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少女メルフィがスケッチブックに描いた双子の子供悪魔のエイゼルたち。 お菓子しか食べられない彼女たちだが、しかしメルフィは絵の中にお菓子を描かなかった。だってメルフィはまだ小さい女の子。自分が描いた悪魔たちが何を食べるかなんて、想像もしていなかったんだもの。 お腹を空かせた悪魔たちは、年にただ一度の外に出られる機会であるハロウィンの夜に外出し、外の世界でお腹いっぱいお菓子を頬張り、遊び、いたずらに興じる。 お姉さん悪魔のアーネに「夜が明けるまでに帰ってきなさい」と言われていたにもかかわらず、外の世界の悪魔トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダムに誘われて、そのまま絵の中に戻ることなく、次の日も、また次の日も、お菓子を盗んではお腹いっぱい食べるようになる。 悪いことをするのが悪魔の仕事。 でも外の世界を知らないエイゼル二人の悪事はエスカレートしっぱなし。町外れのお婆ちゃんが孫のために焼いたカボチャのパイを盗んでくるなど、思わずディーとダムが引いちゃうくらい。 とは言え悪事は己の身に返ってくるもので……。 ある日、エイゼル二人は歯の痛みを覚える。それはズキズキズキズキ二人を苛み、手のつけようがなくなる。 人間の子供に助けを求めるも、悪魔はハロウィンの夜以外では人の目に映らない。 彼女たちを外の世界に誘ったディーとダムも、何も出来ずに泣き出してしまう。 そこに、二人を探していたアーネが出現。 アーネが二人を心配し、泣きながら探していたのは絶対に秘密だけど、それでもお姉さんとしての威厳をもって二人を叱り、そして抱きしめ。エイゼル二人と、ついでにディーとダムも引きずって、絵の中に帰還する。 こうして、ちょっとだけ長かったハロウィンの夜は終わった。 エイゼル二人はアーネに謝り、歯が痛いのを治してほしいと懇願するけど、アーネはプイと顔をそむけて「言うことを聞かなかった罰です。次のハロウィンまでそうしていなさい」と二人を叱る。 ある日、メルフィがスケッチブックを開いてみると、自分が描いた絵が変化しているのに気がつく。 描いた覚えのない悪魔が二人増えていて、しかも子供悪魔が二人とも、頬を腫らして涙ぐんでいる。 メルフィはちょっと考え、まぁそういうこともあるのかもしれないと思い、しかし泣いているのは可哀想と考えて。 お絵かきセットを取り出すと、子供悪魔のエイゼル二人を、笑顔に書き直す。 閉められたスケッチブックの中で、やっと痛みから開放されたエイゼル二人は、ディーとダムにまた次のハロウィンに遊ぼうねと笑う。 ディーとダムはうなずきながら、しかし来年はちゃんと時間どおりに帰ろうね、と話す。大人の言うことを守らないことが、必ずしも格好のいいことではないと、彼女たちもやっと理解したのだった。
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人の居ない都市をスクーターで走っている少女。 ふとスクーターを止めて、バイオリンのケースとトランペットのケースを手に、ある建物に入っていく。 中では学芸プログラムのクローディアと名乗るホログラムが、外から来たその少女……カナリア・インザマインを出迎えた。 そこは、「プログラム:メトロポリタン美術館」と名付けられた実験的な設備。 地域的な文化差をなくすため、国家的なプロジェクトとして各都市に設置された美術館。 人類の歴史の中でも著名な芸術作品をデータ化し、仮想現実として鑑賞、体験出来るシステムであり、閲覧可能な美術データは、絵画、彫刻、演劇、演奏、文芸、映像作品は言うに及ばず、建築物や自然風景まで至る……と、クローディアは説明する。 緊急時の避難シェルターとしても使われるよう設計されたそこに、カナリアは住み着き、クローディアの手ほどきで様々な美術データに触れる。 二人の静かな、そして楽しい日々。 しかし、やがてカナリアに変化が訪れる。 そして全てが終わった後。クローディアは一つの美術品を作り上げる。
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