なぜ後発のランチパックはスナックサンドを追い抜いた?元祖・フジパンの逆転策

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フジパンの公式サイトより

●この記事のポイント
・携帯サンドイッチ市場、最初に販売された“元祖”は「ランチパック」ではなく「スナックサンド」
・「ランチパック」は年間168種類もの新商品が発売され、テレビCMも積極的に放映
・「スナックサンド」、今年1月に食パン生地を改良するなど、リニューアルで常に商品力と品質を向上

 毎月、数多くの新商品が投入され、テレビCMで見かけることも多いため、消費者からの認知度も高い山崎製パン「ランチパック」。携帯サンドイッチ市場では圧倒的なシェア1位となっているが、実は同市場で最初に商品を販売した“元祖”はフジパン(「スナックサンド」)であることは、あまり知られていない。「ランチパック」の発売は1984年であり、「スナックサンド」(1975年発売)の9年後だが、なぜ「ランチパック」は「スナックサンド」を抜き去ることができたのか。そして、フジパンは「ランチパック」への対抗策として、どのような戦略を描いているのか。同社への取材を交えて追ってみたい。

●目次

 製パン業界2位のフジパングループ本社は、「本仕込食パン」「生ぶれっど」ブランドで知られる食パン、「ネオバターロール」「ロングスティック」などのロングセラーシリーズのほか、近年では「生くろわっさん」「生べーぐる」「生すなっくさんど」などパッケージに大きく「生」と書かれた商品で知られる老舗メーカー。創業は大正11年(設立は昭和26年)であり、昭和23年設立の山崎製パンより長い歴史を持つとされる。傘下のグループ企業を通じて、コンビニエンスストアや小売店向けの弁当・総菜製造、和洋菓子製造、スーパーやショッピングセンター内のパン製造・販売店舗の運営なども展開。24年6月期連結決算の売上高は3008億円、営業利益は79億円、従業員数1万4000人を超える大企業であり、業績も堅調だ。昨年1月には、原材料価格の上昇などを受けて幅広い領域で値上げが続くなか、従来の6個入りから5個入りに減量して販売していた「ネオレーズンバターロール」について、価格据え置きのまま再び6個入りに「増量」して話題を呼んでいた。

 一方の山崎製パンは製パン業界で圧倒的な1位。「ダブルソフト」「薄皮シリーズ」「ナイススティック」「ホワイトデニッシュショコラ」「ミニスナックゴールド」など長寿シリーズを多数抱え、手掛ける商品は食パン、菓子パン、サンドイッチなどのパン類に加え、菓子類、飲料類など幅広い。このほか、コンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」やベーカリーショップの運営なども行っている。そのため企業規模は大きい。24年12月期連結決算の売上高は1兆2445億円、営業利益は519億円、従業員数は1万9000人を超える。

市場シェアはランチパックが68.48%、スナックサンドが29.11%

 そんな両者の主力商品が真っ向からぶつかり合うのが携帯サンドイッチ市場だ。力の入れ具合は新商品投入の頻度にも表れている。たとえば「ランチパック」は年間168種類(2024年)もの新商品が発売されており、今月だけでも「とろリッチ生(生クリーム入りメロンホイップ)」「コロッケとポテトサラダ(北海道産じゃがいも)」「デミメンチカツとボロネーゼ」「バターチキンカレー」「マンゴーオレンジ」「抹茶ティラミス風味」「じゃがいも入り焼きそば」「狭山茶入りクリーム&つぶあん」が発売。一方の「スナックサンド」も「オムそば」「ハンバーガー味」「てりやきバーガー味」「マンゴー杏仁」「黒糖スナックサンド あんこ餅」「たっぷりカスタード&ホイップ」「狭山茶クリーム&ホイップ」「アサイー&ヨーグルト」「平田牧場和風ポークカレー」「飛騨牛すき焼き&タマゴ」「たじみそ焼きそば」「瀬戸焼そば」「焼きとり風七味&マヨ」「すき焼き&タマゴ」「華味鳥と春キャベツサラダ」「ミルクセーキ味」が発売される。