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20.彼との約束
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「……シェリダン様、ありがとうございます」
「……いや、気にすることはない」
ロンベルト様が見えなくなってから、私はシェリダン様にお礼の言葉を口にした。
すると彼は、いつも通りの表情をしていた。既に怒りというものは、鳴りを潜めている。そういった感情のコントロールは流石だ。いやそもそも、あの怒りも演技であったのだろうか。
「今俺は、あなたの婚約者だ。ラメルトン伯爵家を守る義務が、俺には生じている」
「なるほど、合理的な理由でお助けいただいたのですね」
「いや、助けにすらなっていなかったといえるか。あなたが奴の要求を受け入れるとは思えなかったからな。故にそうだな。今の私情で動いたに過ぎない」
シェリダン様は、苦笑いを浮かべていた。
意外なことではあるが、あの怒りは心からのものであったようである。
貴族の誇り、それをシェリダン様は重要視しているということだろうか。まあ、ロンベルト様はとてもみっともなかったし、仕方ないことであるように思えるが。
「それならやはり、感謝しなければなりませんね」
「……何故そうなる?」
「だってシェリダン様は、困っている私のことを助けたくて怒ってくれたということでしょう?」
「……そうかもしれないな」
シェリダン様の言葉に、私は面食らうことになった。
冗談のつもりで言ったのだが、彼から予想外の言葉が返ってきたため、動揺してしまったのである。
ただ、これは私にとっては嬉しいことでもあった。シェリダン様が私のことを思いやってくれているということが、伝わってきたからだ。
「……先程、言えなかったことではあるが、俺はもう一つだけあなたに約束しておかなければならないことがある」
「えっと……ああ、ラメルトン伯爵家の発展に尽力するという後に何か言いかけていましたね?」
「ああ、俺はあなたのことを幸せにすると約束しよう。それが俺の務めだからな」
「シェリダン様……」
シェリダン様は、さらに嬉しい言葉をかけてくれた。
彼は本当に、心優しく気遣いができる人だ。ロンベルト様との婚約破棄など色々と問題があったが、結果的には良き縁に恵まれたといえる。
「これから、どうかよろしくお願いします」
「それはこちらの台詞だ。どうかよろしく頼む」
私はシェリダン様と、そう言って笑い合っていた。
これからも困難というものはあるかもしれない。ラメルトン伯爵家は今回の件でただでさえ揺れている。大変な道になるだろう。
だがそれでも、シェリダン様と一緒なら大丈夫だ。彼の笑顔に、私はそんな根拠のない自信を抱くのだった。
「……いや、気にすることはない」
ロンベルト様が見えなくなってから、私はシェリダン様にお礼の言葉を口にした。
すると彼は、いつも通りの表情をしていた。既に怒りというものは、鳴りを潜めている。そういった感情のコントロールは流石だ。いやそもそも、あの怒りも演技であったのだろうか。
「今俺は、あなたの婚約者だ。ラメルトン伯爵家を守る義務が、俺には生じている」
「なるほど、合理的な理由でお助けいただいたのですね」
「いや、助けにすらなっていなかったといえるか。あなたが奴の要求を受け入れるとは思えなかったからな。故にそうだな。今の私情で動いたに過ぎない」
シェリダン様は、苦笑いを浮かべていた。
意外なことではあるが、あの怒りは心からのものであったようである。
貴族の誇り、それをシェリダン様は重要視しているということだろうか。まあ、ロンベルト様はとてもみっともなかったし、仕方ないことであるように思えるが。
「それならやはり、感謝しなければなりませんね」
「……何故そうなる?」
「だってシェリダン様は、困っている私のことを助けたくて怒ってくれたということでしょう?」
「……そうかもしれないな」
シェリダン様の言葉に、私は面食らうことになった。
冗談のつもりで言ったのだが、彼から予想外の言葉が返ってきたため、動揺してしまったのである。
ただ、これは私にとっては嬉しいことでもあった。シェリダン様が私のことを思いやってくれているということが、伝わってきたからだ。
「……先程、言えなかったことではあるが、俺はもう一つだけあなたに約束しておかなければならないことがある」
「えっと……ああ、ラメルトン伯爵家の発展に尽力するという後に何か言いかけていましたね?」
「ああ、俺はあなたのことを幸せにすると約束しよう。それが俺の務めだからな」
「シェリダン様……」
シェリダン様は、さらに嬉しい言葉をかけてくれた。
彼は本当に、心優しく気遣いができる人だ。ロンベルト様との婚約破棄など色々と問題があったが、結果的には良き縁に恵まれたといえる。
「これから、どうかよろしくお願いします」
「それはこちらの台詞だ。どうかよろしく頼む」
私はシェリダン様と、そう言って笑い合っていた。
これからも困難というものはあるかもしれない。ラメルトン伯爵家は今回の件でただでさえ揺れている。大変な道になるだろう。
だがそれでも、シェリダン様と一緒なら大丈夫だ。彼の笑顔に、私はそんな根拠のない自信を抱くのだった。
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【18.結婚の申し出】
ロンベルトって今平民だよね。
アポも無いし、門前払いすればいいのに。
感想ありがとうございます。
その対応でも特に問題はなかったと思います。
ただ、一応元貴族ということもあって、使用人達は対応に困っていました。
イネリアがこんな醜悪な人間になったのは両親のせいでもあるのだから、監視だけじゃなくて一人で生きていけるように導く義務があるのでは?
・期間限定で生活の仕方を指導する人を付ける
・働き口を見つけて強制的に労働させる
・生活が落ち着くまで毎月最低限の資金援助をする
妹の年齢は分からないけど、婚約者がいないと言うことは未成年なはず。ならば、これくらいはしてあげるべき。
結果、改善されないなら見捨てればいい。
お金渡して放逐。でも監視はしてます!って偉そうに言われても…。対応が中途半端で無責任なダメ親父だなとしか思えないです。
感想ありがとうございます。
そう思われたなら申し訳ありません。
14話)
イネリアは父母というより「家族の情」に甘えていたのでしょうね。
どんなことをしても、両親は最終的には許してくれると。
アレシアもまた『家族であり姉なのだから』、父が許すと決めたなら従うしかないだろうと。
自分が「許されない一線を越えた」と理解出来ない。
それは親がその"境界線"を教えなかったのも一因かと。
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イネリアの場合、両親は叱ってたみたいだけど、口頭くらいで処罰(食事抜きや自室軟禁など)はしてなかったんでしょうね。
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境界線を越えた行為には頬を叩くくらいのことをしなくてはダメだよ。
お母さん
夫に従うだけでは子供は見下すよ。
夫が叩かないなら、あなたが代わりに頬を叩かなきゃ。
たしかにイネリアが一番悪い。
だけど、両親もまた子育てに失敗したと言えるだろうね。
だってアレシアは〈まとも〉に育ってるのだから。
感想ありがとうございます。
確かにイネリアは、色々と甘く考えていた所はあると思います。
彼女に必要だったのは、反省できるだけの罰だったのかもしれません。
そういう意味で、そのつもりはなかったとは思いますが、両親はイネリアを甘やかしていたといえるでしょう。
仰る通り、同じ環境で育ったアレシアがまともに育った故に、イネリアのことは失敗したということかもしれません。
そのことについては、両親もこれから後悔していくことになると思います。