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4.素っ気ない態度
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それにしてもゼインは人に囲まれていたはずだ。それをかいくぐってきたのだろうか。
「ゼインさま、お久しぶりです!」
ハルはゼインに笑顔を見せる。
「来てたのか。全然知らなかった」
「はい。ゼインさまの試合を観戦しておりました。特に騎士団長との試合! あの盛り上がりは、今日一番の試合でした!」
ハルはしきりに褒める。ゼインは「ハルが見てるとは思わなかった」と照れた様子をみせた。
「あのさ、ハルは、騎士団長と俺と、どちらを応援していたんだ?」
ゼインは遠慮がちに問いかけてくる。
「もちろんゼインさまですよ。ゼインさまが片膝をつかれたときはヒヤヒヤしましたが、それからのゼインさま、とてもかっこよかったです」
「かっこよかった、のか? ハルから見て?」
「はい。とても」
あの試合は、誰が見てもゼインのことをかっこいいと思うだろう。なのにゼインはあからさまに嬉しそうな顔をする。さっきからみんなに「かっこいい」と言われ続けていたはずだから、なにも特別なことではなさそうなのに。
「そうだ、ゼインさまに贈り物があるんです」
ハルはごそごそと懐からひとつの宝石を取り出した。
「我が領土特産品のアクアマリンです。形が良く純度の高い石が手に入ったので、是非ゼインさまに贈りたいと思いついたのです」
この石は、アクアマリンの中でも綺麗な円形をしていて光の反射で美しく水色に輝くのだ。特産品なので高価というわけではないが、いつもよりも特別な石だった。
「ハルが、俺に贈り物を……?」
「はい。どうぞお受け取りください」
ハルはゼインの手のひらにアクアマリンをのせた。ゼインはアクアマリンをじっと眺めている。決して珍しいものではないにも拘わらずだ。
「これは、今日の勝者の証のようだ。こんな素敵なものが貰えるなら、頑張ってよかった」
ゼインはアクアマリンをグッと握りしめる。
「ありがとう、ハル。大切にする。ずっと、この石をハルだと思うことにする」
ゼインにしては珍しく、ハルに笑顔を見せてくれた。
よかった。ゼインは贈り物を気に入ってくれたみたいだ。
「はい、オルフェウスさまにも」
ハルはもうひとつアクアマリンを取り出してオルフェウスに手渡す。オルフェウスは「ありがとう」と受け取ってくれた。
それを見たゼインから急に笑顔が消えた。
「……なんだ。俺だけじゃなかったのか」
ゼインは途端に無表情になった。
「これは対の石なのです。同じ採掘場から同じ時刻に見つかった、双子のような石で、それで、私はおふたりのことを思い出して……」
「もういい。疲れた。部屋で休む」
ハルが必死で石の由来を話したのに、ゼインはそれもまともに聞かずにハルに背を向けどこかへ行ってしまった。
何が気に入らなかったのだろう。まさかゼインは双子石のアクアマリンをふたつとも欲しかったのだろうか。
そんな強欲なイメージはまるでないのだが。
「ゼインは今日の試合があったから、緊張で昨日あまり眠れなかったと言ってたよ。本当に疲れているんじゃないかな」
オルフェウスが場を取り持つようなことをハルに言う。
「そうだと、よいのですが……」
ゼインの態度が気になる。きっと何かゼインの気に障ることをしてしまったのだろう。
「ゼインなら大丈夫だよ。それよりも、ハル。今夜は城に泊まっていくよね?」
「はい。そのつもりです」
ハルの暮らすフラデリック領は、城から日帰りするには少し距離がある。そのためいつもグイドとハルは城に泊めてもらっている。今回もそのつもりで荷造りをしてきた。
「よかった。じゃあ夜にゆっくり話せるね」
「はい。是非、お話ししたいです」
久しぶりに会えたのだ。積もる話がたくさんある。
それにハルには、オルフェウスに聞きたいことがある。
正直恥ずかしいから、聞けたらでいい。
ハルのことをどう思っているのか。それをオルフェウスに聞いてみたかった。
「ゼインさま、お久しぶりです!」
ハルはゼインに笑顔を見せる。
「来てたのか。全然知らなかった」
「はい。ゼインさまの試合を観戦しておりました。特に騎士団長との試合! あの盛り上がりは、今日一番の試合でした!」
ハルはしきりに褒める。ゼインは「ハルが見てるとは思わなかった」と照れた様子をみせた。
「あのさ、ハルは、騎士団長と俺と、どちらを応援していたんだ?」
ゼインは遠慮がちに問いかけてくる。
「もちろんゼインさまですよ。ゼインさまが片膝をつかれたときはヒヤヒヤしましたが、それからのゼインさま、とてもかっこよかったです」
「かっこよかった、のか? ハルから見て?」
「はい。とても」
あの試合は、誰が見てもゼインのことをかっこいいと思うだろう。なのにゼインはあからさまに嬉しそうな顔をする。さっきからみんなに「かっこいい」と言われ続けていたはずだから、なにも特別なことではなさそうなのに。
「そうだ、ゼインさまに贈り物があるんです」
ハルはごそごそと懐からひとつの宝石を取り出した。
「我が領土特産品のアクアマリンです。形が良く純度の高い石が手に入ったので、是非ゼインさまに贈りたいと思いついたのです」
この石は、アクアマリンの中でも綺麗な円形をしていて光の反射で美しく水色に輝くのだ。特産品なので高価というわけではないが、いつもよりも特別な石だった。
「ハルが、俺に贈り物を……?」
「はい。どうぞお受け取りください」
ハルはゼインの手のひらにアクアマリンをのせた。ゼインはアクアマリンをじっと眺めている。決して珍しいものではないにも拘わらずだ。
「これは、今日の勝者の証のようだ。こんな素敵なものが貰えるなら、頑張ってよかった」
ゼインはアクアマリンをグッと握りしめる。
「ありがとう、ハル。大切にする。ずっと、この石をハルだと思うことにする」
ゼインにしては珍しく、ハルに笑顔を見せてくれた。
よかった。ゼインは贈り物を気に入ってくれたみたいだ。
「はい、オルフェウスさまにも」
ハルはもうひとつアクアマリンを取り出してオルフェウスに手渡す。オルフェウスは「ありがとう」と受け取ってくれた。
それを見たゼインから急に笑顔が消えた。
「……なんだ。俺だけじゃなかったのか」
ゼインは途端に無表情になった。
「これは対の石なのです。同じ採掘場から同じ時刻に見つかった、双子のような石で、それで、私はおふたりのことを思い出して……」
「もういい。疲れた。部屋で休む」
ハルが必死で石の由来を話したのに、ゼインはそれもまともに聞かずにハルに背を向けどこかへ行ってしまった。
何が気に入らなかったのだろう。まさかゼインは双子石のアクアマリンをふたつとも欲しかったのだろうか。
そんな強欲なイメージはまるでないのだが。
「ゼインは今日の試合があったから、緊張で昨日あまり眠れなかったと言ってたよ。本当に疲れているんじゃないかな」
オルフェウスが場を取り持つようなことをハルに言う。
「そうだと、よいのですが……」
ゼインの態度が気になる。きっと何かゼインの気に障ることをしてしまったのだろう。
「ゼインなら大丈夫だよ。それよりも、ハル。今夜は城に泊まっていくよね?」
「はい。そのつもりです」
ハルの暮らすフラデリック領は、城から日帰りするには少し距離がある。そのためいつもグイドとハルは城に泊めてもらっている。今回もそのつもりで荷造りをしてきた。
「よかった。じゃあ夜にゆっくり話せるね」
「はい。是非、お話ししたいです」
久しぶりに会えたのだ。積もる話がたくさんある。
それにハルには、オルフェウスに聞きたいことがある。
正直恥ずかしいから、聞けたらでいい。
ハルのことをどう思っているのか。それをオルフェウスに聞いてみたかった。
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