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15.安い宿に泊まり(モブside)
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ラウヴァンとソネリアは、ナシャール王国の王都に留まっていた。
彼らが現在泊っているのは、安宿だ。王太子と子爵家の令嬢である二人にとって、そこは馴染み深い場所ではない。
「どうして僕達がこんな安宿に……」
「まったくです。しかし高級な宿屋には断られてしまいましたからね……」
「無礼な奴らだった。金はあるというのに、素性がわからない者は泊められないとは。無知な奴らだ。僕を誰だと思っている……」
ラウヴァンは怒りを覚えていた。高級な宿屋にソネリアとともに行った彼は、断固とした態度で宿泊を断られたのだ。
そういった宿屋では、安全のために不審な者達は泊めない。それはラウヴァンも知っていることだった。
しかしまさか自分が不審な者だと判断されるとは思っていなかった。ラウヴァンは大いに不服であった。王国の王太子と接触できたら、抗議するつもりだ。
「……とはいえ、金が減っていないことは不幸中の幸いだといえるか。設備はなっていないが、その分安い」
「そうですね……後どれくらい残っているのでしょうか?」
「減る前に王太子と会えれば良いのだがな……うん?」
ソネリアに促されて、ラウヴァンは金がある場所を確認した。
しかしそこには何もない。それなりにあったはずの金が消えている。
「おい、金はどこにおいたんだ? 場所を動かしたなら僕にも伝えておいてくれ」
「はい? そのようなことはしていませんが……」
「なんだと? それなら金はどこだ?」
「え?」
ラウヴァンの言葉に、ソネリアは目を丸めていた。
そのことに流石の彼も焦る。金がなければまずいということは、ラウヴァンもわかっているのだ。
ソネリアの顔も曇り始めている。二人は察していた。金が盗まれたのではないかということに。
「日中に出掛けた時か……誰かがこの部屋に入ったのか?」
「で、でも鍵はかけていましたよ」
「こんな安宿の鍵なんてあてにならないということか。くそっ……! ソネリア、宿の者を呼べ。盗んだ奴を突き止めるんだ。そして金を取り返す。そうできなければ……」
「わ、わかりました……」
ラウヴァンの指示に従って、ソネリアが動き始めた。
それを見送りながら、ラウヴァンは考える。果たしてこの安宿に、犯人を捕まえる程の力があるのかということを。
彼はこの宿のことを信じていなかった。捜査も適切に行われないのではないか、ラウヴァンの頭にはそんな考えが過っていた。
その場合どうするべきか、ラウヴァンは必死に考えていた。
早くナシャール王国の王太子に働きかけなければならない。そう思ってラウヴァンは行動を開始するのだった。
彼らが現在泊っているのは、安宿だ。王太子と子爵家の令嬢である二人にとって、そこは馴染み深い場所ではない。
「どうして僕達がこんな安宿に……」
「まったくです。しかし高級な宿屋には断られてしまいましたからね……」
「無礼な奴らだった。金はあるというのに、素性がわからない者は泊められないとは。無知な奴らだ。僕を誰だと思っている……」
ラウヴァンは怒りを覚えていた。高級な宿屋にソネリアとともに行った彼は、断固とした態度で宿泊を断られたのだ。
そういった宿屋では、安全のために不審な者達は泊めない。それはラウヴァンも知っていることだった。
しかしまさか自分が不審な者だと判断されるとは思っていなかった。ラウヴァンは大いに不服であった。王国の王太子と接触できたら、抗議するつもりだ。
「……とはいえ、金が減っていないことは不幸中の幸いだといえるか。設備はなっていないが、その分安い」
「そうですね……後どれくらい残っているのでしょうか?」
「減る前に王太子と会えれば良いのだがな……うん?」
ソネリアに促されて、ラウヴァンは金がある場所を確認した。
しかしそこには何もない。それなりにあったはずの金が消えている。
「おい、金はどこにおいたんだ? 場所を動かしたなら僕にも伝えておいてくれ」
「はい? そのようなことはしていませんが……」
「なんだと? それなら金はどこだ?」
「え?」
ラウヴァンの言葉に、ソネリアは目を丸めていた。
そのことに流石の彼も焦る。金がなければまずいということは、ラウヴァンもわかっているのだ。
ソネリアの顔も曇り始めている。二人は察していた。金が盗まれたのではないかということに。
「日中に出掛けた時か……誰かがこの部屋に入ったのか?」
「で、でも鍵はかけていましたよ」
「こんな安宿の鍵なんてあてにならないということか。くそっ……! ソネリア、宿の者を呼べ。盗んだ奴を突き止めるんだ。そして金を取り返す。そうできなければ……」
「わ、わかりました……」
ラウヴァンの指示に従って、ソネリアが動き始めた。
それを見送りながら、ラウヴァンは考える。果たしてこの安宿に、犯人を捕まえる程の力があるのかということを。
彼はこの宿のことを信じていなかった。捜査も適切に行われないのではないか、ラウヴァンの頭にはそんな考えが過っていた。
その場合どうするべきか、ラウヴァンは必死に考えていた。
早くナシャール王国の王太子に働きかけなければならない。そう思ってラウヴァンは行動を開始するのだった。
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