美醜逆転までいかない何か

 異世界の価値観って、むずかしい……。

 異世界に転移してしまった女子・黒須あずみ。
 あずみという発音は難しいらしく、アシュリー・クロスという名前で生きていくことに。
 冒険者になったはいいものの、戦闘経験もなく、出来ることは雑用や薬草採取ばかり。
 お金も経験もなく、日々の生活で手一杯の中で出会ったのは──仮面をつけた物静かで優しい青年・ロロシュ。

 どこか周囲から浮いている彼は、左右の目の幅が非対称で不気味だと陰口を叩かれていた。
 ……正直、見てもわからない程度。
 アシュリーには、ロロシュの優しさも、真面目な仕事ぶりも、何より彼の顔も……ぜんぜん“おかしく”なんて思えなかった。

 異世界ならではの「ズレた美醜感覚」に戸惑いながらも、
ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて“相棒”として絆を育んでいく。

 ──でも、世界の偏見は、そんなに甘くない。
 ふたりが向き合うのは、外見の話だけじゃない。
“違い”のある世界で、それでも一緒に生きていくために。

 これは、美醜逆転までいかない“どこかズレた世界”で、
ふたりが互いの居場所になるまでの、ささやかな冒険と再出発の物語。
24h.ポイント 28pt
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