言語と妄想【七】
…異常感覚が出没する。しかし、彼らにとって自分自身の意志を剥奪されてしまうほど無残な体験はない。まっすぐ歩こうと思えば、右へ曲らせられ、右手を上げようとすれば、左手を動かされる。考えようとすれば、その内容を奪い取られ、かわりに不快な想いを頭へ吹き込まれる。別の人間にせよ、魔物のようなものにせよ、または狐のような動物にせよ、いままで外で操っていたものが患者の身体内部へ入り込んで、これを勝手に左右することになれば、もはや患者の主体は第三者にとって代わられたも同然であり、この特有な
状態は昔から憑依体験またはつきもの妄想の名で呼ばれる。
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登録日 2022.09.10 01:54
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