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二千四十三年八月。
後に“四災”と記録される大厄災が、地上を殺した。
熱波。
疫病。
地割れ。
狂者。
六十度を超える熱が木々を燃やし、死体から広がった病が都市を沈黙させた。
干上がった大地は裂け、生き残った者たちの一部は、飢えと恐怖に理性を失った。
国家は間に合わなかった。
地上は、人の住む場所ではなくなった。
逃げ場を失った者たちは地下へ潜った。
最初は避難だった。
暗闇に身を押し込み、薄い空気を分け合い、明日死なないためだけに穴を広げた。
だが十数年後。
穴は通路となり、通路は街となり、街は百万人以上を抱える国になった。
地下国。
だが、国は一つではいられなかった。
支配を強める中央部。
命を重んじるA区。
職を重んじるB区。
武装を進めるC区。
全てを憎むD区。
かつて地上から逃げた弱者たちは、地下でまた境界を作った。
そのB区に、一つの小さな会社がある。
金城解装産業。
建物を壊すのではなく、終わらせる会社。
そして、その社長である金城は、かつて人を終わらせてきた男だった。
文字数 21,563
最終更新日 2026.09.05
登録日 2026.09.02
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