島村春穂

島村春穂

さいごにハマった趣味が読書。ジャンルレスにいろいろ読んだけれど、小説がいちばんおもしろかった。書き手としては、『官能小説』と『ショートショート』と『脚本』で物語のつくり方を勉強しました。

あとがき2

本作品を書いていて楽しかったのは、貴子が京介に通話でアタる会話だ。医者である京介がどうやって貴子をなだめるのか。

グループミーティングという単語や言いっぱなし聞きっぱなしが出てくるが、この辺のニュアンスはキンドルで配信中の「マリッジ・ブルー」でも使われている。

その翌日に京介が外来受付に登場するシーンは気に入っている。官能小説ということがあり、恋愛要素は影を潜めているが加筆するとしたらこの辺りだろう。

通話アプリが恋愛小説の妨げになるのは間違いない。しかし出会いがそもそも顔や名前を知らない者同士であったならドラマティックだと思う。

そこで繰り返される特殊な会話からはじまる恋があるのではないか。

もちろん危険はあるだろう。でも世界中に繋がったネットワークに希望のほうがおおいことを俺は信じたい。

そして物語を書くうえで罪悪感に囚われることがたびたびある。フィクションとはいえ登場人物を不幸にしている罪悪感だ。

貴子に与えたラストは、貴子が京介にアタるシーンで彼女から胸のうちを自らしゃべりだしたことから導いた。あの会話のやりとりはプロットにはない会話がほとんどだった。

貴子が幸せを望む以上これを拒む理由が俺にはない。

貴子の人柄がどことなく俺と重なるところがあって見捨てられなかった思いがあったのかもしれない。

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登録日 2019.02.26 11:26

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