれない。

「うーむ」

 悠介は唸りながら辺りを見渡した。そこそこの高さの木々が周囲をぐるりと囲む静かな場所。木々の間は暗く、向こう側を見通せない程密集しているようだ。
 ここは石室のあった建造物を中心に、森の中を少し切り開いたような空間らしい。何となくおごそかにも感じる雰囲気は、神社の境内を思い起こさせる。少女が立ち去った方角には、踏みならされて出来たのであろう獣道のような小道が木々の間の奥へと続いていた。

「行ってみるか」

 ここでじっとしていても仕方が無いと、悠介は小道を歩き出す。突然の超常現象でどことも知れない場所に放り出されるという、現在進行形で異常事態の最中にあったが、とにかく人に会って話を聞かなければ現状の把握もままならない。
 先程の少女のような子が一人で来られる場所ならば、さほど危険も無いはずだと楽観的に考えていた。


「先生! ゼシャールド先生ーー!」
「むん?」

 祠のある森に向かう小道を歩いていたゼシャールドは、森の方から駆けて来るスンの様子をいぶかしんだ。
 何かに追われているかの如く怯えながら、すがりつくようにゼシャールドの腕に飛び込んで来る。ゼシャールドはまた街から来た不逞の輩にでも絡まれたかと、落ち着かせるようにスンの髪を撫でながら何があったのかを訊ねた。

「どうしたね?」
「先生! 邪神がっ、祠から黒い邪神が!」
「……邪神?」

 一体何の事かと、森に続く小道の先に視線を向けたゼシャールドは、そこに現われた人影を見て眼をみはる。

「黒……じゃと?」

 ビクリッと肩を震わせたスンは恐る恐る振り返り、森の入り口に立つ『黒い髪を持つ者』を認めると慌ててゼシャールドの背中に隠れた。


 神技人は身に宿す神技によって、髪や瞳に加護を受ける神のが顕れる。
 炎の神『ヴォルナー』の加護を受ける『炎技エンギの民』は赤。
 水の神『シャルナー』の加護を受ける『水技スイギの民』は青。
 土の神『ザッルナー』の加護を受ける『土技ドギの民』は黄。
 風の神『フョルナー』の加護を受ける『風技フウギの民』は緑。
 四大神の加護を受けていない『無技の民』は白。そして、『黒』は邪神像に使われている『災厄』のだった。もっとも、無技の祠に祭られている邪神像が黒色であったが故に、そのようなイメージで伝わっているダケという部分もあるのだが。


 少なくとも、ゼシャールドはこれまで生きて来た五十二年の間、邪神研究をしながら色々な国々を巡った三十年余りの旅の中でも、黒い髪と瞳を持つ人間など、一度も見た事は無かった。
 己が身に宿る神技の力を呼び起こしながら、スンを庇うように一歩前に出たゼシャールドは、油断なく黒い髪の人物を見据える。

「お主、何者じゃ」

 先程の少女を背に庇いながら、警戒を滲ませた様子で誰何すいかを投げ掛ける精悍せいかんな顔付きをした初老の男性に、悠介はなんと答えようかと迷っていた。敵意を感じる程ではないが、明らかに友好的とは言い難い。
 少女の事で何か誤解をされているのかもしれない。そう思った悠介は、とりあえず怪しい者ではない事を伝えようと口を開く。

「えーと、俺は田神悠介と言います。一応日本人です。あの……言葉は伝わってると思うんだけど」
「うむ、ちゃんとした共通語じゃ。タガミユースケ……お主の名前じゃな? ニホンジンとは、種族の事かの?」

 共通語を話していると言われて疑問符を浮かべた悠介だったが、まずは円滑なコミュニケーションを図ることを優先した。日本とは国名である事、自分は日本語を口にしているつもりである事などを交えながら、自身の身に起きた不思議な出来事を話す。
 自身を喚んだ『声』の事から始まって、気が付くとまったく知らない場所に居たという悠介の話は、一般人が聞けば荒唐無稽で頭のおかしな者の妄想と斬って捨てられるような内容だったが、ゼシャールドにとっては一笑に付せられるモノでは無かった。
 田神悠介――無技の祠から現われた彼は、自らを邪神と認めたのだ。それも異世界から何者かに喚ばれたと言う。

「興味深い話じゃな。しかし、邪神とは……」
「あ、俺普通の人間ですんで」
「んん? お主今、邪神として喚ばれたと」
「いや、だから……声がそう言ってたダケで、俺自身は本当にただの人間ですから」

 悠介とゼシャールドが話をしている間、スンはずっとゼシャールドの背中に隠れていた。

「それで、お主はこの世界に災厄をもたらすのかね?」
むしろ俺が災厄を被ってる状態なんですけど……」

 ある程度の事情を聞き、悠介自身は危険な人間では無さそうだと判断したゼシャールドは、一旦彼をルフク村まで連れ帰る事にした。スンが青褪あおざめてプルプル首を振っていたが、ゼシャールドは「彼は大丈夫だから」と諭して彼女を先に村へと帰らせた。
 村までの道中、何故悠介が邪神として喚ばれたのか、悠介自身にその気は無くとも、この世界に何らかの災厄をもたらす要素を持っていないか等について、二人は互いに質問と返答を繰り返し、疑問と推察を重ねながら村へと続く田舎道を歩いて行った。


「ワシ等では治癒できない病気を患っていた場合も、伝染すれば立派な災厄じゃからなぁ」
「至って健康であります」

 元々あまり社交的ではない性格の悠介だったが、珍しい研究対象に出会えて上機嫌のゼシャールドと掛け合いのような会話を続ける内に、随分と打ち解けていた。相手が親しみ易い話の分かる年輩者であった事も、悠介の心に安心感を与えたのだ。
 異郷の地に単身放り込まれた現状に在って取り乱す様子も無く、終始落ち着いた対応を見せる悠介に、ゼシャールドは気さくに話しかけながらも、内面では警戒を怠らないよう注意深く観察していた。異世界から来たという話も、まだ結論は保留中である。

「しかしこの服は……もう少しどうにかならないかな」

 お供えモノの服を纏っている悠介は似非エセ古代人な自分の格好を嘆く。ゼシャールドの服装を見ると、下は緑色の混じった厚生地のズボンに茶色のブーツ、上はゆったりした感じの白いシャツにマントのような上着を羽織っている。
 西洋の中世貴族っぽい雰囲気だが、実に『普通の格好』なのだ。似非古代人な格好で並び歩くのは少々浮いていて恥ずかしい。

「せめて普通のズボンとシャツが欲し――」

 服をつまみながら言いかけて突然立ち止まる悠介。二、三歩進んだ所で気付いたゼシャールドが何事かと振り返る。どこか焦点の合っていない呆然とした表情で立ち尽くしている姿に、ゼシャールドは少し警戒を深めた。

「どうしたね?」
「俺、やっぱ夢でも見てるのかな……」
「ほほ、ではワシ等は君が見る夢の中の住人かね?」

 悠介はゼシャールドの洒落た返答に反応する余裕もなく、目の前にあるモノを呆然と見詰めていた。正確には『目に浮かぶ映像を』だ。彼の目には見覚えのあるワイヤーフレームで組まれたシンプルなレイアウトのメニュー画面が映っていた。
 あの不思議な声に喚ばれる直前までプレイしていたゲームの目玉要素『アイテム・カスタマイズ・クリエートシステム』、そのメニュー画面である。カスタマイズするアイテムの欄内には、今自分が着ている服が実写3Dでクルクル回っていた。
 そして、唐突に思い出して腑に落ちた事が一つ。

「ああっそうか! あのチャイム音、カスタマイズ出来るアイテムが手に入った時の音だ!」

 なんだか一人で手を打って納得している悠介に、ゼシャールドは首を傾げる。

「ふむ……ワシには君の言っている事の半分も理解できんのだが……。何か思い出したのかね?」
「あー、ちょっと待って下さい」

 画面の向こうに困惑顔のゼシャールドを見ながら、悠介は目に浮かぶメニュー項目を操作する。
 服の色や形、丈等も変更する事が出来て、身に着ける物としての性能もパラメーターの脇にあるスライダーを操作する事で大まかに設定可能。一つ一つの要素をさらに細かくいじる事も出来る。ほぼゲームと同じ仕様らしい。

「カスタマイズポイントの項目が無いって事は無制限に弄れるのか……? チート仕様かよ」

 どこに焦点を合わせているのか分からない眼をして、何やらぶつぶつと意味不明な言葉を呟きながら指を宙に彷徨さまよわせる様子は、傍から見ていると実に不気味である。しかし、ゼシャールドは悠介から何か神技に似た力が行使されている事を感じ取っていた。

(……何をする気じゃ、タガミユースケ)

 お供えモノの服は生地がたっぷりあるので、シャツにする部分とズボンにする部分とに分割して、それぞれ形を整えていく。ゲームでもNPCショップで買った無地の服をプレイヤーの好みにカスタマイズしてキャラクターに着せる事が出来た。
 ついでにと下着も作っておく。ポジションが定まらないと落ち着かないのだ。

「よし、こんなもんか…………実行」

 夢中になってカスタマイズ画面を操作していた悠介は、これがただの幻覚だったりしないかという怖い想像に一瞬の逡巡を見せつつ、何も起きなければ起きないで別に困る事は無いと、メニュー項目の実行ボタンを押してカスタマイズを反映させる。
 ふわりと、光のエフェクトが悠介を包み込んだ。

「っ!」
「なっ、お主……!」

 お供えモノの服は、グレーのシャツと黒っぽいズボン、紺のブリーフ風下着にそれぞれ変化した。

「きゃあああああああ」

 光のエフェクトが収まると同時に、少女の悲鳴が響き渡った。羞恥に染まる顔を両手で覆ったスンが、白い髪を靡かせて走り去る。ゼシャールドの事が心配になって様子を見に戻って来たスンは、光と共に現われた邪神の『』を直視してしまったのだ。


「あー……」

「また悲鳴つきで逃げられた」と、豊かな自然に囲まれた田舎道のど真ん中で、悠介は深く溜め息を吐いた。素っ裸で。

「そうかー、着てる服にカスタマイズ反映させたら装備外れるんだから、実際はこうなるよなー。ハハハ……」

 乾いた笑いをこぼしながら、のそのそと地面に散らばる服を拾い上げては身に着けていく悠介に、ゼシャールドは今し方彼が見せた神技らしき現象について訊ねた――スンの事はひとまず村に戻ってから対処する。

「今のは何だね? 神技のような力の波動を感じたが、服の仕立てを一瞬の内に作り変える技なぞ聞いた事もないぞい?」
「神技?」

 首を傾げる悠介に、どうやら本当にこの世界の人間では無いらしいという確信を深めたゼシャールドは、とりあえず村までの道中でこの世界の常識について話し、村で落ち着いてから彼の話を詳しく聞こうと考えた。

「うむ、まずは何から教えようかの」



  3


「あれがルフクの村じゃよ」

 ゼシャールドが指した道の先には、木造の小屋が密集するように雑然と並び立っている。村民六十世帯、約二百四十人というそこそこの規模の村だ。村の向こう側には広大な平地が広がっていた。

「あそこには無技の民って人達が住んでる訳ですか」
「うむ。さっき話したかもしれんが、ワシはあの村で水技の民として医者をやっておる」

 神技人が支配者としてではなく、住人として無技人の村に住むのは、あまり一般的な事では無いという話も教えつつ、ゼシャールドはここまでの道中で説明した神技人や無技人についての復習さらいをする。
 大多数の人々は世界を創造した四大神の加護を受ける民、神技人として神の力である神技を宿している。その力をもってカルツィオの大地に君臨し、世界の隅々まで支配しているのだ。
 神技を宿していない無技人は少数であり、一部では人の姿をした家畜程度に見られている。

「家畜は酷いっすね」
「神技を宿す者と宿さぬ者とには、それ程に力の差があるという事じゃ」

 四大神の神格を軸にした等民制度によって、神技人の中でも身分は明確に分けられており、同じ街の中でも住める区域が決まっている。炎技の民が高等神民として最も高い身分にあり、水技の民と土技の民は中等神民、風技の民は低等神民となっている。
 また神技人の名前には自分の属する神の名の最初の部分が必ず入り、他の神の名が入る事は無い。

「まあ、主に武力としての神技の強い者が上に居るというわけじゃな」
「なるほど」

 未知の世界であるカルツィオの一般常識など一度には覚えきれまいと配慮したゼシャールドが要点を絞った講義をしてくれたお陰で、悠介もこの世界の仕組みをスムーズに覚える事が出来た。

「大まかに理解したなら、後は生活をしながら追々学んでいけば良い」
「お世話になります……」

 突然喚ばれたこの世界において右も左も分からない悠介は、先程のカスタマイズ能力に関する研究も兼ねて、当面の間ゼシャールドの家で厄介になる事になった。


 ルフク村の周囲には深さ一メートル、幅も一メートル程の溝が掘られていて、村の入り口に当たる部分には丸木を合わせて作られた橋が渡されている。穀物庫などを荒らす害獣除けに掘られた防護溝だ。
 この地方には危険な動物や魔獣の類は居ないので、殆どの村で柵の代わりに溝が掘られている。ちなみに溝の底には篝火や松明にも使われる油木あぶらぎという油を多く含んだ燃え易い木の枝が敷き詰められていて、イザという時はこれに火を放って炎の壁を作りだす。
 狩猟と近くの川や少し遠出をした場所にある湖での漁、森で穫れる木の実などを生活の糧としているルフクの村人達は、時折近隣の村との交流で農作物と交換しあったり、この国の首都である大きな街に毛皮や家畜から取れる毛糸を売りに行く事で稼ぎを得ていた。
 悠介を見た村人達は、黒い髪を持つ見慣れない若者に一瞬ぎょっとした様子を見せたものの、ゼシャールドの客人ならば問題ないと、すぐに表情を和らげる。その様子に、悠介はゼシャールドがこの村で相当に信頼されている人物であると認識した。

「ゼシャールド先生! ――と邪神の人……」
「田神悠介です」

 家に着くなり飛び出して来たかと思ったら扉の裏に隠れるスン。ゼシャールドの家で御手伝いもしているスンは、悠介に対して警戒の念を露わにしつつも、客人用に部屋の準備を整えていた。

「ほっほっ随分と怯えられておるのぉ。なんぞしたのかね?」
「なんもしてませんよ」

 とりあえず、ゼシャールドはスンに水桶を用意するように言い付ける。悠介は祠からここまで裸足で歩いて来た為、多少足に擦り傷などが出来ている。汚れを洗い落として傷の治癒をしておく事にした。

「靴はワシの予備を用意しよう。足に合わんかもしれんが……」
「あ、ども。サイズは弄れると思うから、大丈夫ですよ」

 悠介は勧められた椅子に腰掛けると、自分の足の裏を覗き見た。土や小石のめり込んだ痕があり、マメこそ出来ていなかったが所々充血している。「うわ~」と思っている所に、スンが水桶を持ってやって来た。

「あー……ありがとう」
「……」

 肩まで伸びる白い髪を頭の後ろで縛ったスンは、細い見た目の割りに結構力持ちらしく、水の入った大きな木の桶を危なげなく悠介の足元に置く。そして遠慮がちに悠介の足を洗い始めた。
 その行為に驚いた悠介は思わず足を引っ込めそうになるが、テレビや映画でこんな感じのシーンがあったのを観たような気もする。ここで足を引っ込めるのは失礼に当たるかもしれない。これがここの常識なのだろうと思い直した。
 少々恥ずかしいのと、くすぐったいのは我慢した。暫し、静寂の中に足を洗う水音だけが響く。

「先生、済みました」

 悠介の足を洗い終えたスンはゼシャールドにそう報告すると、汚れた水を捨てに桶を持って家の外へと出て行った。ゼシャールドは家の奥に荷物を置きがてら、予備のブーツを引っ張り出して来た。

「うむ、どれどれ」

 少し埃を被った茶色のブーツを脇に置いて悠介の足の具合を確かめる。
 水技による治癒は、患部に浸透させた神技の力で細胞を活性化させるなど、基本的に人が本来持つ自然治癒力を高めたりするものだ。
 熟達した治癒系水技の使い手ともなれば、浸透させた神技の感覚だけで身体のどこに問題があるのかを把握できる。
 身体の働きに直接干渉する以上、一つ間違えれば対象に大怪我を負わせる事にもなるので、治癒の扱いには注意が必要である。
 かすり傷を癒す程度であれば神技を覚えたての子供にも出来るが、少し深い切り傷や疲労の回復など強力な治癒を扱うには、相応の訓練が必要であった。
 悠介の足に神技の力を浸透させたゼシャールドが僅かに意識を集中させるような動作をすると、悠介の足に出来ていた小さな傷は癒え、充血した部分が正常な状態に戻っていく。

「どうじゃね?」
「凄いですね、治りましたよ」

 ちくちくしていた痛みも完全に消え、足の裏を見ると綺麗なつるつるの肌になっている。これが神技の力かと、悠介は魔法のような癒しの力に感嘆した。

「ふむ、神技の効果はあるようじゃな」
「あ、そうか。効かない可能性もあったんですね」

 中々聡明じゃなと、悠介の反応に頷くゼシャールド。その内心では、神技による干渉が可能である事にひとまず安堵を覚えていた。これで悠介が邪神として危険な存在になった場合、神技で対抗出来る、と。

(まあ、危険な男には見えんがのう)

 ゼシャールドの思惑をよそに、悠介は貰ったブーツに触れてチャイムを確認すると、早速カスタマイズを始めていた。


 ルフク村での生活はまず身の回りの環境に慣れる事から始まった。
 別の世界から来たというだけに、ゼシャールドが災厄について考察していたような未知の病気に対する警戒もさることながら、悠介の存在自体が知らずこの世界を蝕む要素になっていないとも限らない。
 ――というような懸念は初日にほぼ解消されており、今はもっぱら『水は飲んでも大丈夫か』とか『一般的な食べ物を普通に口に出来るか』など、生命活動を維持していく上で避けて通れない部分の調査が進められている。
 調査と言っても、食ってみて平気なら大丈夫、問題があればゼシャールドの水技で治癒して貰うという非に大雑把なモノだが。


「うむ、概ね問題無いようじゃな」
「腹壊したのも食べ過ぎが原因でしたもんね……」

 とりあえず村で口に出来る物は片っ端から試し、悠介にとって特に毒になるようなモノは無い事が確かめられた。当人の好き嫌い以外で食料全般、食べられない物は無いようだ。
 ゼシャールドの協力要請に応える村人達が毎日沢山の色々な食べ物を持って来てくれたので、悠介は最初の二日程は一日中何かしら咀嚼そしゃくしているという生活が続いていた。
 腹を壊したのはこの時の事である。


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