小西あまね

小西あまね

真っ当な人が報われる話が好き。女性が自分の意思をしっかり持っていて行動できて、女同士で仲良し…というのは自分自身の友人知人のイメージで、尊敬してるので小説でもそんな作品を書きたいです。

「理系屋さん」食料事情

「理系屋さん」で、平民が動物性食品を殆ど食べないことは一般的、という旨の台詞が出てきます。
さらっと流してしまったので、ひょっとしてご都合主義的な創作設定と思われた方もいるかもしれない、と後から気づきましたので補足を。

日本も西洋も歴史のかなり後の時代まで、平民の食事は穀類等主食に偏り、おかず、特に動物性食品が乏しかったのは史実です。「昔ながらの和食が体にいい」といった言葉が時々ありますが、ほぼ昔ながらではありません。
主食も十分でなく、世界的に平民は日常的に飢餓を抱えていました。なお、現代でも一日の必要栄養量を摂れない「飢餓人口」は世界で9人に1人です。

欧州は東アジアより肉を食べているイメージがありますが、近代まで、一家の一日の食事に肉はベーコン一枚で父親が食べ、家族はそのベーコンの出汁のスープ、とかも普通でした(地域差はあります)。
私の別作品「異世界でワーホリ」では、主人公達は「都市部のやや裕福な平民」位の設定で書いたため、食事の描写で肉も卵も乳製品も殆ど出せなくて苦労しました。
その反動もあって「理系屋さん」では農村を舞台にしました。貧しくても食料事情は比較的恵まれていることにして、卵料理やバターなど「贅沢品」を出せて楽しかったです。

最終話ではエールが出てきますが、当初は「フェーダーヴァイサー」を出そうとしました。
酵母の白い欠片が浮いていることから「白い羽」の意味の名を持つ、発酵し始めの若いワイン。アルコール度数は低く爽やかなドイツの秋の味覚。(私が人生で飲んだ酒の中で1、2を争う位美味しかった…)
しかし。ワインは貴族が飲む高級品で、平民には手が出ません。ワイン農家は自家用を僅かに作るそうですが、ベルティーナの村はワイン生産まで手を出す程大きい村とは思えなかったので泣く泣く見送りました。

次にシードル(リンゴ酒)を出そうとしました。ワインよりは庶民に親しまれたという説もあるので。しかし調べると、シードルも庶民が手が出ない地域が多いようで。

悩んだ末、間違いなく馴染み深いエールに落ち着きました。
エールは上方発酵のビールで、後に発明されるラガーより簡単に作れるため古くから広く親しまれました。
貧しい土地でも一面のホップ畑があったりして、もっと食料になる作物植えた方が!と資料を見ていて思いました。流石「ビールは飲むパン」とも言われたお土地柄…
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登録日 2022.03.09 10:31

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