かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?

 2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
 同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
 社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
 実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。

 それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
 「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
 僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
 亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。

 あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
 そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。

 そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
 夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
 とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。

 これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
 そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
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