寵愛していた侍女と駆け落ちした王太子殿下が今更戻ってきた所で、受け入れられるとお思いですか?

木山楽斗

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16.責任の取り方

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 各地への視察は、少しばかりではあるが効果があったように思える。
 リオレス殿下の人気もあって、私のことを受け入れる国民が増え始めているようなのだ。

 いくつかの貴族は、領民達の意見に影響されたのか抗議の勢いが弱まっている。
 領民の意思というものは、案外無視できないものだ。民あっての貴族であると考える者達は、ヤウダン公爵家を受け入れてくれるかもしれない。

 そんな中、私とリオレス殿下は王城の廊下を歩いていた。とある村への視察を終えて、帰ってきた所だ。

「問題は、民を思っているからこそヤウダン公爵家に反発する者、民の意見を無視する者がいることです」
「前者はともかくとして、後者はただ問題なのではありませんか?」
「ええ、そうですね。その辺りについては、この件とは関係なく改めさせたい所です。とはいえ、今はそれが難しいのです」
「そうですよね。少しは良くなったといっても、状況は悪いですから……王家の権力を駆使することはできませんよね」

 私達の作戦は、成功しているといえる。効果は絶大であるとは言えないが、それはもう仕方ないことだ。ゆっくり地道にやっていくしかない。

「それでリオレス殿下、少し相談があるのですけれど……」
「相談?」
「ええ、セルダン子爵家のことで……」

 そこで私は、ヤウダン公爵家から届いたとある情報について彼に相談することにした。
 それはなんとも、困ったことではある。少なからず国にも関係してくることなので、できれば話し合っておきたいものだった。

「現在、シェリリアも含めてセルダン子爵家は家に籠っています。彼らは準備を進めているのです。今回の件の責任を取る準備を……」
「責任を取る準備、ですか? 待ってください。確かヤウダン公爵家の方には……」
「ええ、端的に言ってしまえば、彼らは自らの命を絶つ準備を進めているのです。とても古い時代の話ですが、私達の方にはそういう文化があるもので……」
「な、なんてことを……」

 私の言葉に、リオレス殿下は頭を抱えていた。
 その反応は当然のものである。責任を取って命を絶つなど、ヤウダン公爵家に属する私からしても、今の時代から考えると馬鹿げたものだ。彼ならば猶更そう思うだろう。

「セルダン子爵家は古くから続いている家ですから、そういうしきたりというものを重視しているのです。もちろん、お父様やお母様が必死で止めていますからそういうことにはならないとは、思っているのですが……」
「王家からも働き掛けないといけませんね。とにかく、シェリリア嬢をまずは説得してみてはいかがですか? ユーリア嬢は彼女と仲が良い」
「……そういうことなら、私も連れて行っていただけませんか?」

 私とリオレス殿下が話していると、聞き覚えのない声が聞こえてきた。
 声のした方向に視線を向けると、そこには一人の男性がいる。私達よりも少し年上に見えるその男性は、一体誰なのだろうか。

「あなたは、キルクス伯爵令息……」
「リオレス殿下、お久し振りです」

 リオレス殿下の言葉で、私は目の前にいるのが誰か理解した。
 彼はセルダン子爵家に婿入りするはずだったカウタス伯爵家の令息だ。どうやら私達が不在の間に、王城を訪ねて来ていたようだ。
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