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5章
14話
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昼間に両親と遊んでもらった和也はすとん、と早い時間に眠ってしまい、二人は和也の寝顔を見ながらソファでくっついて座っていた。
「先生は一人ぼっちだった僕に家族を作ってくれただけじゃなくて……家族を取り戻してくれました。ありがとうなんかじゃ言い尽くせないくらい、感謝してます」
そう言って永瀬を見上げてきたユキの瞳に誘われるように、口付けた。甘い唇は、何度触れてもたまらなく心地好い……
何度も啄んでから唇を離すが、まだ吐息の触れるような位置で
「ユキが欲しくてたまらなかったんだよ、俺は……それだけの男で、そんな風に礼を言ってもらうほどじゃないんだよ」
長い指がユキの髪に潜る。凄く、凄く、あの格好いい魔法の指先に触れられていると思うとユキはすぐにどうにかなってしまいそうになる。
「また、そんな風に言って………それだけじゃないってちゃんと知ってます。……和真さん……愛してます」
何度言っても『先生』という呼び方が直らないくせに。
ベッドの中以外で呼ぶのは珍しい上に、滅多に言わない甘い言葉を重ねられ永瀬の心臓はどくり、と脈打った。
「……ったく、俺を殺す気か」
「そんな、和也もお腹に赤ちゃんもいるのに、先生殺したりなんてしませんって」
くすくす笑うユキに永瀬も笑う。
「そうだな、俺も後四人くらいは産んでもらって、全員がちゃんと大きくなるまでは死ねないからな」
「え……?」
ユキがちいさく固まった。それから
「これも冗談……ですよね?」
そうですよね、ははは……と笑ってお茶のおかわり煎れてきますねと立ち上がろうとしたユキをぐいっと引き寄せてその耳元に。
「冗談なんか言ってないぞ」
腰砕けになりそうな低く艶かしい声で。
「和也とお腹の子。それから少なくとも後四人は欲しい」
艶かしい声にうっとりしかけたユキだったが、聞こえた数字に驚き我に返る。
「ちょっ……先生足し算できます?!ろ……六人なんて無理ですって!」
「もうちょっと欲しいのか?俺は大丈夫だが、産むユキの体力が……」
「ちっ違いますよっ!六人も産めません!三人が限界です」
「三人って……それはまた少なすぎやしないか?!あと一人しか子作りできないじゃないか!」
「それにしたって六人は多すぎです!せめて四人!」
「いーや、一人も負けられん。本当はもう少し欲しいくらいなのを譲歩しての六人だ」
「無理ですってばー!」
二人の言い争いは、甘い吐息混じりのキスが始まるまで続いた。
そして、結局何人子作りするのかという闘争に決着は着かなかったが、これから益々賑やかな家族になっていくということは、間違いなさそうである。
「先生は一人ぼっちだった僕に家族を作ってくれただけじゃなくて……家族を取り戻してくれました。ありがとうなんかじゃ言い尽くせないくらい、感謝してます」
そう言って永瀬を見上げてきたユキの瞳に誘われるように、口付けた。甘い唇は、何度触れてもたまらなく心地好い……
何度も啄んでから唇を離すが、まだ吐息の触れるような位置で
「ユキが欲しくてたまらなかったんだよ、俺は……それだけの男で、そんな風に礼を言ってもらうほどじゃないんだよ」
長い指がユキの髪に潜る。凄く、凄く、あの格好いい魔法の指先に触れられていると思うとユキはすぐにどうにかなってしまいそうになる。
「また、そんな風に言って………それだけじゃないってちゃんと知ってます。……和真さん……愛してます」
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ベッドの中以外で呼ぶのは珍しい上に、滅多に言わない甘い言葉を重ねられ永瀬の心臓はどくり、と脈打った。
「……ったく、俺を殺す気か」
「そんな、和也もお腹に赤ちゃんもいるのに、先生殺したりなんてしませんって」
くすくす笑うユキに永瀬も笑う。
「そうだな、俺も後四人くらいは産んでもらって、全員がちゃんと大きくなるまでは死ねないからな」
「え……?」
ユキがちいさく固まった。それから
「これも冗談……ですよね?」
そうですよね、ははは……と笑ってお茶のおかわり煎れてきますねと立ち上がろうとしたユキをぐいっと引き寄せてその耳元に。
「冗談なんか言ってないぞ」
腰砕けになりそうな低く艶かしい声で。
「和也とお腹の子。それから少なくとも後四人は欲しい」
艶かしい声にうっとりしかけたユキだったが、聞こえた数字に驚き我に返る。
「ちょっ……先生足し算できます?!ろ……六人なんて無理ですって!」
「もうちょっと欲しいのか?俺は大丈夫だが、産むユキの体力が……」
「ちっ違いますよっ!六人も産めません!三人が限界です」
「三人って……それはまた少なすぎやしないか?!あと一人しか子作りできないじゃないか!」
「それにしたって六人は多すぎです!せめて四人!」
「いーや、一人も負けられん。本当はもう少し欲しいくらいなのを譲歩しての六人だ」
「無理ですってばー!」
二人の言い争いは、甘い吐息混じりのキスが始まるまで続いた。
そして、結局何人子作りするのかという闘争に決着は着かなかったが、これから益々賑やかな家族になっていくということは、間違いなさそうである。
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