醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗

文字の大きさ
13 / 19

13

しおりを挟む
 私は、王城の玉座の間に来ていた。
 目の前には、この国の国王様がいる。彼が、私を呼び出した張本人なのだ。
 国王様は、基本的には温和な人である。優しい国王様と国民からは認識されており、私も概ねその認識は同じだ。
 彼は私に対して、昔から差別的な目を向けてこない。少なくとも、蔑んだ目では見てこないのである。
 ただ、あまり関わったことがないので、そこまで詳しく理解している訳ではない。本心で何を思っていたかは、もしかしたらこれから聞けるのだろうか。

「さて、エルーナよ。よくぞ来てくれた」
「は、はい……」
「お主をここに呼んだのは他でもない。お主のその顔に刻まれている痣が、聖痕であるということを聞いたからだ」

 国王様は、私の痣を見つめていた。
 この痣が聖痕であるという事実を知っているからか、非常に興味深そうだ。

「正直言って、それが聖痕であるかどうかということは、わしにはよくわからん」
「え? ええ……」

 国王様は、痣を見てもよくわからなかったようである。
 少し驚いたが、よく考えてみればそれは当然だ。この痣が聖痕であるなどという事実は、ケルド様が見つけ出した古の知識である。国王様も、それがわかる訳ではないのだ。

「文書などから考えると、お主が聖なる力を有する者であるという可能性は高い。だが、それだけで判断できるかと言われたら、少し微妙な所だ」
「そ、そうですよね……」
「そこで、お主にはその力を証明してもらいたい。聖なる力を行使してみせて欲しいのだ」
「行使ですか……?」

 国王様の言葉に、私は少し焦った。
 そんなことを言われても、私は聖なる力を使うことができないからだ。
 その力が自分に宿っているかどうかなんて、正直わからない。そんな力をどうやって使えばいいかなど、わかるはずはないのである。

「無論、今すぐにとは言わない。少し時間を与えよう。しかし、いつまでも待てる訳ではない。一か月で、その力が真なるものだとわしに証明してくれ。それができれば、お主を聖なる者として認めて、特別な地位を与えることを検討しよう」
「一か月……わかりました。努力してみます」
「うむ、期待しているぞ」

 国王様の言葉に、私は少し安心していた。今すぐに聖なる力を使うことは、不可能だったからだ。
 だが、直後に、そこまで事態が変わっていないことに気づいた。たった一か月で、聖なる力を修得することができるのだろうか。少し、不安である。
 もっとも、彼に修得できなくても問題はないのかもしれない。例え失敗しても、前の生活に戻るだけだ。苦しい生活ではあるが、それでもそれ程問題はないだろう。
 そんな風に考えながら、私は国王様との話を終えるのだった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

妹に命じられて辺境伯へ嫁いだら王都で魔王が復活しました(完)

みかん畑
恋愛
家族から才能がないと思われ、蔑まれていた姉が辺境で溺愛されたりするお話です。 2/21完結

天使のように愛らしい妹に婚約者を奪われましたが…彼女の悪行を、神様は見ていました。

coco
恋愛
我儘だけど、皆に愛される天使の様に愛らしい妹。 そんな彼女に、ついに婚約者まで奪われてしまった私は、神に祈りを捧げた─。

【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】 聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。 「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」 甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!? 追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。

【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ
恋愛
 セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。 「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」  困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

三谷朱花
恋愛
 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。  ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。  伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。  そして、告げられた両親の死の真相。  家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。    絶望しかなかった。  涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。  雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。  そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。  ルーナは死を待つしか他になかった。  途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。  そして、ルーナがその温もりを感じた日。  ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。

処理中です...