私の初作品『銀翼のシャリオ』。
乙女ゲー世界に転生した社畜主人公が、破滅エンド回避のために奮闘する――というテンプレから始まります。

きっかけは、今年初頭に観た“中年おじさんが悪役令嬢に転生”というアニメ。
なぜ盗賊団首領になったのかはもう覚えてませんが、「ちょっと捻ろう」と思ったらこうなりました。

当初は「盗賊団をクリーン化しつつ、社畜スピリットで異世界の理不尽をぶった斬る」痛快ドラマを目指していました。
……が、書くうちに方向転換。

舞台は一見キラキラした王国。
でも実は時代遅れの封建国家で、国民は搾取されている。
そこへ社畜転生主人公とアリサが、革命と産業改革で国を再生していく――。
いわば“ディストピア国家再生記”です。

主人公はビジネスで国を立て直し、アリサは思想で革命を起こす。
近代化と体制変革。明治維新を異世界でやってみようと思いました。

このW主人公の原型は坂本龍馬。
商才と思想で時代を動かした彼を、二人に分けています。

つまり本作は――
「異世界転生版・竜馬がゆく」。

“坂本龍馬に転生する”でも、“龍馬が異世界に行く”でもない。
立ち遅れた封建国家を近代化へ導く。彼の歩みを異世界で再現する、そんな物語です。

そんなことを言おうものなら、「え？頭おかしい人？」と言われるだろうな……と思って黙っていました。

ですが昨日、「第18回ファンタジー小説大賞」で奨励賞をいただき、
同時に「カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト」でも中間選考に残りました。

ならば筋は悪くないのかも？ 今なら言える！ そんな勢いでこれを書いています。

最後にひとつだけ。

「どの辺が竜馬がゆくなの？」というツッコミはご勘弁を。
あくまで“エッセンス”ですので……。

これからも『銀翼のシャリオ』をよろしくお願いします。