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第三十五節「消失の大地 革新の地にて 相反する二つの意思」
~存在そのものが引かれた為なのでしょう~
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北米大陸北部にある国、カナダ。
南には広大な敷地が広がり、北には多くの湖と高原が連なる北方の大地。
人里へと行けばその膨大とも言える土地をもてあます様な立地に驚かされる事だろう。
山の方へと向かえば針葉樹林が覆い尽くし、未だ自然深い姿を拝む事が出来る。
その中腹部に、かつて勇達も訪れた事のあるグーヌー族の里があった。
そう、あったのだ。
「なんだ……これはッ!?」
アルクトゥーンがその場上空へと辿り着いた途端、誰しもが驚愕する。
それ程までに目下に広がる光景が衝撃的だったのだ。
そこは元々、木々が生い茂る緑の大地。
しかし今となっては広範囲に茶黒い土面が広がり、ところどころに岩肌らしきまだらが覗き。
森と土面の境目が見て取れる程にくっきりと浮き上がっていて。
そしてその形はまるで球体を描くかのようにくぼんでいる。
まさに真円だった。
その範囲は広大で、直径おおよそ三キロメートル。
アルクトゥーンが上空から見下ろして初めてわかる程の大きさで。
大地が球状に深々と抉られ、その中にあった物全てが何もかも消滅していたのである。
そこに在ったはずのグーヌーの里をも巻き込んで。
余りの事実がズーダーだけでなく勇達をも絶句させ。
たちまち管制室が静寂に包まれる。
あの騒がしいリッダですらもその目を震わせて固まる程の衝撃をももたらしていたのだ。
もはやそこに事態のスケールを許容出来る者など一人として居ない。
「勇さん、この場所に敵意の様な感覚はありますか?」
ただ一人、冷静さを保たせた莉那が勇へと振り向き問う。
しかし勇は首を横へと振り、再び目下の惨状へと視線を戻していて。
青の瞳が全てを見通さんと僅かに細る。
「いや、負の感覚の残滓は感じられない。 全く何も。 何かわかるか、ア・リーヴェ?」
『いえ、私にもわかりかねます』
ア・リーヴェもまた万能ではないからこそ。
例え地球にその半身を宿していても、全てを認識する事は出来ない。
何より、この事態を引き起こした現象が天力や命力によるものでなければなおさらであろう。
普通の人間がそれらの力を感じられないのと同じ様に、彼女もまた与り知らぬ力を感じ取る事は出来ないのだから。
だがこの規模は紛れも無く人知を超えた所業。
例え広域破壊兵器を使用したとしても、それこそア・リーヴェが知らぬ間にこれだけの事など出来はしない。
だからこそ導かれた答えは一つしか無かった。
『一つだけわかるとしたら、これは明らかにアルトラン・ネメシス、またはその眷属が起こしたという事でしょうか』
淡々と語られる話が、勇以外の隊員達に再び大きな驚愕を呼び起こす。
さりげなく打ち明けられた一言には、それだけの重要な事実が含まれていたのだから。
「眷属って……アルトランに仲間がいんのかよ!?」
勇もその事実を把握していたのだろう、ア・リーヴェに成り代わって頷きを見せる。
そう、アルトラン・ネメシスは一人で行動している訳ではない。
仲間もまた存在し、こうして事を起こし始めていて。
しかも事態は想像以上に進んでいる。
そうとさえ思える程の光景が今、目の前に広がっているのだから。
「そいつらがどんな存在かはわからないけどな。 少なくとも俺やア・リーヴェに悟らせないよう巧妙に隠れてるんだ」
「それじゃあ、アメリカ軍と戦ってる最中にこんな事をしたのも―――」
事実に気付いた茶奈がたちまち俯き言葉を途切れさせる。
彼女だけではない。
そこから紐付けられる結論は、気付いてしまった者達全員の意気消沈を誘っていたのだ。
「既に邪神さんは世界破滅への行動に本腰を入れてるって事かい。 しかも俺達の行動を利用する形でさ。 堪ったもんじゃないねぇ」
壁に背を預けて立つディックが鼻で笑うかの様に吐き捨て。
心輝やマヴォといった気の強い者が追従する様に強い頷きを見せる。
利用されたという事実には、どうにも憤りを隠せない様だ。
「とにかく今は調査を開始しましょう。 何かわかるかもしれません」
「俺も行くよ。 俺やア・リーヴェにしかわからない事もあるかもしれないしさ」
勇がその一言を皮切りに踵を返し。
すると仲間達もまた「自分も」と名乗り続く。
人手は多い方がいい―――そう思わせる程に巨大な傷跡だったのだから。
勇達が調査班に先んじて消失の大地へとその身を降ろし始める。
浮遊エレベーターから見下ろした光景は、まるでその場所だけ時が止まったかの様に動きが無く。
そんな様子が彼等の奥底に潜む恐怖を引き上げんばかりに静かな虚無を演出していた。
◇◇◇
抉られた大地の中心へと降り立った勇達は早速個々に分かれて調査を開始する。
まずは何か異変が無いか、異常が無いかを。
後から訪れる調査班に危険が及ばないように。
「放射能は無し、と……」
放射線測定器を片手に、勇が茶色と灰色の入り混じった大地を歩く。
命力や天力があれば危険な放射線なども避ける事が出来る。
こうして勇達が率先して行動する事で、予想外の事態も起きにくく避けやすいという訳だ。
戦い以外でも役立つ命力・天力ならではの活用方法と言えるだろう。
抉られた大地は本当に何も無い。
精々川の水や地下水が流れ込み、盆状となった現場中央に溜まっているくらいか。
溜まって泥水となった池もそれほどの規模では無く、走って十分もあれば回りきれる程度だ。
でも〝何かがあった〟という事実の痕跡だけはその場にしっかりと刻み込まれていて。
その静けさが言い得ない畏怖を誘い込む。
『勇さん、近くに岩肌って見えますか?』
すると、そんな景色を眺めている最中に茶奈からの通信が入り。
耳にした勇がインカムに手を伸ばしながら周囲を伺う。
すると早速、視界の先に岩肌らしき地面が。
「ああ、見つけた」
『削られた表面をよく見てください。 よくわからないですけど、なんか凄いです』
茶奈の意味深な一言がどうにも気掛かりで。
今しがた見つけた岩の削り面らしき場所へと向けて勇がその身を跳ねさせる。
『こちらでも確認しました。 異様ですね、どういう事なのでしょうか』
その間に仲間達からもそんな声が次々と届き。
勇も辿り着いて早々にその身を屈ませて岩面へと手を伸ばすが―――
その指が岩面を触れようとした直後、手の動きがピタリと止まる。
「なんだ、これ……」
その時勇の視界に映ったのは、本当の意味で異様な様子だった。
遠目で見ればただの岩肌にしか見えない。
ただ目を凝らして見てみれば、妙な隆起が細かく点在していて。
大きさで言えば、米粒程度でしかない物だ
だがその様子はただ削られただけとは到底思えない程に―――異質。
何故なら、そのどれもがバネの様に螺旋を描いていて。
真円の中心へと向けて伸びていたのだから。
まるで岩が境目からバターになってしまったかの様に溶けて伸び出ていて。
でもいざ摘まんでみれば、「パキッ」と簡単に折れる岩の一部として成り立っている。
摘まんで押し潰せばたちまち砂の様に砕けるだけ。
そんな物が幾つも岩肌に浮かび上がっていたのだ。
『これは恐らく、岩という存在そのものが引かれた為なのでしょう』
その様子を同行していたア・リーヴェさんも眺め、そんな分析結果を導き出す。
しかしその分析も推測でしかなく、彼女の頭を悩ませるばかりで。
「じゃあ消えたのは土地じゃなく概念って事か?」
『ええ。 しかもこの影響範囲だけに限定している。 だからこの様にして物性を無視して引かれたのです。 範囲の境目にあった存在はこれに限らず全てが同様に引かれているのでしょう』
二人が言うのはつまり、この抉られた場所がただ普通に消えた訳ではないという事。
人為的でも、偶発的でもない―――敢えて言うならば神為的。
物体の物理構造、原理を完全に無視した現象がここで起きたのである。
だから岩の様な硬い物質も存在を引っ張られて溶化した。
決して熱で溶かされた訳でも無ければ、性質が変化した訳でもない。
この真円の中心に居た者によってすべからく、原理そのものが吸い込まれたのである。
「つまり、何も残ってないって事だな」
だからこそそんな結果が導き出されるのは当然の事。
そしてそれは中心に居た者も同様に。
例え消滅せずに生きていたとしても、この場に留まり続けてはいないだろう。
これだけの事を平然とやってのけ、しかも痕跡一つ残さない。
それでもし生きているとすれば、それこそ人知を超えた相手という事だ。
つまり、これを成せるのはアルトラン・ネメシス、あるいはその眷属のみという事に他ならない。
常識を軽く超えた所業を感じさせる残滓を前に、事情を理解した勇もその口を紡がせる。
ここにはもう手掛かりは無い、そう察してしまったから。
「皆、早いけど報告用調査は調査班に任せて俺達は戻ろう」
ここに訪れたのはあくまでカナダ政府の要請による調査。
アルトラン・ネメシスへの手掛かりを探るためではない。
これ以上の長居は調査物を荒らす事にも繋がりかねないのだから。
その後、正式な調査が行われたが―――結果はもはや言わずと知れた事。
何一つ情報を得る事叶わず、カナダ政府には精々「危険無し」と伝える事しか出来ず。
可能性は高くとも、この所業がアルトラン一派によるものという断定すら出来はしなかった。
勇達の乗るアルクトゥーンが再び空を舞い、早々に洋上へと舞い戻る。
垣間見た事象はそうさせる程に危機感を煽るには十分だったのだ。
今もこの様にしてどこかで何かが起きているかもしれない。
急がねばならない。
その焦りが彼等の決意を前へと押し出していた。
見えぬ所で悪意が蠢く。
未だ正体も居所も掴めない滅びの悪意が。
まるで奔走する勇達を嘲笑うかの様に……人知れず世界を駆け巡る。
南には広大な敷地が広がり、北には多くの湖と高原が連なる北方の大地。
人里へと行けばその膨大とも言える土地をもてあます様な立地に驚かされる事だろう。
山の方へと向かえば針葉樹林が覆い尽くし、未だ自然深い姿を拝む事が出来る。
その中腹部に、かつて勇達も訪れた事のあるグーヌー族の里があった。
そう、あったのだ。
「なんだ……これはッ!?」
アルクトゥーンがその場上空へと辿り着いた途端、誰しもが驚愕する。
それ程までに目下に広がる光景が衝撃的だったのだ。
そこは元々、木々が生い茂る緑の大地。
しかし今となっては広範囲に茶黒い土面が広がり、ところどころに岩肌らしきまだらが覗き。
森と土面の境目が見て取れる程にくっきりと浮き上がっていて。
そしてその形はまるで球体を描くかのようにくぼんでいる。
まさに真円だった。
その範囲は広大で、直径おおよそ三キロメートル。
アルクトゥーンが上空から見下ろして初めてわかる程の大きさで。
大地が球状に深々と抉られ、その中にあった物全てが何もかも消滅していたのである。
そこに在ったはずのグーヌーの里をも巻き込んで。
余りの事実がズーダーだけでなく勇達をも絶句させ。
たちまち管制室が静寂に包まれる。
あの騒がしいリッダですらもその目を震わせて固まる程の衝撃をももたらしていたのだ。
もはやそこに事態のスケールを許容出来る者など一人として居ない。
「勇さん、この場所に敵意の様な感覚はありますか?」
ただ一人、冷静さを保たせた莉那が勇へと振り向き問う。
しかし勇は首を横へと振り、再び目下の惨状へと視線を戻していて。
青の瞳が全てを見通さんと僅かに細る。
「いや、負の感覚の残滓は感じられない。 全く何も。 何かわかるか、ア・リーヴェ?」
『いえ、私にもわかりかねます』
ア・リーヴェもまた万能ではないからこそ。
例え地球にその半身を宿していても、全てを認識する事は出来ない。
何より、この事態を引き起こした現象が天力や命力によるものでなければなおさらであろう。
普通の人間がそれらの力を感じられないのと同じ様に、彼女もまた与り知らぬ力を感じ取る事は出来ないのだから。
だがこの規模は紛れも無く人知を超えた所業。
例え広域破壊兵器を使用したとしても、それこそア・リーヴェが知らぬ間にこれだけの事など出来はしない。
だからこそ導かれた答えは一つしか無かった。
『一つだけわかるとしたら、これは明らかにアルトラン・ネメシス、またはその眷属が起こしたという事でしょうか』
淡々と語られる話が、勇以外の隊員達に再び大きな驚愕を呼び起こす。
さりげなく打ち明けられた一言には、それだけの重要な事実が含まれていたのだから。
「眷属って……アルトランに仲間がいんのかよ!?」
勇もその事実を把握していたのだろう、ア・リーヴェに成り代わって頷きを見せる。
そう、アルトラン・ネメシスは一人で行動している訳ではない。
仲間もまた存在し、こうして事を起こし始めていて。
しかも事態は想像以上に進んでいる。
そうとさえ思える程の光景が今、目の前に広がっているのだから。
「そいつらがどんな存在かはわからないけどな。 少なくとも俺やア・リーヴェに悟らせないよう巧妙に隠れてるんだ」
「それじゃあ、アメリカ軍と戦ってる最中にこんな事をしたのも―――」
事実に気付いた茶奈がたちまち俯き言葉を途切れさせる。
彼女だけではない。
そこから紐付けられる結論は、気付いてしまった者達全員の意気消沈を誘っていたのだ。
「既に邪神さんは世界破滅への行動に本腰を入れてるって事かい。 しかも俺達の行動を利用する形でさ。 堪ったもんじゃないねぇ」
壁に背を預けて立つディックが鼻で笑うかの様に吐き捨て。
心輝やマヴォといった気の強い者が追従する様に強い頷きを見せる。
利用されたという事実には、どうにも憤りを隠せない様だ。
「とにかく今は調査を開始しましょう。 何かわかるかもしれません」
「俺も行くよ。 俺やア・リーヴェにしかわからない事もあるかもしれないしさ」
勇がその一言を皮切りに踵を返し。
すると仲間達もまた「自分も」と名乗り続く。
人手は多い方がいい―――そう思わせる程に巨大な傷跡だったのだから。
勇達が調査班に先んじて消失の大地へとその身を降ろし始める。
浮遊エレベーターから見下ろした光景は、まるでその場所だけ時が止まったかの様に動きが無く。
そんな様子が彼等の奥底に潜む恐怖を引き上げんばかりに静かな虚無を演出していた。
◇◇◇
抉られた大地の中心へと降り立った勇達は早速個々に分かれて調査を開始する。
まずは何か異変が無いか、異常が無いかを。
後から訪れる調査班に危険が及ばないように。
「放射能は無し、と……」
放射線測定器を片手に、勇が茶色と灰色の入り混じった大地を歩く。
命力や天力があれば危険な放射線なども避ける事が出来る。
こうして勇達が率先して行動する事で、予想外の事態も起きにくく避けやすいという訳だ。
戦い以外でも役立つ命力・天力ならではの活用方法と言えるだろう。
抉られた大地は本当に何も無い。
精々川の水や地下水が流れ込み、盆状となった現場中央に溜まっているくらいか。
溜まって泥水となった池もそれほどの規模では無く、走って十分もあれば回りきれる程度だ。
でも〝何かがあった〟という事実の痕跡だけはその場にしっかりと刻み込まれていて。
その静けさが言い得ない畏怖を誘い込む。
『勇さん、近くに岩肌って見えますか?』
すると、そんな景色を眺めている最中に茶奈からの通信が入り。
耳にした勇がインカムに手を伸ばしながら周囲を伺う。
すると早速、視界の先に岩肌らしき地面が。
「ああ、見つけた」
『削られた表面をよく見てください。 よくわからないですけど、なんか凄いです』
茶奈の意味深な一言がどうにも気掛かりで。
今しがた見つけた岩の削り面らしき場所へと向けて勇がその身を跳ねさせる。
『こちらでも確認しました。 異様ですね、どういう事なのでしょうか』
その間に仲間達からもそんな声が次々と届き。
勇も辿り着いて早々にその身を屈ませて岩面へと手を伸ばすが―――
その指が岩面を触れようとした直後、手の動きがピタリと止まる。
「なんだ、これ……」
その時勇の視界に映ったのは、本当の意味で異様な様子だった。
遠目で見ればただの岩肌にしか見えない。
ただ目を凝らして見てみれば、妙な隆起が細かく点在していて。
大きさで言えば、米粒程度でしかない物だ
だがその様子はただ削られただけとは到底思えない程に―――異質。
何故なら、そのどれもがバネの様に螺旋を描いていて。
真円の中心へと向けて伸びていたのだから。
まるで岩が境目からバターになってしまったかの様に溶けて伸び出ていて。
でもいざ摘まんでみれば、「パキッ」と簡単に折れる岩の一部として成り立っている。
摘まんで押し潰せばたちまち砂の様に砕けるだけ。
そんな物が幾つも岩肌に浮かび上がっていたのだ。
『これは恐らく、岩という存在そのものが引かれた為なのでしょう』
その様子を同行していたア・リーヴェさんも眺め、そんな分析結果を導き出す。
しかしその分析も推測でしかなく、彼女の頭を悩ませるばかりで。
「じゃあ消えたのは土地じゃなく概念って事か?」
『ええ。 しかもこの影響範囲だけに限定している。 だからこの様にして物性を無視して引かれたのです。 範囲の境目にあった存在はこれに限らず全てが同様に引かれているのでしょう』
二人が言うのはつまり、この抉られた場所がただ普通に消えた訳ではないという事。
人為的でも、偶発的でもない―――敢えて言うならば神為的。
物体の物理構造、原理を完全に無視した現象がここで起きたのである。
だから岩の様な硬い物質も存在を引っ張られて溶化した。
決して熱で溶かされた訳でも無ければ、性質が変化した訳でもない。
この真円の中心に居た者によってすべからく、原理そのものが吸い込まれたのである。
「つまり、何も残ってないって事だな」
だからこそそんな結果が導き出されるのは当然の事。
そしてそれは中心に居た者も同様に。
例え消滅せずに生きていたとしても、この場に留まり続けてはいないだろう。
これだけの事を平然とやってのけ、しかも痕跡一つ残さない。
それでもし生きているとすれば、それこそ人知を超えた相手という事だ。
つまり、これを成せるのはアルトラン・ネメシス、あるいはその眷属のみという事に他ならない。
常識を軽く超えた所業を感じさせる残滓を前に、事情を理解した勇もその口を紡がせる。
ここにはもう手掛かりは無い、そう察してしまったから。
「皆、早いけど報告用調査は調査班に任せて俺達は戻ろう」
ここに訪れたのはあくまでカナダ政府の要請による調査。
アルトラン・ネメシスへの手掛かりを探るためではない。
これ以上の長居は調査物を荒らす事にも繋がりかねないのだから。
その後、正式な調査が行われたが―――結果はもはや言わずと知れた事。
何一つ情報を得る事叶わず、カナダ政府には精々「危険無し」と伝える事しか出来ず。
可能性は高くとも、この所業がアルトラン一派によるものという断定すら出来はしなかった。
勇達の乗るアルクトゥーンが再び空を舞い、早々に洋上へと舞い戻る。
垣間見た事象はそうさせる程に危機感を煽るには十分だったのだ。
今もこの様にしてどこかで何かが起きているかもしれない。
急がねばならない。
その焦りが彼等の決意を前へと押し出していた。
見えぬ所で悪意が蠢く。
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