nana

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30代、会社員。「恥ずかしい」と「見られたい」が共存する心を、赤裸々に描く。日常の裏側から、生き方を探る。

「ナナ」という女性を書きながら、わたしは何を見ているのか

最近、ナナのことばかり考えている。
自分の物語ではないのに、書いていると、彼女の呼吸や体温、目線の揺れまでが伝わってくる気がする。

わたし自身は、ごく普通の毎日を生きている。
朝、目覚ましの5分前に目が覚めて、淹れたてのコーヒーに口をつけ、ちょっと冷めかけたタイムラインをぼんやりと眺める。
部屋の窓から差し込む光の加減や、洗濯物の乾き具合に季節を感じながら、机に向かう。

けれど──
キーボードに触れた瞬間、ナナが起き上がる。

「わたし、こういう女かもしれない」と、
「見られることが、時々苦しくて、時々嬉しくて」と、
ナナは言葉にできない何かをこちらに委ねてくる。

気づけば、わたしはその“揺れ”を拾う役割になっていた。

読者の方から「ナナはあなた自身なんですか?」と聞かれることがある。
けれど、ナナはわたしではない。
でも、わたしの中にもいる。

ナナを書くことで、自分の中にあった“不在”や“見落としてきた感情”が浮かび上がってくる。
羞恥、快感、孤独、肯定、矛盾、そして願い。

もしかしたらこれは、ナナという名前を借りて、
“誰の中にもある弱さと欲望”を、丁寧に照らそうとしている作業なのかもしれない。

わたしはまだ、ナナという存在の“ぜんぶ”を書けてはいない。
でも彼女の沈黙や震えを、もっと正確に言葉にしてあげたいと思っている。

そんなわけで、今日も机の上には、冷めかけたコーヒー。
ノートの片隅には、「ナナ、どこまで見られたい?」という走り書き。

わたしはナナを見つめ、
ナナは誰かに見られたがっている。

それが、いまのわたしの、正直な日常です。
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登録日 2025.05.07 10:20

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