北村利明

北村利明

家族、結婚、離婚、記憶、再生を題材にした私小説を書いています。 人を断罪するためではなく、失われた時間の中にも確かに残っていたものを見つめ直すために書いています。
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恋愛 完結 短編 R15
ジュ・トゥ・ヴは、エリック・サティの曲であり、フランス語で「あなたが欲しい」という意味だ。夜の八時になると、あの時計がジュ・トゥ・ヴのメロディを奏でていた。 七年間、マリは確かに僕の家族だった。 マリは、家の中で僕を茶ネコと呼んでいた。マリ自身が、そう呼び始めた。茶色の私服ばっかり持ってたのと、僕が猫を可愛がるさまを見たからだろう。 自分のことはミーネコと呼んだ。理由を聞いても、マリは「だって、そういう感じがするんだもの」と笑うだけだった。 「茶ネコと三―ネコは、仲のいいネコの夫婦なんだよ」 そう言って、マリは僕の腕に寄りかかった。 いつかは、二匹の猫の夫婦が暮らせる小さく綺麗な家が欲しいねと言っていた。 けれど、今のマリにとって、僕はもうネコではなく、不気味な存在「ヌシ」なのだ。
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文字数 39,464 最終更新日 2019.03.13 登録日 2019.03.13
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